カフェや喫茶店開業に必要な資金・資格は? 集客のコツ

カフェ開業に必要な資金・資格を紹介

カフェは飲食店の中でも人気の業態で、こだわりが詰まった個人経営のカフェを開業したいと考えている人もいるでしょう。

開業というとハードルが高そうな印象がありますが、未経験でも問題はないのでしょうか。また、開業する場合、どんな資格や資金が必要なのでしょうか。

カフェの開業を始める前に必要な資金・資格を解説するとともに、開業後の集客方法について紹介します。

こんな人におすすめ

  • これからカフェを開業したいと考えている人
  • カフェを開業するにあたり、必要な資金・資格が知りたい人
  • カフェを開業した後、成功させるためのコツが知りたい人
  • カフェ開業の初心者・未経験なので失敗したくない人

未経験や初心者でもカフェや喫茶店を開業できる?

もちろん、未経験・初心者でもカフェや喫茶店を開業することは可能で、開業にあたって必要な資格や免許はそれほど多くありません。総務省統計局(※PDFが開きます)によると、チェーン店に代表されるような法人経営のカフェは約24%、個人経営のカフェは約76%と、多くのカフェが個人経営です。

カフェの開業に必要な資格については後述しますが、料理と接客のスキルについては必ず必要になるため、開業を検討している場合は他店でアルバイトをする、開業について学べるスクールに通うなどして、知識や経験を積んでおきましょう。

カフェを開業する3つの方法

実際にカフェを開業するためには、どのような方法があるのでしょうか。

  1. 自分で開業する
  2. フランチャイズとして開業する
  3. コンサルタントのサポートを受けながら開業する
1. 自分で開業する

まずは、自分の力で開業する方法です。どのようなカフェをつくりたいかという具体的なイメージがあり、実現に向けてこだわりがある人におすすめです。

ただし、開業には多くの資金が必要になるため、経営経験がない人には厳しい道のりになります。カフェ業態に携わるのが初めての人は、カフェの開業ノウハウが学べるスクールがあるので通ってみるのもおすすめです。

スクールによっては、週末コースや夜間コースなど、働きながらでも通いやすい場所もあります。オンラインで講習を行っている場合もあるので、まずは近場のスクールをWebで検索してみましょう。

2. フランチャイズとして開業する

フランチャイズ本部と契約して加盟店のオーナーとなるシステムを利用し、カフェを開業する方法もあります。

運営しながら大手フランチャイズ店のメニューや経営方法を学ぶことができるのがメリット。ただし、あくまでフランチャイズ契約のため、ブランドを理解した上で、ブランドに沿った店づくりや運営を行わなければいけないという制限があります。また、開業後は本部にロイヤリティー(権利使用料)を支払わなければなりません。

3. コンサルタントのサポートを受けながら開業する

経営コンサルタントのサポートを受けながら、カフェを開業する方法もあります。経営のプロから個別にアドバイスを受けられるため、細かなサポートがあり安心です。

ただし、担当者によって得意分野に違いがあったり、コンサルタント料金が相応にかかる場合があったりするので、目指したいカフェの方向性や予算感を確認してから依頼をしましょう。

カフェの開業にはどんな資格・免許・届け出が必要?

必要な資格として、イメージしやすいのは調理師免許がありますが、2022年8月現在、必ずしも必要な資格ではありません。ただし、今後変更となる可能性もあるので、開業するタイミングによってあらためて確認しましょう。実際に必要な資格や免許、届け出は以下の通りです。

食品衛生責任者

カフェを開業するためには、店舗に「食品衛生責任者」の資格を持つ人が1人必要です。店長でなくても構いません。食品衛生責任者は、食品の製造・加工・調理・販売を衛生的に行うために管理し、従業員に対しても衛生教育を行う役割を担います。

資格を取得する場合、費用は1万円/6時間ほどで取得することができます。ただし、調理師免許や栄養士免許など特定の資格を持っていれば講習は免除となります。

防火管理者

30人以上収容できるカフェを開業する場合、「防火管理者」の資格を持つ人が必要です。防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」の2種類があり、日本防火・防災協会が開催している講習を受講することで取得することができます。

