集客効果を高める店舗づくりを風水的にチェック!都内そば店の改善ポイント

お店の商売繁盛のため、風水・運勢プランニングを行う株式会社エガオールの土本晶子さんが、店舗を風水的な観点からチェックする本企画。今回は東京の曙橋駅から徒歩約1分の「蕎麦食堂 梵(ぼん)」を訪ねました。2019年8月にオープンした同店のオーナー・松木謙介さん、店長・平賀牧さんとお話しながら、取り入れやすく、お店の売り上げアップにもつながる風水テクニックを紹介します。

紹介している風水のポイント

そもそも風水って……なんですか?

土本さん:おいしそうですね! 「蕎麦食堂 梵」さんでは、つけそばがメインなんですか?

松木さん:そうですね。「旨味肉つけ蕎麦」、「鴨せいろ蕎麦」が定番で人気です。夜は天ぷらをつまみに地酒で一杯というお客さまが多いです。私の実家は、高知市で4代続くそば店なんです。そのレシピを引き継いで、しっかり寝かせたかえし、昆布、高知産のかつお節、サバ節を使ったこだわりの出汁が自慢です。

ところで、風水ってどんなものなんですか? 占いやおまじないみたいなものですか?

土本さん:一言でいうと、目に見えない「気」のバランスを整えて、心地良い空間をつくる住環境学と定義されます。環境が持つ「気」と、人間が持つ「気」のバランスを取ると、人は居心地のよさを感じるんです。心地よい空間にいることで人の運も自然と開けるというのが、風水を取り入れるメリットですね。まず、お店が入居されている建物の誕生日から、どのような「気」が流れているかを見ていきますね。

松木さん:建物ができた日で、いろいろ分かるんですね。

土本さん:そうですね。今、お店は運気がロックされてしまう「入囚(にゅうしゅう)」というちょっと良くない時期に当たっています。その時期が終わるのが、2024年2月3日。翌日からそのロックが外れ、お金の流れがだんだんと良くなります。あと、2年です!

松木さん:2年か……お店を2年続けるってなかなか大変だから、頑張らないとですね。その間に取り入れられそうな風水ってありますか?

土本さん:いろいろありますよ! もともと、こちらの立地はポイントが高いです。道に守られるような位置で、安定して気をためられる場所なので、夜営業にも向いています。立地の良さを最大限に発揮するための取り組みを、ご紹介できればと思っています。

松木さん:よろしくお願いします!

風水師・運勢鑑定士として数々の物件を鑑定してきた土本晶子さん(左)、「蕎麦食堂 梵」のオーナー・松木謙介さん(中央)、お店を切り盛りする店長・平賀牧さん(右)

リピーター定着のためには、入口をキレイに明るく!

松木さん:コロナ禍で大変でしたが、ランチの時間帯は安定してお客さまが入るようになってきました。このまま着実に伸ばしたいですね。

土本さん:お客さまを気持ち良くお迎えするためにぜひやってみてほしいのが、入口(玄関)をきれいにすること。入口が汚れていたり、整っていなかったりすると悪い気を集めてしまうので。できれば、入口の段差を埋めているステップのサビは落として、マットも定期的にきれいにしておきたいですね。

高知市にある実家の蕎麦店のテーマカラー紺色を生かした店構え

松木さん:マットは定期清掃しているんですが、ステップは持ち主がわからなくて放置してました……。白く塗っちゃおうかな。今度、休みの日に娘と塗ります(笑)。

土本さん:そして、お店の入口というか、外にお水を置くことで先ほどご説明した「入囚」という運気のロック状態を解除することができます。その水に流れがあるとより良いですね。

松木さん:壺に水を張って、金魚の動くおもちゃでも浮かべてみようかな(笑)。

土本さん:想像するとかわいい(笑)。流れも出て、すごく良いと思います! あとは店内、特に入口付近の光量を上げても良いかもしれません。照明器具はこまめに掃除をして、壊れていることのないように。明るいと、それだけで邪気もはらえてお客さまを呼んでくれますよ。

