飲食店の売上を安定させるためには、リピーターの存在が欠かせません。しかし、「開店直後は新規のお客さんが来てくれたものの、それから常連客になってくれた人はほとんどいない」「SNSやチラシで告知もしたけれど、リピーターが増えない」といった悩みを抱える飲食店経営者も多いのではないでしょうか。
リピーターを増やすには、「お客さんにとって良いお店であること」に加えて、「お客さんにお店の存在を覚えてもらう(思い出してもらう)こと」が重要です。
ここでは、リピーターを増やすために重要なポイントと、リピート率を高める4つの方法を紹介します。
こんな人におすすめ
- 自店舗がなぜリピート(再来店)されないのか、理由を知りたい
- リピートされるお店がどのようなお店なのか知りたい
- リピート率を高める(常連客を増やす)方法を知りたい
- 飲食店経営においてリピーターが重要な理由
- そもそも飲食店で目指すべきリピート率とは?
- お客さんがリピートする飲食店を決めている基準
- リピーター(常連)が来なくなる理由とは?
- お客さんのリピーター化に効果のある施策5選
- まとめ:リピーターは飲食店の売上安定の要
飲食店経営においてリピーターが重要な理由
飲食店においてリピーターが重要な理由として、以下の3つが挙げられます。
1. 安定した売上が見込める
定期的に来店するリピーターの数が増えると、売上は安定します。
リクルートの調査によると、1カ月に1度以上外食をする人の平均回数は3.60回/週。そのうち、77.3%の人が初来店のお店ではなく、来訪経験のある店舗をリピート利用していることが分かっています。
例えば、800円のランチを販売していた場合、週に3回来店するリピーターが10人いれば、毎週24,000円の売上は確実に担保できることになります。リピーターの数が増えれば増えるほど、売上は安定すると言えるでしょう。
特に感染症拡大を受けて、外食需要が落ち込み傾向にある現在、安定した来客数を確保することの重要性は増しています。
日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査」によると、2020年の外食産業の売上金額は前年比84.9%でした。新規のお客さんを呼び込む難易度も上がっていると思われるため、来店したお客さんをどれだけリピーター化できるかが重要です。
2. 集客コストがかからない
新規集客のための施策はコストがかかることがほとんどですが、リピーター施策に目を向けることで、結果的にコストを削減することができます。
通常、お客さんは下記のような段階を経て来店します。
新規客に来店してもらうためには、まずはお店のことを知ってもらい、興味を持ってもらう必要があります。チラシを配布したり、看板を作成して宣伝したりといったさまざまなアプローチが必要になり、当然、コストもかかります。
一方で、来店経験のある人に再来店を促す際は、初回来店時にポイントカードやクーポンを渡すなどの方法がありますが、新規客を呼び込む施策よりもコストがかからないため、リピーターは重要な存在だといえるでしょう。
新規客とリピーターの集客にかかるコストの差を示す法則として「5:25の法則」があります。「客離れを5%改善すれば、利益率は25%改善される」とする法則です。
「新規客に商品を販売するためにかかるコストは、既存客の5倍である」と言われているため、既存客を増やすことで利益率が改善するとされています。
したがって、既存客をリピーター化すれば、高いコストをかけずに集客効果を期待でき、結果的に利益の改善につながります。
3.リピーターが新規のお客さんを連れてきてくれる
リピーターは、新規のお客さんを口コミで連れてきてくれることがあります。例えば、以下のようなパターンが考えられます。
- 知人に直接おすすめする
- SNSで感想を投稿する
- グルメサイトやマップサービスに投稿する
上記の結果、これまでお店のことを知らなかったお客さんが、気になって足を運んでくれるというケースがあります。
Rettyの調査によると、お店を探す際に頼りにしている情報源として最も回答率が高かったのは「グルメサイトの口コミ(約74%)」で、次いで「知人からの情報(約54%)」でした。
口コミを重要視する人は多いので、口コミを投稿したり情報を拡散したりしてくれそうなリピーターは重要だと考えられます。
そもそも飲食店で目指すべきリピート率とは?