店舗面積が延べ300平方メートル以上であれば甲種、300平方メートル未満の場合は乙種または甲種を取得しましょう。費用は甲種の取得講習が8,000円。乙種・甲種の再講習はともに7,000円かかります。甲種は2日間、乙種は1日で取得することが可能です。

参考:一般財団法人 日本防火・防災協会

その他の必要な届け出

手づくりのケーキ等の菓子を提供するカフェを開業し、テイクアウトも行う場合は「菓子製造業」の届け出を保健所に、深夜12時以降にアルコールを提供する場合は「深夜酒類提供飲食店開業開始届出書」を所轄の警察署に提出する必要があります。

個人経営でカフェ事業を主として始める場合は、税務署に個人事業の開業届を提出します。控除が受けられるため、合わせて所得税の青色申告承認申請書を出しておきましょう。

ほかにも、カフェで提供する商品や、店舗の形態によって必要な届け出がある場合があります。お店のコンセプトやメニューが決まった場合には、事前に調べておきましょう。

カフェや喫茶店開業のための資金はどれくらい必要?

カフェを開業するために必要な資金はどれくらいなのでしょうか。

最低でも平均で500〜600万円程度、立地や内装にこだわるなら1,000〜2,000万円の資金が必要で、お店の規模によって大きく変わります。以下、一例をまとめました。

例:東京都・約10坪・席数が10席以下・家賃10万円のカフェを開業する場合(計550万円)

項目

必要な資金

内容

物件取得費 80万円 ・賃料2カ月分=20万円
・敷金1カ月+礼金1カ月分=20万円
・保証金4カ月分=40万円
看板施工費 20万円 ・看板など、外観の改装
内装・設計費 150万円 ・インテリアなどの内装
厨房機器費 100万円 ・キッチンなどの設備
備品購入費 30万円 ・お皿やコップ、スプーンなど
宣伝費 40万円 ・チラシ制作やWeb広告費など
仕入れ費 30万円 ・売上目標の3~4割の原材料費を設定
・月次売上目標が100万円とした場合、30万円の仕入れ費がかかる
運転資金 100万円 ・事業をまわしていくための資金

参考:財務局 経済産業局 認定支援機関 資金調達ノート

カフェ開業の初期費用を抑えるには?

カフェ開業の初期費用を抑えるには

カフェを開業するには多くの初期費用がかかります。できるだけ費用を抑えるためにはどのようにすれば良いのでしょうか。

居抜き物件など、設備が整っている場所を選ぶ

「居抜き物件」は、以前もカフェなどを営業していて前のオーナーが残したものをそのまま利用できる物件です。家具や什器などの設備がある程度整っているため、改装費用などを抑えることができます。

共同経営者と一緒に開業する・出資者を募る

1人で全ての費用を捻出するのが難しい場合は、共同経営者と一緒に開業するのも1つの手です。クラウドファンディングなどで出資者を募る方法もあります。

内装の一部を自作する

DIYが得意であれば、簡単な棚などを自作するのも良いでしょう。よりお店の個性を出すこともできます。

備品などは中古で購入する

備品などは中古品で購入することも検討しましょう。新品で買うよりも安く、味のあるインテリアなどをうまく選べばお店の雰囲気も良くなります。

開業のための助成金制度を利用する

開業のために条件を満たせば受給できる厚生労働省管轄の助成金、自治体の補助金制度を検討してみましょう。

例えば、東京都で開業を予定している場合、「東京都中小企業新興公社の創業助成金」、一定の条件を満たした上で審査によって受給できる「全国商工会連合会の小規模事業者持続化補助金」、軽減税率に対応したレジにするなど軽減税率への取り組みを支援する「中小企業庁の軽減税率対策補助金」などがあります。

居住地域によって制度が異なる場合があるので、事前に調べておきましょう。

カフェ・喫茶店を開業したい初心者・未経験者が失敗しないための5つのポイント

カフェの開業は、取得するべき資格などが比較的少なく始められること、狭いスペースでも運営できることもあり、飲食店業界の中でも開業のハードルは低いと思われるかもしれません。

しかし、カフェに限らず飲食業は廃業率が高い一面もあるのが現実です。中小企業庁による2020年版『小規模企業白書』の「中小企業・小規模事業者の新陳代謝」(※PDFが開きます)によれば、宿泊業と並び飲食業は最も廃業の多い業種になっています。

