【人気店の例あり】飲食店の開業時などにコンセプトが必要な理由とつくり方3ステップ

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飲食店の売上を安定させるためには、そのお店が持つ独自の「コンセプト」をあらかじめ設定しておくことが重要です。

開業時などにコンセプトを決めておくことで、お店の強みを生かしたメニューの開発や店づくりができるようになり、従業員のオペレーションも統率しやすくなります。

また、お客さんに「どういうお店なのか」が分かりやすく伝わるため、お店を利用してくれる理由が明確になります。

ここでは、飲食店でコンセプトを設定するメリットやコンセプトの重要性、コンセプトの決め方について解説します。自店のコンセプトを設定するときに活用できるコンセプトシートも用意しています。

こんな人におすすめ

  • 飲食店を開業するにあたって、お店のコンセプトを作りたい
  • 飲食店にコンセプトが必要なのか、メリットを知りたい
  • コンセプトの決め方を知りたい
  • 成功事例を参考にしたい

飲食店が開業時などにコンセプトをつくるメリット

コンセプトとは、お店のテーマのことです。お店を説明する際に「こんな飲食店です」と表すものを指します。

開業時などにお店のコンセプトをつくっておくと、次の2つのメリットがあります。

  1. ライバル店と差別化でき、お客さんが自店を利用する理由になる
  2. お店についての意思決定がしやすくなる

1. ライバル店と差別化でき、お客さんが自店を利用する理由になる

明確なコンセプトがあると、競合店と差別化ができ、数あるお店の中から自店舗が選ばれやすくなります。

例えば、お客さんが「品川 カレー」で検索した場合、決め手となるのは「どんなお店なのか」という要素になるでしょう。

<コンセプトに基づいたお店の特徴の例>

  • 提供が早い
  • カレーのルーにこだわっている
  • リーズナブルで量が多い
  • 内装がおしゃれ

お店独自のコンセプトをしっかりと設計し、お客さんに伝えることが重要です。コンセプトをお客さんが理解することで「今日はこういう気分だから、あのお店にしよう」という判断を生み出しやすくなります。

2. 飲食店経営者が、お店について意思決定しやすくなる

飲食店経営者は、開業時や新しいメニューを追加する際にさまざまな意思決定をしなければなりません。例えば、以下の要素です。

  • 料理の味
  • 提供スピード
  • 接客スタイル
  • メニュー・価格
  • 店名
  • 立地
  • 外装・内装

これらを一つ一つ決めていくと時間がかかります。しかし、コンセプトがあれば「コンセプトに合っているかどうか」が判断基準になるため、スピーディーに意思決定ができます。

例えば「子供がいる主婦にゆっくりコーヒーを楽しんでもらう」がコンセプトのカフェがあったとします。コンセプトが明確であれば、以下のように店づくりの決断がしやすくなります。

  • 子どもと一緒に食事しやすい個室を設ける
  • 子ども用のメニューや食器を用意する
  • 内装を優しい色遣いにする

このように、内装に関わる大きなものから食器などの小物まで、全てをコンセプトにもとづいて決めることができます。コンセプトを軸にお店にかかわる意思決定をしていくと、お客さんにコンセプトが伝わりやすくなります。

 

その際、従業員に共通認識を持ってもらうことも非常に重要です。スタッフ内で共有するマニュアルのポイントは以下の記事で解説していますので、あわせてご参考ください。

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コンセプトを決めるための3ステップ

コンセプトの重要性が理解できたら、次は自店のコンセプトを決めるために必要なポイントをおさえましょう。コンセプトは、以下の3ステップで考えていきます。

  1. 変えたくない軸を決める
  2. 軸を元にお客さんが求めるお店を考える
  3. 集めた情報をコンセプトに落とし込み、実現性を確認する

1. 変えたくない軸を決める

コンセプトを決める際には、まず「変えたくない軸」を決めることが大切です。

「変えたくない軸」とは、お店を開くにあたって「これだけは欠かせない」と自分が思っている理想のお店に必要な要素のことです。

軸がないと、コンセプトづくりでぶれが生じてしまいます。軸があることで、コンセプトを考える際に迷った時も、軸に立ち返って考えることができるのです。

軸の例としては、以下のものが挙げられます。

  • 渋谷にお店を出したい
  • 20代の女性向けのお店にしたい
  • 見た目にこだわった和菓子のお店を開きたい
  • デートで利用してもらえるお店にしたい

自分が思う「理想のお店に必要な要素」を書き出していき、最も重要だと思う要素を抽出してみましょう。シンプルなものであるほど、コンセプトは明確なものになります。

2. 軸を元にお客さんが求めるお店を考える

決めた軸を元に、お客さんが来店したくなるようなお店にするにはどうすべきかを考えていきましょう。

イメージを具体化するのに役立つのが、ビジネスシーンでよく使われる「5W2H」という手法です。5W2Hとは「why」「who」「what」「where」「when」「how much」「how」の頭文字からとられたものです。

