お店の味を家でも楽しんでもらえるテイクアウトは、2019年10月1日から始まった軽減税率の導入や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、急激に需要が高まりました。リモートワークが増え、家で仕事をする合間にテイクアウトを利用する人も増えています。
お店によってはイートインだけでなく、テイクアウトにも注力することが売上増加の鍵になる場合があります。
これからテイクアウトを始めたいと考えている人には導入方法を、テイクアウトの売上が伸び悩んでいる人には売上を伸ばす3つのポイントを紹介します。
こんな人におすすめ
- これからテイクアウトを始めたいと思っている人
- テイクアウト導入時の注意点が気になる人
- テイクアウトの売上の伸ばし方に悩んでいる人
- コロナ禍で増えた飲食店のテイクアウト、そのメリットは?
- テイクアウトを始める前に注意しておくことポイントは?
- テイクアウトの売上を伸ばす3つのポイント
- テイクアウトの効果的な宣伝には、Webサービスを利用しよう
- テイクアウトの宣伝・受付はLINE公式アカウントがおすすめ
- LINE公式アカウントを利用したテイクアウトの成功事例
- まとめ:LINE公式アカウントはテイクアウトの集客にも活用できる
コロナ禍で増えた飲食店のテイクアウト、そのメリットは?
新型コロナウイルスの影響で飲食店にとって苦しい状況が続き、多くのお店が売上維持に頭を悩ませています。
「運営する店舗を継続するにあたって検討していること」として、2020年4月に株式会社シンクロ・フードがアンケートを実施したところ、「テイクアウト販売を始める・または強化する」と答えた店舗が52.7%でした。
続いて「テイクアウト営業を行っているか」というアンケートには51.4%の店舗が「すでに行っている」と回答しており、次いで約30%の店舗が「準備中」または「検討中」と回答しています。
店内での食事が減少傾向にある2022年現在、テイクアウトが売上を維持する重要な施策と考えている店舗が多いことが分かります。
では、なぜ飲食店にとってテイクアウトが売上維持に効果的なのでしょうか。具体的なメリットを見ていきましょう。
1. プラスアルファの売上につながる
テイクアウトは、通常営業に加えて、プラスアルファの売上につながりやすいメリットがあります。例えば、お客さんが来店した際に店内が満席だったとしても、テイクアウトを用意していれば機会損失を防げる可能性があります。
さらに、店内で飲食をしたお客さんが料理を気に入ってくれれば、お土産として持ち帰るケースもあり得ます。テイクアウト商品は軽減税率で消費税が8%になるため、節約したいと考えるお客さんにはうれしいサービスです。
2. 感染症対策で、テイクアウトの需要が増加している
新型コロナウイルスの感染症対策による外食自粛ムードがあったことで、自宅でお店の特別なメニューが味わえるテイクアウト需要が増加しました。
ファンくる(株式会社ROI)のテイクアウトについての意識調査によると、「コロナ禍でテイクアウトを利用した」人は全体で89%にのぼります。さらに、62%の人が「今後も利用したい」と考えているという結果が出ています。
テイクアウトを始める前に注意しておくことポイントは?