お店の売上を安定させるためにも、リピート率はできるだけ高くしたいものです。リピート率の目標を設定する場合、10%以上を目安にするといいでしょう。
実際、上記データのように、新規客が2回目に来店するのは全体の10%程度という結果になっています。自店のリピート率が10%を下回る場合、再来店しているお客さんは少ないと言えるでしょう。
リピーター数を計測するためには、お客さんに直接「当店のご利用は初めてですか?」などと声がけする、もしくはアンケートを取る、会員カード(ポイントカード)を用いて来店履歴を把握するといった仕組みが必要になります。
紙のアンケートやポイントカードは計測が大変ですが、デジタルであれば集計は比較的簡単です。
LINE公式アカウントの場合、友だち追加をしてくれたお客さんに対してアンケートが配信できる「リサーチ」という機能を提供しています。
一度友だち追加をしてもらえれば、いつでもLINE上でアンケートが配信できるので、しばらくお店に来ていないお客さんにもアンケートを送れるのが特徴です。アンケートの設問に「来店回数」を盛り込むと、リピート率も計測できます。
お客さんがリピートする飲食店を決めている基準
リピート率が10%に満たない飲食店は、お客さんにとって「また行きたい」と思われていない可能性があります。
お客さんがリピートしたくなる基準は、主に以下の通りとなっています。
- 料理がおいしい
- 店主の人柄が良く、お客さんとの関係性も良い
- お店の雰囲気が良い
- 価格帯が手頃
- 清潔感がある
実際に、おなじみ編集部が行きつけのお店のある人に「行きつけになった理由」を尋ねたところ、上記のような回答結果が出ました。料理がおいしいというだけでなく、自分にとって適切な距離感をとってくれるお店や、価格帯がちょうどいいかどうかも重視していることが分かります。
回答結果として多かったものをもう少し細かく見てみましょう。以下の表は、お店のどこに魅力を感じたのかをまとめたものです。
リピートするお店を決める基準 | 魅力に感じるポイント |
---|---|
1.料理のおいしさ | ・毎日食べても飽きない味 ・頻繁に季節限定メニューが更新されていて、何度も行きたくなる ・他店にはない料理がある |
2.接客 | ・店主の人柄が良い ・従業員がいつも笑顔 ・名前を覚えてくれている ・いつも一言話しかけてくれる |
3.お店の雰囲気 | ・他の席と距離が離れており、居心地が良い ・カウンター席があるので、一人でも入りやすい ・家や他の店舗にはない照明が醸し出す雰囲気がいい |
4.価格 | ・リーズナブル ・お店の雰囲気や料理の品質、接客態度と照らし合わせてみてもコストパフォーマンスが優れていると感じられる価格 |
5.清潔感 | ・座席やテーブル、トイレなどがいつも綺麗に清掃されている ・目につきにくい細かいところも綺麗に清掃されている |
リピーターが少ない場合、上記基準のいずれかに課題がある可能性があります。もし課題が思い当たらない場合は、お客さんにアンケートを取ってみましょう。
アンケートを取る際は、できるだけ具体的な回答を引き出すのがポイントです。例えば、料理に満足できなかった人には、満足できなかった理由は量にあるのか、味にあるのか、詳しく尋ねる必要があります。改善につながりそうな質問項目のみに絞って、アンケートを作成してみましょう。
回答の選択肢をいくつも用意するなどして、より具体的な意見を引き出すことができれば、課題は見つかりやすくなります。
リピーター(常連)が来なくなる理由とは?
「何回も来てくれていたのに、最近来てくれなくなってしまった……」
こういったお客さんが多い場合は、知らぬ間にお客さんに不快な思いをさせていないか、最終来店時の様子を振り返ってみてください。一度リピーター化したお客さんが来なくなることには、必ず理由があります。
おなじみ編集部が行ったアンケートの調査結果を紹介します。転居や経済的事情などお客さん都合で通わなくなったケースを除くと、3回以上通ったお店に行かなくなった理由として最も多く挙げられていたのは以下でした(複数回答可)。
- 接客で不快な思いをした:46%
- 商品やサービスの質が変わったと感じた:24%
- 店長がスタッフが変わった:11%
接客に不満を感じた人が多いことがわかります。会計が間違っていた、すぐにオーダーを取れなかったなど、接客に不備がなかったかを振り返って改善できるようにしましょう。
お客さんのリピーター化に効果のある施策5選
前述した通り、お客さんにリピーターになってもらうには「料理のおいしさ」「接客」「お店の雰囲気」「価格」「清潔感」について満足してもらうことが重要です。
しかし、どんなに素晴らしい料理や接客を提供しても、再来店につながらないことがあります。お店の存在を忘れてしまうことがあるからです。例えば「お店に不満などはないが、ただ何となく行かなくなった」といったような理由です。
実際に、Ys Linkの調査によると、以前利用して気に入った居酒屋をリピートしない理由として最も多かった回答は「なんとなく忘れていた」(21.84%)でした。
この回答結果から、お客さんがお店を気に入ったとしても、必ずしも再来店につながるわけではないことが分かります。気に入った上で覚えてもらい、さらに来店してもらうための動機づけが必要となるのです。
ここでは、お客さんにお店のことを思い出してもらうために効果的な施策を4つ紹介します。
1. 積極的に声がけをする