これら7つの要素をそれぞれ埋めていくことで、お店のイメージを具体化することができ、新しい発想にも結びつきやすくなります。

why
(なぜ)
なぜお店を始めるのか?
なぜそのメニューを打ち出したいのか?
who
(誰に)
年齢層は?性別は?職業は?
what
(何を)
メニュー、味、量、サービスの特徴は?
where
(どこで)
どんな場所か?何が近くにあるか?
when
(いつ)
営業時間は?定休日は?
how much
(いくらで)
商品の価格はいくらか?見合っているか?
how
(どのように)
どんなふうに提供するか、どんな空間で提供するか?

7つの要素の中で特に重要な要素は「why(創業目的)」です。創業目的はお店の根幹となる重要な要素です。必ず最初に創業目的を決めて、付随する形で他の要素を埋めていくようにしましょう。

その次に重要な要素は「who(ターゲット)」と「what(商品/メニュー)」です。ターゲットとメニューが決まらなければ、他の項目を埋めることができません。

例えば、ターゲットがサラリーマンで、提供するメニューがお酒であれば、「立地はオフィス街から徒歩で行ける繁華街」「営業時間はサラリーマンの平均退勤時間の後」と決められます。

「who(ターゲット)」と「what(商品/メニュー)」は創業目的の次に埋めるようにしましょう。

【例1】

why
(なぜ)
仕事を頑張る会社員に、栄養がたくさん入った料理を提供したい
who
(誰に)
オフィス街で働く人
what
(何を)
野菜、肉、魚などバランスの良い定食を提供
デスクワークの人が多いため、量はそれほど多くない
where
(どこで)
オフィス街
when
(いつ)
オフィス街で働く人のランチタイム(11:30〜14:00)
how much
(いくらで)
オフィス街の人たちは日々ランチを利用するため、価格は安くする
how
(どのように)
職場でご飯を食べたい人がいるため、テイクアウトも提供する

変えたくない軸が「オフィス街に出店してランチを提供したい」の場合、軸をさらに深めた内容を「why(創業目的)」に盛り込みます。

次に「where(立地)」は「オフィス街」、「when(営業時間)」は「オフィス街で働く人のランチタイム」と埋められます。

「why」をもとに「who(ターゲット)」や「what(商品/メニュー)」の要素を埋めていきます。この時点でまだ埋まっていないのは「how much(価格)」と「how(サービス)」の要素です。

これまでに出た要素を元にイメージすると、オフィス街で働く人がお昼にやってくるお店が思い浮かびます。ターゲットとなるお客さんの気持ちになって考えてみると「価格は安い方が良い」「職場で食べたい」という欲求があることに気づきます。そこで価格は安く(how much)して、テイクアウトで提供(how)すると考えることができます。

【例2】

why
(なぜ)
街に若い人が楽しめるお店が少ないので作りたい
who
(誰に)
若年層(17〜22歳程度)
what
(何を)
コーヒー、スイーツなど見栄えの良いもの
where
(どこで)
大学や高校からアクセスの良い場所(徒歩圏内)
when
(いつ)
学校の授業が終わる夕方以降からオープン
how much
(いくらで)
学生でも買える価格設定。高くても1,000円以内
how
(どのように)
おしゃれな内装や半個室を用意。居心地の良い空間で楽しんでもらう

変えたくない軸が「若い人に楽しい時間を過ごしてもらうカフェ」の場合、どのような要素が考えられるでしょうか。まずは「why(創業目的)」を埋めていきましょう。多くの場合、「why」は創業者がお店を開く動機と紐づいていることが多いです。

次に、軸の中に「若い人」とあるので必然的に「who(ターゲット)」は若年層になります。続いて、「what(商品/メニュー)」を決めます。お店の形態がカフェであること、ターゲットが若い人であることが決まっているため、若い人に人気な、見栄えの良いスイーツなどを提供することが決まりました。

