1人で外食する派?しない派? 「する派」が求める、お店との最適な距離感

1人で外食を楽しむ「1人外食」が好きな人もいれば、苦手意識を持っている人もいます。お店としては複数客でも1人客でも食事を楽しんでもらいたいと考えているはずですが、「1人外食」しない派のお客さんはどこに苦手意識を持っているのでしょうか?アンケートを実施し、1人外食の傾向とお店に求める条件について調査しました。

※「Freeasy」調べ n=100

同じ1人でも「ランチ」と「ディナー」には差がある!?

そもそも、「1人で飲食店に入ることに恥ずかしさを感じますか?」と聞いてみたところ、「感じる」と回答したのは全体の39%(「とても感じる」6%、「感じる」11%、「どちらかといえば感じる」22%)。

その理由として「友人がいないと思われそう」「あの人、1人なんだと見られていそう」「1人だと目立つ感じがする」といった声が上がりました。しかし、全体の過半数が「感じない」(「あまり感じない」32%、「まったく感じない」29%)と回答しており、1人外食への抵抗は少ないことが分かります。

確かに、昼休み時に飲食店に行くと1人で店内にいる人がたくさん……!もしかして、1人外食でもランチは問題ないタイプが多いのかもしれないと考え、次は「1人で外食ランチをすることは好きですか?」と聞いてみました。

結果、全体の67%が「好き」(「とても好き」12%、「好き」29%、「どちらかというと好き」26%)と回答。1人での外食ランチの良さについて聞いてみると、

  • 他人に気を遣わずにゆっくりくつろげるから
  • 行きたいと思ったお店に行けるから
  • 食事を楽しみながら、読書などを楽しむことができるから
  • 自分のペースで過ごせるから
  • 心置きなく好きなものを食べられるから

とのこと。「どちらかというと嫌い」「嫌い」という人からは「寂しいから」「つまらないから」という声が多く上がりましたが、1人での外食ランチが好きな人は、食事を楽しむことはもちろん、気分転換や自由な時間を求めていることが分かります。

人それぞれ、心地よいと感じる条件は異なるため、一概に慌ただしい雰囲気よりもゆったりとした雰囲気のお店が過ごしやすいとはいえませんが、1人の場合に限っては後者のようなお店を選ぶ人が多そうです。

一方、ディナーの場合、1人外食に対するお客さんの気持ちに変化があるのか確かめるため、「1人で外食ディナーをすることは好きですか?」を聞いてみました。

「好き」と答えたのは全体の49%(「とても好き」9%、「好き」23%、「どちらかというと好き」17%)で、ランチよりも20%ほどダウンするという結果に。「どちらかというと嫌い」「嫌い」という声が増えたので、その理由を聞いてみました。

  • 高くついてしまうので、1人だと「行こう!」と思えないから
  • お酒を飲むときに1人だと寂しいから
  • 1人で来ている人が少なく、自分が1人だと気になってしまうから
  • 夕飯は誰かと一緒にという気持ちがなんとなくあるから
  • 1日の終わりは家でくつろぎたいから

ディナーはお酒と一緒にというイメージが強いことから、積極的に1人で外食ディナーをする人は少ないようです。お店としては、1人客を歓迎する旨をHPやSNSで発信したり、単身利用向けのメニューを用意したり、工夫の余地はありそうです。

ネガティブな声として値段が高いということが挙がりましたが、時にはぜいたくをしたいというお客さんもいるはずです。1人外食のメリットとして挙がった「他人に気を遣わずにゆっくりとくつろげる」という回答と組み合わせると、1人での外食ディナーにもポジティブな面を見出してもらえそうです。今後、お客さんの中で、「頑張った自分へのご褒美」として1人での外食ディナーが位置付けられるようになるといいのかもしれません。

お店選びの基準は「サクッと」「慣れ」「1人客の有無」

また、1人で外食する人の傾向を探るため、「1人で外食をする際に利用する飲食店」について、理由と一緒に聞いてみました。

1位 ファストフード(49%)

  • 料理が出てくるのが早く、すぐにお店を出られて気が楽だから
  • ファミリーやカップル、複数人のグループに限定されないから
  • 1人で利用できるカウンター席が多いから

2位 チェーンのカフェ(36%)

  • 自分と同じように1人の女性が多いから
  • どこにでもあり、日常的に利用しているので慣れている
  • 隣の席との距離が程よく空いていて、気を遣わなくて済む

3位 ラーメン(33%)

  • くつろぐのではなく、食べることがメインのお店なので何も気にならない
  • 客層的に1人で利用しても違和感がない雰囲気だから
  • 1人利用のお客さんがほとんどで、自分に目線が向かないのがいい

思った以上に、自分と同じ1人客がいるか、いないかでお店を選んでいることが分かります。1人外食をする人と、1人外食が好きな人とでは、お店に求めることのニュアンスが少し違うと思いますが、「他人に気を遣わず」にいられる、「自分のペースで過ごせる」場所というのは共通しそうです。カウンター席を多く設置する、お客さん同士の距離が取れるようにレイアウトを調整するなど、1人客が求めるポイントを探ることにヒントがありそうです。

逆に、「1人で外食をする際に利用しない飲食店」についても聞いてみました。

1位 焼肉(45%)

  • 1人で長くお店にいて、たくさん食べるのは恥ずかしいから
  • 焼いている時間に手持ち無沙汰になってしまうので、話し相手が欲しい
  • カウンター席がない場合が多いから

2位 居酒屋、バイキング、ビュッフェ(42%)

  • 複数人のグループがほとんどで、1人でいる人を見かけない
  • 大勢で行くほうがいろいろな料理を食べられるから
  • 食べるだけでなく、複数人での雰囲気を楽しむような場所だから

さまざまなメニューを食べることで成り立つようなお店は、「1人で行っても、もったいない気がする」「賑やかな空気感になじめない気がする」という声が目立ちます。それを解消するため、1人焼肉や1人居酒屋といった店舗形態が増えてきているのも納得できます。

1人だったらあえてスルーされるくらいが心地よい!

さらに、1人で外食をする際に利用した飲食店で「お店のスタッフにされて嫌だったこと」を聞いてみると、多かったのが「必要以上に話し掛けられた」という声。他には「“1人ですか?”と聞かれた」「複数人のグループに囲まれるような席に通された」という回答もありました。

一方、「お店のスタッフにされてうれしかったこと」で最も多かったのは「必要以上に話し掛けずにそっとしておいてくれた」!1人客に対しては、気に掛けつつも多少放っておく程度の距離感が、お互いにとってベストなのかもしれません。

取材・文おなじみ編集部

イラスト松沢ゆきこ

企画編集株式会社 都恋堂