飲食店がテイクアウトを始めるためには、具体的に以下の確認・準備が必要になります。
1. 自治体への届け出の許可が必要か確認する
飲食店がテイクアウトを始める際、原則として「店内で提供している商品と同じものを提供する場合」に届出は必要ありません。
ただし、以下のような場合は新たに営業許可や設備変更の届出が必要になることもあるので、各自治体の保健所に確認するのが安全です。
- 店内にないメニューや惣菜を調理・製造する場合
- 飲食店で作った食品を別の場所で販売する場合
- 精肉・鮮魚・菓子・乳製品・冷凍食品の販売をする場合
2. 食品の取り扱いに注意する
飲食店の営業において、食中毒は注意すべき問題ですが、それはテイクアウトでも同様です。夏季は火を通さない・傷みやすい商品のテイクアウトを控えるなど、適切な温度管理を行いましょう。お客さんが自宅まで持ち帰る時間も考慮する必要があるため、各自治体のWebページに掲載されている注意点などを確認してください。
また、持ち帰り容器もあらかじめ準備しておきましょう。料理がこぼれないか、店の雰囲気に合っているか、できるだけ長く出来立ての状態がキープできるかが重要です。
参考
テイクアウトの売上を伸ばす3つのポイント
テイクアウトを始める場合、気になるのが売上です。すでにテイクアウトを始めている飲食店の中には、なかなか売上が伸びずに悩んでいる人もいるかもしれません。テイクアウトの売上を伸ばすためには、3つのポイントがあります。
1. 多くの人に知ってもらうために宣伝をする
まずは、自店舗がテイクアウトを行っていることを多くの人に知ってもらうことが重要です。
例えば、お店の入口に看板やPOPなどを設置し、店の前を通る人に告知をしましょう。声かけをしながらチラシを配布することも効果的です。会社員や在宅勤務の人に向けたランチ、ファミリー層向けの夕食など、お店の立地に合ったターゲットに周知していきます。
SNSやメッセージアプリなどを利用したオンラインでの告知も併せて行うと良いでしょう。
2. 複数個の注文をしてもらえるようにする
テイクアウトはイートインとは異なり、1人のお客さんが複数個注文してくれる場合もあります。複数個の購入を促すと、売上アップにつながる可能性があります。
具体的には「テイクアウト商品を2つ以上購入した人には、100円以下のトッピングが無料」「テイクアウト商品を複数個購入すると10%オフ」など、ターゲット層に合わせたお得なサービスを提案します。
サービスを工夫することで、会社員が同僚と共同購入してくれたり、家族の分を多めに買ってくれたりするお客さんが増えてくれるかもしれません。
3. 事前注文・事前決済の仕組みを取り入れる
お客さんの中には、お店で食べる時間がないのでテイクアウトを利用する人もいるかもしれません。お客さんがスムーズに商品を購入できるよう、「事前注文」を取り入れると良いでしょう。電話、メールでの受付のほか、LINEなどのメッセージアプリを活用して予約を受け付けることができれば、お客さんを待たせる時間が少なくなります。
また、事前注文によってある程度、料理を作る個数が把握できるため、食品ロスを防止する効果もあります。
さらに、事前決済ができるアプリを導入すると、お客さんは店頭でテイクアウト商品を受け取るだけで済むので、待ち時間のストレスもなく購入してもらうことが可能になります。
テイクアウトの効果的な宣伝には、Webサービスを利用しよう
今や多くの人がWebやSNS、アプリを使って飲食店を探します。株式会社テスティーの調査によると、「飲食店・食べたい物を探すときに利用するもの」は10~40代の全世代で「スマホ」が最も多い回答となりました。テイクアウトの効果的な宣伝には、Webサービスを賢く活用する必要があるといえるでしょう。
テイクアウトに使えるWebサービスの一例
Web上には、テイクアウトの集客を手助けするサービスがたくさんあります。まずは一定期間利用してその効果を見極めながら、自店舗に合うものを選んでいきましょう。以下がサービスの一例です。
楽天テイクアウト
楽天の各サービスと連動。楽天ポイントを活用している人や、その他の楽天サービスを利用している多くのユーザーに対してアプローチが可能です。
PICS
スマホ1つで注文から決済、受け渡しまで対応可能。2022年8月現在の利用エリアは東京都内が中心で、順次拡大しています。
menu
地図アプリと連動し、近くのテイクアウト店を検索することが可能。専用のタブレットを設置し、menuアプリを導入することで顧客管理もできます。
iToGo
お店専用のアプリとして運用可能で、ロゴなどを使いお店独自のデザインにできるので、よりお客さんにお店の雰囲気が伝わりやすくなります。