他の項目は、ターゲットである若い人の気持ちになって、通いやすいお店の条件を出していくことで埋められるでしょう。

埋められないものがある場合は、情報収集しましょう。例えば、出店場所が決まっていて、ターゲットが決まっていない場合は、出店場所の近辺を歩いて、どんな年齢層・職業の人が通っているのか調査することでターゲットを具体化できます。

また、価格設定が決まらない場合は、グルメサイトで出店場所付近の飲食店の価格設定を調べ、自店舗の価格設定の参考にできるでしょう。

3. 集めた情報をコンセプトに落とし込み、実現性を確認する

5W2Hの要素が埋まったら、次にコンセプトシートに細分化して書き出してみましょう。
コンセプトシートは「5W2Hの要素」と「変えたくない軸」を再度細かく書き出したものです。

全体を客観的に見ることで、各項目間に矛盾が生じていないか確認できます。「全体の整合性がとれているか」「コスト面で無理がないか」「ターゲットにとって本当にニーズがあるか」など、コンセプトに実現性があるかどうかを確認するのにも役立ちます。

コンセプトシート

全体を客観的に見ることで、各項目間に矛盾が生じていないか確認できます。「全体の整合性がとれているか」「コスト面で無理がないか」「ターゲットにとって本当にニーズがあるか」など、コンセプトに実現性があるかどうかを確認するのにも役立ちます。

実現性は2つの方法で確認するのがおすすめです。

  • 出店エリアで似たジャンル・価格帯のお店を視察する
  • ターゲットとなる人に実際にフィードバックを受ける

まずは「このコンセプトでお店をつくって利益が出るのか」の実現性をざっくりと確認するために、条件が似たお店を探してみてください。詳細な事業計画は融資を受ける際につくるため、コンセプトをつくる時点では、あくまで「無理がないか」程度の確認で問題ないでしょう。

続いて、実際にターゲットとなる人に、このお店に来たいと思うか、率直な意見をもらってください。経営者やスタッフの意見は、ターゲットの考えとは異なる可能性があります。

特に価格やメニューに対する価値観は年齢や性別に影響されます。ターゲットを想像してつくるのではなく、生の声を参考にしましょう。

以下に、コンセプトシートのテンプレートを用意しています。自店のコンセプトを落とし込むときに活用してみましょう。

コンセプトシートのテンプレート

コンセプトをもとに決めたい飲食店の4大項目

飲食店の全ての要素はコンセプトに基づいて決めるべきですが、本章では特に統一感が重要な3つの要素を紹介します。

  1. 店名
  2. 接客スタイル
  3. 料理の味・見た目
  4. 客単価

同じジャンルの料理を提供している場合、価格やメニューのラインアップは似た内容になりがちです。しかし「店名」「接客スタイル」「料理の味」はお店独自の色を出しやすいので、意識して設計するとよいでしょう。

1. 店名

店名はお客さんがお店の看板を見かけたり、検索したりする際に必ず目に触れるものになるため、コンセプトに基づいて決定されているのが理想です。店名が指す言葉の意味はもちろん、ひらがなを使うのか、漢字を使うのか、でも与える印象は異なります。

  • ひらがな:やわらかく、あたたかい雰囲気
  • 漢字:格調高い雰囲気
  • ローマ字(英語):おしゃれで洗練された雰囲気

コンセプトを店名に反映させた好例として「いきなりステーキ」があります。いきなりステーキは、通常前菜を挟んだあとにメインディッシュとして提供されるステーキを、前菜なしで「いきなり」提供することによってお腹いっぱい食べてもらうことをコンセプトにしたお店です。

店名を聞くと「ステーキがいきなりすぐ出てくる」というイメージがわき、ステーキだけを食べたいお客さんは来店したくなります。

「いきなりステーキ」のように、本来組み合わさることのない言葉が組み合わさるとインパクトがあり、印象に残ります。インパクトのある言葉をチラシやのぼり、看板などに入れてお店の存在を印象づけましょう。