失敗を未然に防ぐためには、どのようなことに気を付けてカフェ営業を行えばいいのでしょうか。カフェの営業を始める上で意識したいポイントを3つ紹介します。

  1. コンセプトをはっきりさせる
  2. 電源、Wi-Fiなどの便利な設備を用意する
  3. 立地・物件選びは非常に重要
  4. 店舗や設備のデザイン、メニュー開発にこだわる
  5. 集客にSNSやLINE公式アカウントを活用する

1. コンセプトをはっきりさせる

カフェを開業するにあたって重要なのは、お店のコンセプトをはっきりさせること。コンセプトがしっかりしていれば、立地・メニュー・食器・インテリア・BGMなどを決める際に基準にできる上、店内オペレーションの方向性もまとまりやすくなります。

また、独自のコンセプトを持つことで他店と差別化されて口コミが広がるなど、お客さんに選ばれやすいお店になります。

では、人気のカフェにはどのようなコンセプトがあるのでしょうか。実際にカフェを運営する人が意識している自店舗のコンセプトから、お客さんから愛されているカフェまで、事例を紹介します。

「喫茶店は雰囲気を売るところ」地元で愛される店を作り続ける「現代企業社」

カフェ 現代企業社

ローカルチェーンでカフェを運営している現代企業社は、高知県で14店舗を展開しています。

高知県は県民数に対する喫茶店の数が日本一*1を誇り、人々の食事の場・憩いの場として喫茶店の文化が根づいています。

芸術文化を愛するオーナーが小説を書きながら始めた店は、ギャラリーを併設するなど、それぞれのお店で芸術性をコンセプトに経営しています。独自の個性を持ちワクワクする空間は、文化人だけではなく多くの人々が集まる場となりました。

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「珈琲店六曜社」メニュー以外の「過ごしたくなる空間づくり」を大切に

カフェ 珈琲店六曜社

珈琲店六曜社は、3代にわたり京都で経営している老舗喫茶店。「喫茶店は珈琲が主役ではない」という考えを念頭に置き、メニュー以外にも魅力があるお店づくりをコンセプトとしています。こだわりの珈琲を飲みながら、お客さんが「過ごしたい時間」を過ごせる空間づくりを意識しているそうです。

目には見えない居心地の良さが、常連さんだけではなく若い世代が足を運ぶきっかけとなっています。

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喫茶店2,000店以上を巡る難波里奈さん「いつ行っても心地よい店」が常連客を呼ぶ

喫茶店 エース

今度は、お客さんの目線から純喫茶の魅力にはまり、訪れた店は2,000店以上にもなる「東京喫茶店研究所」2代目所長・難波里奈さんの話を紹介します。

難波さんはポップな内装で入りやすい「エース」(神田)、美術品が多く展示されている「ネルケン」(高円寺)などの喫茶店がお気に入りだそう。難波さんが考える「通いたくなるお店」とは、店員とお客さんとの間に適度な距離感があり、いつ行っても同じ空気感で受け入れてくれる心地よいお店だそうです。

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コンセプトの具体的なつくり方

コンセプトづくりは、どんなカフェをつくりたいかを具体的に思い描き、変えたくない軸を決めることから始めましょう。

軸がはっきりした後、それを元に「どうすればお客さんが来店しやすいお店になるか」を考えます。お気に入りのカフェに足を運び、成功しているところや好きなところ、改善したい点を考えてみると、そのお店と比較して自分のお店でやりたいこともはっきりしてきます。

効率的にコンセプトを考えるなら、5W2Hに沿って書き出してみるのも方法の1つです。コンセプトの作り方については、関連記事の中で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

5W2H

考えること

なぜ(why) どのようなお店にしたいか
誰に(who) お店に来てほしいターゲット層
何を(what) メニューは何にするか
どこで(where) お店を開く立地はどこか
いつ(when) 営業時間はどの時間帯か
いくらで(how much) どれくらいの価格帯にするか
どのように(how) どのようなサービスを提供するか

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2. 電源、Wi-Fiなどの便利な設備を用意する

近年、新型コロナウイルスの感染症拡大による影響もあり、仕事をする場所が以前よりも自由になりました。PCやタブレットを使ってカフェで仕事をする「ノマドワーカー」も増えており、このようなお客さんは常連客になる可能性が高い存在です。