EPARKテイクアウト
テイクアウト専門のアプリで、エリア・駅名・予算から検索が可能。パソコン・スマホの両方から予約ができます。
LINE公式アカウント
友だち追加した人に向けて、メッセージ配信でテイクアウト開始の告知などが案内できます。また、チャットを使った注文の受け付けなど、アイデア次第でさまざまな集客に活用できるほか、さまざまなサービスと連携して決済機能や予約機能を実装することもできます。
Google マップに表示させる方法も
Google マップには「Google マイビジネス」というビジネス支援サービスがあり、お店の情報を登録すると、Google マップ上にテイクアウトを行っている店舗として表示されます。
Google マップは、利用者数4,717万人と多くの人が活用しています(ニールセン デジタル株式会社調べ)。口コミも掲載できるので、集客効果に期待できるでしょう。
テイクアウトの宣伝・受付はLINE公式アカウントがおすすめ
テイクアウトで売上を伸ばしていくためには、効果的な宣伝が鍵を握っています。月間9,500万人(2023年3月末現在)が利用するLINEのLINE公式アカウントは、お客さんにメッセージを配信したり、個別にチャットで連絡したり、クーポンを発行できたりと、テイクアウトを宣伝できる多数の機能が備わっています。
テイクアウトに活用できるLINE公式アカウントの機能
LINE公式アカウントで使える「メッセージ配信」や「リッチメニュー」を活用することで、テイクアウトの宣伝と受け付けに対応することができます。
1. メッセージ配信
LINE公式アカウントでは、友だち追加をしてくれたお客さんに対してメッセージを一斉配信することができます。まずはテイクアウトのメニューやLP(自社サイト)へのリンクを一斉配信し、宣伝しましょう。
2. リッチメニュー
リッチメニューとは、LINE公式アカウントのトーク画面の下に大きく表示される固定メニュー機能です。複数の分割方法から選択でき、それぞれにリンク先が設定できるので、テイクアウトの告知や予約フォーム、LPへのリンクを複数掲載することが可能です。お客さんがトーク画面に訪れたときいつでも目に入るので、テイクアウトの情報にアクセスしやすくなります。
リッチメニューの活用方法│特長や運用のコツを解説 (LINEヤフー for Business)
3. セグメント配信
メッセージは一斉配信だけではなく、属性で絞り込んだ特定のお客さんに対してのセグメント配信が可能です。地域や年齢で絞り込んだメッセージを送ることで、テイクアウトを必要としているお客さんにより確実に届けることができるでしょう。
4. チャット
友だち追加してくれたお客さんとチャットで1対1のやり取りをすることもできます。お客さんとのつながりを深めたり、チャットを利用してテイクアウトの予約を受け付けることも。
5. チラシ配信
もしお店でチラシを制作しているのであれば、メッセージでチラシの画像を配信してテイクアウトを行っていることを周知できます。「LINEチラシ」というサービスもあります。
LINE公式アカウントを利用したテイクアウトの成功事例
実際にLINE公式アカウントを使ってテイクアウトの宣伝に成功した事例を紹介します。
テイクアウト・デリバリーのみで前年同月比121%の売上!|焼肉店「焼肉 シンラガーデン」
「焼肉 シンラガーデン」(埼玉県川越市)は、2015年にLINE公式アカウントを開設し、ファミリー層を中心にコツコツと友だち数を増やしていました。
2020年4〜5月には、コロナ禍の影響で営業を自粛。飲食店にとって厳しい状況の中でテイクアウト・デリバリーのみの営業に切り替えたところ、2020年5月に前年同月比121%の売上を記録しました。
テイクアウトの告知にはLINE公式アカウントのメッセージ配信を活用し「先着200名に自家製カクテキをプレゼント」といったクーポンをつけ、お得感をアピール。1カ月で約5,000個の焼肉弁当を販売しました。
1カ月で5,000個の弁当を販売! LINEを使った焼肉屋のデリバリー成功の舞台裏(LINEヤフー for Business)
まとめ:LINE公式アカウントはテイクアウトの集客にも活用できる
テイクアウトは、お店の売上を伸ばす軸として用意しておくとメリットが多い施策です。お客さんにとってもお店の味を家でも楽しめる嬉しいサービスです。
テイクアウトを成功させるキーポイントは、テイクアウトを始めたことの周知と集客方法です。
まずはLINE公式アカウントを利用して、効果的に告知を行ないましょう。
イラスト/つのがい