もう一つ、表に出ていた木の看板「只今、元気に商い中」の直置きも避けたほうが良いですね。風水では「大事なものは下に置かない」というセオリーがあります。

平賀さん:看板の直置きはすぐ変えられますね。あと、直置きがNGと伺って気になったのがメニューの直貼りで……。オープン時に「とりあえず」と、表のガラス面にも、店内の壁にも印刷したメニューをそのままペタペタ貼っています。メニューをじっくり見てくれたのに、入店につながらないことが時々あって、気になってきました。

土本さん:できれば、直貼りも避けていただきたいですね。メニューを貼り付けたコルクボードを掛けたり、紙を何枚も貼るのではなく、大きくまとめて掲示するのが良いと思います。

メニューや告知の直貼りは風水的にはNG。掲示方法を変えるか、ホワイトボードか黒板に手書きがおすすめ

抜けが良すぎると落ち着かない!くつろげる店になるには?

平賀さん:コロナ禍で思うように夜営業やアルコールの提供ができなかったこともあり、夜に来店されるお客さまはまだまだ少ないです。お昼に来店されたお客さまが「夜もやってるんだ」と気付いて、自然に来ていただけたらと思っています。おそばとおつまみを楽しみながら、1〜2杯軽く飲んで帰れる「普段使いできるそば屋」と認識してもらえたらうれしいです。

土本さん:お客さまに、ゆったりした時間を過ごしていただけるといいですよね。テーブルはなかなか替えられないと思いますが、理想は丸形ですね。角を丸くするだけでも、滞在時間が長くなって、アルコールの提供も増えると思います。

平賀さん:テーブルも、角を少し丸くするくらいならできるかもしれないですね。

土本さん:あと、3つ並ぶテーブル席の奥2つに落ち着いて過ごせる「気」が宿っているので、こちらの席だけでも背もたれ付きの椅子にすることをおすすめします。単に、座る人も背もたれ付きの方が楽ということもありますが、風水では背もたれに気がたまるとされているんです。あと、冷蔵庫の手前にある席は物理的にも風水的にも冷気がたまりやすいので、パーテーションを置くのも良いと思います。

それと、気になるのは正面からお店を見たときのガラス戸の抜けの良さですね。

松木さん:え、ガラス張りは良くないですか? 以前は、店の奥に掛けている「蕎麦食堂 梵」の紺色のタペストリーを掛けていたんです。

平賀さん:オープンして3年目になるのに、私が開店準備をしていると「いつオープンなの?」って尋ねられることがあって(苦笑)。「もしかして、道行く人に全然認知されていない!?」と思い、少しでも営業中の様子を見てもらうために、タペストリーを奥に移動させたんです。

土本さん:そういうご事情があったんですね。確かに店内がよく見えると入店ハードルが下がるのですが、ガラス張りのお店は、入店されたお客さまにとっては落ち着かない環境になりやすいんです。状況によって上げ下げできるロールスクリーンとか、縄のれん的なものを掛けるのはいかがですか?

松木さん:縄のれんは、そば屋っぽくて良いかもしれない。すりガラスとかはどうですか?

土本さん:良いと思います。お店の奥まで見通せないだけで、より落ち着いた雰囲気になるはずです。ガラス面に絵を描いたりしても良いと思います!

そして、レジの場所は入口のすぐ右側が良いですよ。お店の中でも金運がある方位になっています。

松木さん:レジの場所ですか!? 今はカウンターの奥の方なんです。券売機は高いけど、買って入口に置いた方が良いのかなぁ……。

土本さん:券売機、すごくおすすめです! 2年後から元が取れるはずです。

金運&売り上げアップの鍵は「白・丸・金属」!

松木さん:やっぱり売り上げアップしたいですよね。金運を上げる方法で他にできることってありますか?