2. 接客スタイル

お客さんがお店に通う基準として「接客のスタイル」は重要です。お客さんによって、店員に話しかけられるのがうれしい人もいれば、一人でゆっくり過ごしたい人もいます。

お客さんは「ゆっくり過ごせそう」「にぎやかに過ごせそう」といったお店のコンセプトを感じて来店を決めるので、コンセプトに合った接客を心がけてください。お客さんに合わせることも重要ですが、本来ゆっくり過ごせることをコンセプトにしたお店でお客さんと大きな声で会話をしていたら、他のお客さんが違和感を覚えてしまいます。

飲食店において、接客はリピーターを増やす大切な要素です。下記の記事も参考にしてみてください。

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3. 料理の味・見た目

料理の味や見た目は「どのような年齢層の人が食べるか」「どういったシチュエーションで食べるか」を踏まえた上で決定しましょう。例えば、お酒のつまみならやや濃い目の味、若い年齢層がターゲットなら写真に撮りたくなるようなきれいな見た目というように決めていきます。

コンセプトを決める際の5W1Hでターゲットがしっかり定義されていれば、迷わずに決められるでしょう。料理の味や見た目は改良していくうちに、初期のコンセプトから離れてしまうことがあるので、定期的にアンケートを取って満足度を確認していくことをおすすめします。

4. 客単価

お店のコンセプトに合わせて、客単価も設定しましょう。例えば、大衆食堂的な飲食店で「手軽に食事ができる場所」をコンセプトにした場合、一人あたりの平均支払額(客単価)は比較的低めに設定されるはずです。一方、高級レストランで「特別な日のお祝いを演出する場所」をコンセプトにした場合、客単価は高価に設定します。

コンセプトと客単価の関係を理解することは、店舗経営者にとって非常に重要です。設定した客単価がコンセプトに見合っていないと、顧客からの評価が低くなる可能性があるからです。例えば、高級レストランなのに安価な価格設定をしてしまうと、提供するサービスや食材の質に疑問を持たれ、お客さんからの信頼を失ってしまう可能性があります。

コンセプトに見合った客単価設定は、店舗のブランドイメージを保ち、顧客満足度を向上させるためにも非常に重要な要素なのです。

お客さんに愛されている飲食店のコンセプト例

お店独自のコンセプトが強力であれば、集客に大きなコストをかけずとも、口コミなどで人気を集めることが可能です。

実際にリピーター客が絶えず訪れる飲食店は、どのようなコンセプトで運営しているのでしょうか。以下の4店舗を紹介します。

  1. 南インド料理からインスピレーションを受けた「エリックサウス」
  2. 汁なし担々麺が大好きなことから一点突破で突き進んだ「タンタンタイガー」
  3. ビールがうまいことの大切さを広めたい!「ビールスタンド重富」
  4. 限られたスペースでできることを考えた「副大統領」
  5. 贅沢な海鮮メニューをデカ盛りで提供して認知度をアップさせた「つり舟」

1. 南インド料理からインスピレーションを受けた「エリックサウス」

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「エリックサウス」は、東京にある南インド料理の専門店です。日本人が慣れ親しんでいるカレーだけでなく、ミールスやビリヤニなどの南インド伝統料理を提供しています。コンセプトは「本場の南インド料理を、もっと身近に、もっと楽しく」です。

このお店の変えられない軸となったのは「南インド料理を日本でもっと広められるお店にしたい」という総料理長の思いです。この軸を元に、南インド料理の味を日本人の好みに合わせて変えたりせず、現地の味を再現することに専念しました。

そして、南インド料理を食べたことのない人のために、食べ方を分かりやすく解説した説明書を各テーブルに配置するなどして、誰でも気軽に南インド料理を楽しんでもらえる工夫をしています。

>>エリックサウスの事例を見る

 

2. 汁なし担々麺が大好きなことから一点突破で突き進んだ「タンタンタイガー」

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「タンタンタイガー」は東京にある、汁なし担々麺の専門店です。

店主は年間100件以上の飲食店を食べ歩いた結果、ラーメンのみに特化した「ラーメン二郎」やのり弁にこだわり抜いた「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」など、一つのメニューに特化したお店は強い魅力を持っていることを発見しました。そのため、タンタンタイガーが提供しているメニューは店主の大好きな「汁なし坦々麺」1つに絞り込まれています。

タンタンタイガーはメニューが一つしかない代わりに、レシピ開発に時間をかけています。そのため、高いクオリティーを維持しているのです。

また、同じコンセプトのお店がオープン当時の東京になかったことも差別化の要因となりました。メニューを一点に絞り込むことでオペレーションもシンプルになり、素早く料理を提供できています。

