疲労回復専用ジムとして2017年にオープンした「ZERO GYM(ゼロジム)」。2017年の終わりには雑誌の特集「2018年ヒット予測」で第3位に取り上げられ、多くのビジネスパーソンの注目を集めました。さまざまなプログラムがある中、ランチ時間を活用して昼寝をする「パワーナップ」は人気で、コロナ禍に入ってからはオンラインで気軽に受けられるプログラムとなり、さらに人気が拡大したそう。
メディアのリリースから約1年、止まることなく駆け抜けてきた編集部員の疲労を回復すべく、今回は「パワーナップ」を体験。その実力とともに、ZERO GYMがビジネスパーソンに支持される理由に迫りました。
おなじみ編集部員、いざ疲労回復体験へ!
ZERO GYMを訪れたのは、2022年4月某日のこと。この日を待ちわびていた編集部員がわらわらと集合します。
早速、話題のプログラム「パワーナップ」を体験してみます。「パワーナップ」は20分の集中仮眠をメインとしたプログラム。「不調改善セルフマッサージ」とプロのインストラクターが誘導する「眠りの瞑想」の2段階で構成されています。
インストラクターのRemiさんに教わりながら、第二の心臓と呼ばれる足裏を中心にもみほぐす「不調改善セルフマッサージ」を行います。肩凝りや眼精疲労をはじめ、立ち仕事をしていると疲れがたまりやすい場所など、不調の改善方法を教えてもらえるのもうれしいところ。徐々に足裏がポカポカしてきます。
次は、腹筋にぐっと力を入れて脚を上げ、少々強度のあるポーズをとります。力を緩めた時に深い脱力感を得ることで血流を促し、より良い入眠に導くそう。
体の力が緩み始めたところで仰向けになって目を閉じ、スムーズに入眠するための睡眠誘導プログラム「眠りの瞑想」に入ります。Remiさんの声に従っていくうちに、頭の中がぼんやりとしてきて、段々とうとうとし始めます。
次に目を開くと、あっという間に20分が経過……!自宅以外では寝つきが悪いという編集部員も、ぐっすりと眠ったようです。
ZERO GYMの「パワーナップ」は、仕事のパフォーマンスを劇的に高めることが科学的に証明され、NASAやGoogleなどでも採用されている「積極的仮眠」をベースにプログラムされたもの。ZERO GYM独自のメソッドにより、短時間で集中的に行えるよう考えられています。
確かにスッキリとした気分で、午後の集中力に違いがありそうな予感。
「パワーナップ」の実力を我が身で体感しましたが、そもそもZERO GYMとはどんなジムなのか?プログラムディレクターの松尾伊津香さんに話を伺いました。
“最高の脱力”で現代人の疲れをリセットする
――最初にZERO GYMのコンセプトを教えてください。
松尾さん:「クロスメディア・パブリッシング」というビジネス書専門の出版社が立ち上げた、疲れた頭と体を“最高の脱力”で「リセット=ZERO(ゼロ)」にすることを目指したジムです。肩凝りや腰痛などの体の不調を、ストレッチと自重トレーニングを組み込んだ独自のメソッドで改善し、さらに瞑想を取り入れることで脳の疲労にもアプローチしていきます。整った心身で仕事のパフォーマンスを最大化させることを目的としています。
――出版社が母体なのですね。
松尾さん:そうですね。出版社としてビジネス書を数多く手掛けてきました。その中で、以前はマーケティングスキルやマネジメントなどといったビジネススキル関連の書籍が人気でしたが、昨今では仕事のパフォーマンスを上げるための食事法や運動方法をテーマにした書籍の反応が良く、特に瞑想やマインドフルネスをテーマにしたものが数字を伸ばすようになりました。それなら、書籍で情報を発信するだけでなく、ビジネスパーソンの心身を整えられる場所にもニーズがあると感じ、立ち上げるに至りました。
ヨガでは響かないユーザー層を「疲労回復専用」で取り込む
――「疲労回復専用」としたことに理由はあるのでしょうか?