土本さん:お客さまを呼び込む気を上げるためには、風水の五行(木・火・土・金・水)のうち、金の気を高めると良いんです。金の気を高める色はオフホワイト。形は丸で、素材は金属です。

面積の大きい壁や天井は影響が大きいので、明るめの白で塗ったり、配管を隠せたりすると最高なんですが、なかなか難しいですよね。天井の塗料剥がれなどがあれば直したいですね。あとは、金属製のオブジェや、白くて丸い小物を置くのがおすすめです。

松木さん:白・丸・金属ですね! 今日、これだけは絶対覚えて帰ります。

平賀さん:テーブルの七味入れを白くて丸いものか、金属製に変えてみようかな……。

土本さん:良いですね。風水というとラッキーカラーに注目が集まりますが、運気に対する色の影響は全体の3割程度といわれています。素材の方が大きく影響するので、金属のものか、メタリックに輝くものを取り入れてみていただきたいです。

お手洗いを拝見します……清潔にされていて良いですね! お手洗いは、吉も凶も流してしまう場所なので、一般的には吉祥とされるものを置かない方が良いとされています。植物を置くなら造花や生きていてもエアプランツのようなものにしてくださいね。

松木さん:店の中に、観葉植物も置きたいんですよね。

土本さん:こちらのお店だと、入口を入って左側の角か、勝手口がおすすめの位置です。お客さまとスタッフの皆さんの健康運が上がる方角なんです。いかにも風水という感じになりますが、角にラックを置いて、植物と水晶を置くと運気はよりアップします。天井から吊るすような植物や、サンキャッチャーを飾るのも良いと思います。

平賀さん:観葉植物、枯らしてしまうと良くない気がして……代わりに切り花を飾るのはどうですか?

土本さん:丸い陶器の鉢で育つ観葉植物には風水の五行すべての「気」が宿っていますが、切り花だと五行すべてがそろわないんです。なので店舗であれば観葉植物をおすすめします。ただ、観葉植物は空間の気の影響を大きく受けます。お世話をしても枯れてしまったら「悪い気を吸い取ってくれたんだ」と思い切って処分し、新しいものを買い求めるくらいの気楽さで取り入れてください。

そうそう、もっと簡単にできることがありました。お店の中で大きくかしわ手を打つだけでも、空気が一変しますよ。

松木さん:あ、そういえば親父が店で、よくかしわ手を打っていました。お客さまが途切れたときとかに突然、「よーし」とか大きな声を出しながら。前触れも無くやるので、びっくりしていたんですが……。

土本さん:素晴らしいですね! 音で空気が一気に変わることを、自然と分かっていらっしゃったのかもしれません。声を出すのも良いですよ。

松木さん:当時は謎でしたが、理に適っていたんですね。かしわ手を打つくらいなら、思いついたらすぐにできるし良いですね。今日、いろいろアドバイスをもらって平賀さんはどうだった?

平賀さん:今も良いお客さまに恵まれているので、よりちゃんとお迎えしたいという気持ちになりました。まずは、ずっと気になっていたメニューの直貼りを変えてみます!

松木さん:今日教わったことはすぐに取り入れられそうなことも多かったので、僕も一つずつやってみます。実は、コロナ禍で緊急事態宣言が出ていた当時より、今の方が街の中から人が減ってしまったことを実感していて……今年が勝負の年かなと感じています。2024年2月に来ると教えていただいた、運気アップの時期まで頑張りたいです。

土本さん:そうですね。風水にとらわれすぎてお店の動線を崩したり、嫌いなものを置いたりしてしまうと、気持ちが落ちてしまい運気アップどころではありません。ご自身の気持ちを第一に、楽しんで取り入れられそうなところがあれば変えてみるというスタイルが一番。「蕎麦食堂 梵」さんの商売繁盛を、心から願っています!

お話を伺った人

土本晶子さん(エガオール)

「運と気は知って使って伸ばすもの」がモットーの風水師・運勢鑑定士。2012年に風水・運勢活用プランニング会社・エガオールを設立。現在はオフィスや店舗、住居の風水鑑定から企業イベントやセミナーの企画・運営を行っています。

取材・文岡島梓

300名を超える経営層・事業家へのインタビューを行い、その想いや魅力を伝わりやすく再構築。取材を受けてくださった方、言葉に触れてくださった方にとって、何かの「はじまり」になるような表現をしたいと思っています。

写真示野友樹(ヒゲ企画)