店員との会話があると、お店のことを覚えてもらいやすくなります。季節限定メニューの説明、おすすめメニューの紹介などでコミュニケーションを取りつつ、お客さんとの距離を縮めましょう。
また、お客さんによっては静かにお店で過ごしたい人もいます。コミュニケーションを取る前に、話しかけても良い雰囲気かどうか少し観察してみましょう。
他にも「おいしく召し上がっていただけましたか」など、ちょっとした声がけをするだけで、店員と会話をしたという体験とセットでお店のことを覚えるため、再来店へとつながりやすいでしょう。
2. 次回使えるクーポンを配布する
再来店の動機づけとして、クーポンを配布することも効果的です。お客さんの中に「クーポンを使うと、料理がお得に食べられる」という意識が芽生える可能性があるからです。また、クーポンが目に触れることでお店のことを思い出すきっかけにもなるでしょう。
「クーポン施策の成功事例4選|期待できる3つの効果と作成のポイント」によると、クーポンを導入することで以下の3つの効果が期待できます。
- 来店や購入のモチベーションがつくれる
- 客単価の上昇につながる
- 顧客の情報を得るきっかけになる
紙のクーポンは作成や発行のコストがかかって導入が難しそうだと感じる人もいるかもしれませんが、デジタルのクーポンであればコストも最小限に抑えられます。
LINE公式アカウントは、LINE上で友だちになったお客さんに対して、ダイレクトメッセージでクーポンを送付することが可能です。開封率だけでなく、使用率も計測できるので、低コストでクーポン施策が導入・実施できます。
3. SNSを利用して情報発信をする
株式会社TableCheckが発表した「第2回グルメサイト意識調査」によると、19.7%が「飲食店の検索にSNSを利用している」と回答しています。(複数回答可・※テーブルチェック調べ)
また、上記のグラフの通り、近年は若年層だけでなく、全年代にわたってスマートフォンの普及が進んでいます。総務省の「通信利用動向調査」によると、20〜40代は約9割、50代も約8割が利用しています。
このことから、SNSでお店の新メニューやクーポンを配布することで、お客さんがお店のことを思い出し、お店に足を運ぶきっかけをつくることができます。
4. 定期的にDMを送る
メールアドレスや住所といったお客さんの情報を取得できる場合は、定期的にDM(ダイレクトメッセージ)を送るのもおすすめです。DMの送付形式には主に3つの種類があります。
- チラシやはがきなどを郵送(投函)する
- メールを送る
- SNSでメッセージを送る
飲食店は複数人で利用するシーンが多いことや、登録などの手続きが発生しないことから、お客さんの情報を得ることが難しいため、SNSでメッセージを送る方法がおすすめです。
特にDMに適しているのはLINE公式アカウントです。TwitterやInstagramだとお客さんとアカウントを一致させることが難しいため、フォローしてくれているユーザーが来店したことのあるお客さんなのか分かりません。
一方、LINE公式アカウントの場合、店内に設置したQRコードのPOPで登録を促せば、つながりは来店歴のあるお客さんに限られます。
クーポンやメッセージを送った際はプッシュ通知を送ることができるので、チラシやメールより高い開封率が期待できます。
5. ポイントカードを発行する
ポイントカードを発行し、たまったポイントに合わせて特典を用意することで、「次も来店しよう」と再来店へのきっかけをつくることができます。
株式会社クロス・マーケティングの調査によると、「ポイントが貯まるカードやアプリの利用状況」という質問に対して、「ポイントは意識して貯めていて、貯めたポイントも利用している」と回答した人は全体の65.3%にも上りました。半数以上の人がポイントを意識的に貯めていることが分かります。
お客さんがポイントを貯めたくなるような特典を用意すると、ポイントカードの利用率も上がり、リピーター率の向上にもつながります。
特典は、1〜3回程度の来店で受け取れるよう設定しておくと、ポイントカードを使う意味や特典をもらう喜びを早い段階で感じてもらうことができます。
また、ポイントを貯めたことによるプレゼントだけでなく、保有していることで参加できる期間限定キャンペーンも効果的です。お店にしばらく来店していないお客さんでも、キャンペーンをきっかけにお店の存在を思い出し、来店してくれる可能性が高まります。
まとめ:リピーターは飲食店の売上安定の要
リピーター施策に目を向けることで、長期的視点では、新規客の獲得よりもコストの削減につながります。また、効率的に売上が獲得できるようになるため、リピーターはお店にとって欠かせない存在です。
リピートしたいと思ってもらうためには、料理がおいしいだけでなく、お店の雰囲気や接客も重要です。そして、お店の存在をたびたび思い出してもらうことが再来店へつながります。
そこで役立つのがLINE公式アカウントです。LINE公式アカウントでは、友だち全員に一斉にメッセージ配信ができるほか、友だちの属性(年齢、性別、居住地域など)に合わせてメッセージを別々に配信できます。お客さんにメッセージを見てもらいやすくなり、お店の存在を思い出してもらえる可能性が高まります。
また、お得なクーポンを発行することで、再来店のきっかけにつなげられるでしょう。まずはLINE公式アカウントの機能を使って、リピーター化を促進してみましょう。