松尾さん:肩凝り、眼精疲労、倦怠感などの悩みはもちろん、年齢を重ねるにつれて仕事の責任も重くなり、精神的な疲れやプレッシャーを抱える人が増えてきます。ZERO GYMは、そういったビジネスパーソンの心身の疲労のリセットを目的としているので「疲労回復専用」という表現を使っています。
また、ZERO GYMではヨガの要素も多く取り入れています。しかし、ヨガはまだまだ女性が行うものというイメージも強く、男性だと気が引けてしまう方も多くいらっしゃると思います。そこで、ヨガということを表に出さずに「疲労回復」というビジネスパーソンに響く形で打ち出すことにしました。
――他のジムとは差別化を図ったということですね。
松尾さん:そうですね。タイトルや見せ方を専門とする出版社の強みを生かせた部分だと思います。最近ではようやく男性でもヨガをする方が増えてきましたが、それでもまだまだ男性にとってヨガは敷居の高いものだと思います。だからこそ、「疲労回復専用ジム」と打ち出すことで男性でも通いやすく、また、「鍛える」ではなく「整える」という方法で体の不調を気軽にケアできる場所を提供したいと思いました。
しかしながら、「疲労回復専用」というとマッサージやリラクゼーションのイメージが強くなりがちです。ZERO GYMはそれらの「疲れたら来る」という考え方を根本から変えていき、ご自身でスキルを身につけて、常にベストコンディション=疲れのない状態の維持を目指しています。そこで大事になるのが瞑想やマインドフルネスですが、これらの認知度はまだまだ高くないので、引き続き多くの方に手に取っていただけるように力を入れていきたいですね。
――「疲労回復」の成果は目に見えるものではありませんよね。お客さんの満足度をどのように推し量っているのでしょうか。
松尾さん:ZERO GYMのメインプログラムである「疲労回復プログラム」は医学博士の先生との共同調査で、実際に睡眠の質が上がったことが証明されています。しかし、疲労回復の効果の証明はやはりお客さまのお声ですね。プログラムを受けると頭が空っぽになって、終わった後は頭がスッキリとクリアになるとおっしゃる方が多いです。この「空っぽ体験」に魅了されたお客さまが、長く通ってくださっています。
実は、自分で自分の頭の中を空っぽにすることはとても難しく、「考えない…考えない…」と思っていること自体「考えてしまっている」ので、最初のうちは他者に導いてもらうのがおすすめです。
専門的には「誘導」という言い方をするのですが、誰かの声に導いてもらうことで思考が止まりやすく、スムーズな入眠につながりやすくなります。脳の過活動が睡眠の質の低下に直結しますので、現代人が効果を感じやすいアプローチ方法だと思います。また、マインドフルネスは不安や緊張を緩和することが証明されていますので精神的な疲れの軽減や、マルチタスク疲れにも効果があることが認められています。
それに加えて、質の高いプログラムを提供するために、セミパーソナル制で丁寧なコミュニケーションを心掛けています。毎回異なるインストラクターより、顔見知りのインストラクターの方が悩みを気軽に相談できますよね。そのため、インストラクターの育成には特に力を入れています。
仕事中でも気軽に実践できるストレッチを教えてもらいました!
やる気が出ない日に、シャキッと気を引き締めるストレッチ
背中が丸まって胸が下に向くと、呼吸が浅くなってしまいます。胸を開くストレッチで呼吸しやすくなれば交感神経が刺激され、心身がシャキッ!
緊張する場面で、リラックスできるストレッチ
あえて体に力を入れてから脱力することで緊張をほぐします。緊張すると無駄な力が入ってしまいがちな肩回りも、ストレッチをしてリラックスできます。
新しい知見を生かしながら、人の「時間の質」を高めたい
――最後に、今後の展望を教えてください。
松尾さん:コロナ禍に入ってから、時間の質を高めることがより一層求められていると感じます。健康の分野でも、体だけではなく精神的な健康まで包括したウェルビーイングの重要性も多くの方が感じていることだと思います。体・心・脳など多方面からお客さまの人生の質を上げていくお手伝いをこれからも変わらずしていきたいです。
そのために、常に新しいプログラムの開発も積極的に続けています。例えば、最近では「胃脳相関プログラム」という、ZERO GYMでは初めて内臓に着目したプログラムをリリースしました。以前から脳と腸の関係は知られていますが、最近では胃に不調があると脳機能に影響を及ぼすことが分かってきています。そこで、2021年12月には医師の監修のもと、「胃の機能改善」を目的としたコンディショニングプログラムを作成しました。
不調といっても、悩みは一人一人異なります。書籍、Web記事、ジム、オンラインレッスンといった多角的なアプローチを駆使して、その方に最適な改善方法やプログラムをこれからも提供していきたいと思っています。
取材先紹介
- ZERO GYM
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東京都渋谷区千駄ヶ谷4-20-3 東栄神宮外苑ビル8F
電話:03-6721-0233
- 取材・文おなじみ編集部
- 写真野口岳彦