さらに、オペレーションを簡素化しつつ接客を重要視している点もコンセプトの一つ。長く愛されるお店を目指しています。

店主の「仲の良い人との食事はより美味しく感じるもの」という考えから、タンタンタイガーでは、汁なし坦々麺の辛さ・シビレのレベル(選べる)をお客さんに口頭で言ってもらうようにしています。人と人の会話が生まれることで交流が生まれ、坦々麺がさらにおいしく感じるのです。

>>タンタンタイガーの事例を見る

 

3. ビールがうまいことの大切さを広めたい!「ビールスタンド重富」

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「ビールスタンド重富」は、広島の繁華街にある生ビール専門店です。「ビール注ぎの名人」と呼ばれる店主の重富さんの「ビール本来の美味しさを広めたい」という気持ちから誕生しました。お店のコンセプトは「ビールの質を上げて、日本中の幸せを底上げする」です。

メニューはビールのみ。5つの注ぎ方の中から好きなものを選べます。営業時間は2時間で、注文は一人二杯まで。飲み終わった後に別の飲食店で料理を楽しんでもらうことを目的としています。他のお店では味わえないビールが評判を呼び、週末には開店前から行列ができています。

>>ビールスタンド重富の事例を見る

 

4. 限られたスペースでできることを考えた「副大統領」

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「ポークビンダルー食べる副大統領」は、独特の酸っぱ辛い味が特徴的なポークビンダルー一品のみを提供するお店。ミシュランガイド東京2022のビブグルマンに選出された人気店です。場所から逆算してコンセプトを考え、集客に成功した事例です。

このお店は元々、奥渋谷エリアの雑居ビルの2階という出店場所が先に決まっていました。火口が2つしかなく、大きな冷蔵庫も置けないキッチン内で作れる料理を考えた結果、ポークビンダルーに行き着きました。

一般的な認知度が低いポークビンダルーですが、裏を返せば他ではなかなか味わうことができないメニューと言えます。そんなポークビンダルーが、雑居ビルの2階の6席でしか食べられないという特別感がお店の魅力を最大限に引き出しています。

>>副大統領の事例を見る

5. 贅沢な海鮮メニューを大盛りで提供して認知度をアップさせた「つり舟」

深川つり舟

学生の街、東京・国立にある和食屋「深川つり舟」は、特大のアナゴが乗った天丼や大盛のいくら丼など、安くて破壊力満点のデカ盛りの店として、一橋大学など地元の学生たちを中心に愛され続けているお店です。

もともと豪華な天丼や海鮮丼などの「デカ盛り」メニューが安くてたくさん食べられるということで地元の大学生の間で愛されていましたが、さらに「インスタ映え」するそのメニューのビジュアルが評判となり、SNSなどでも拡散。結果として多くのお客さんへの認知が広がることになりました。

>>深川つり舟の事例を見る

まとめ:コンセプトづくりは変えたくない軸を見つけることから

飲食店経営にとってコンセプトは軸になります。コンセプトがあることで、お客さんはお店の特徴をとらえやすくなり、言葉にして人に伝えやすくなるため、口コミで集客が増えるメリットを得られます。

内装や立地など、創業時に決めなければいけない要素も、コンセプトにもとづいて判断すれば早く意思決定できるでしょう。

もしコンセプトがなければ、数あるお店の中で差別化できず、お客さんに選ばれにくくなり、客足は遠のいてしまいます。また、経営側も意思決定に迷いが生じ繁盛店を目指すのであれば、コンセプトづくりは欠かせないのです。

一方で、コンセプトをつくる過程でやりたいサービスやメニューのアイデアが頭に浮かび過ぎて、誰に向けて何を販売したかったのか、見失ってしまうことがあります。

そんな状況を防ぐため、コンセプトづくりを始める前にはまず「変えたくない軸」を見つけておくことが重要です。軸がなければ、コンセプトは途中でぶれてしまい、結果、統一感のない店舗になってしまうでしょう。しかし、変えたくない軸を見つけておけば、コンセプトづくりでどんなに迷っても、原点に立ち返って考え直せます。

コンセプトを決めれば、お客さんが店舗を利用する理由が明確になり、店内のオペレーションの方向性もまとまります。ぜひコンセプトシートを活用して、コンセプトを考えてみてください。