そのために導入しておきたいのが、Wi-Fi環境です。さらに、電源コンセントも備えておけば、端末の充電切れにも対応することができます。

ノマドワーカーに限らず、カフェでスマホやタブレットを使用するお客さんも多いので、Wi-Fi環境や電源コンセントなどの設備があれば繰り返しお店を利用してもらえるきっかけになることもあります。

3. 立地・物件選びは非常に重要

店舗の立地条件はカフェ・喫茶店の成功を大きく左右する要素です。人の通りが多く見通しのよい場所、駐車場がある、1階の路面店であるなどの物件の方が一般的には有利ですが、それだけがカフェ開業を成功させる条件とは限りません。自分の店が目指すコンセプトとマッチした場所かどうかなども考慮し、総合的に判断するようにしましょう。

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4. 店舗や設備のデザイン、メニュー開発にこだわる

お店ならではのおいしいメニューやコーヒーを提供することはもちろんですが、それ以上にお店のコンセプトやターゲットを考えた上での「顧客層に合ったメニュー作り」が求められます。また、店舗の内装やデザイン、設備などについても、顧客層を踏まえたものを選ぶことが大切です。

5. 集客にSNSやLINE公式アカウントを活用する

行きたいカフェや近場にあるカフェを探してSNSを利用する人が増えているため、集客やリピーター探しにはSNSでの発信に力を入れるのが効果的です。

SNSを運営する上でのポイントは大きく3つあります。

1. 毎日投稿する
2. 写真映えするメニューを用意し、SNS映えを狙う
3. クーポンを用意し、リピーター獲得につながるような施策を投稿

上記の3点をふまえてLINE公式アカウントも同時に活用すると、より集客の効果が期待できます。

カフェの集客にはリピーターが最重要。LINE公式アカウントを活用しよう

どんな業態の飲食店であっても、経営者の頭を常に悩ませるのが「集客」です。特にカフェを安定して経営していくためには、リピーターのお客さんをどのように獲得するかが重要です。

LINE公式アカウントには、そんなリピーター獲得に効果的な機能がたくさん備わっています。どのように活用できるのか、それぞれ簡単に紹介します。

1. LINEチャット

友だち追加をしてくれたお客さんと、普段使っているLINEと同じように個別にチャットをすることができます。電話に出られないときの問い合わせや予約にも活用できます。

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2. メッセージの一斉配信とステップ配信

友だち追加をしているお客さん全員にメッセージを一斉配信できるため、新メニューや割引クーポンを送付して来店を促すことが可能です。また、友だち追加をしてもらった際に自動でメッセージを送るなど、あらかじめ用意していたメッセージを任意のタイミングで配信する「ステップ配信」も活用できます。

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3. リッチメニュー

LINE公式アカウントのトーク画面下部に固定のメニューを設置することができます。ポイントカード(ショップカード)やクーポンを設定しておくことで、お客さんがトーク画面を開いたときにいつでも目に入るようになります。

4. クーポン

お店で利用できるクーポンを、メッセージで配信することができます。お得なクーポンはお店に再来店する動機になるため、リピーター獲得にも効果的です。

5. ポイントカード(ショップカード)

ポイントが貯まるショップカードの作成も可能。ゴールまでのポイント数やポイントの条件もこまめに設定できるので、まずは数回で獲得できる特典を用意しておくことが運用のコツです。

www.lycbiz.com

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LINEは月間で9,500万人が利用しており(2023年6月末現在)、お客さん・お店の双方に馴染みがあるアプリです。LINE公式アカウントは無料で開設することができるので、まずは試してみるのがおすすめです。

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まとめ:カフェの集客はLINE公式アカウントで

カフェは飲食店の中でも比較的簡単に開業できる業種であり、お客さんの憩いの場をつくることができるという魅力があります。

カフェを長く続けていくためには、開業前にしっかりとしたコンセプトを作り、それに基づいた経営戦略を立てることが必要です。さらに、安定した収益を獲得するためには、リピーターの存在が最も大切です。

LINE公式アカウントは、リピーターの獲得に役立つ機能がたくさん備わっています。ぜひ下記のリンクから確認してください。

イラスト/つのがい

*1:総務省統計局/統計トピックスNo111 ランキングでみた産業別・地域別の経済活動 -平成28年経済センサス- 活動調査結果から:https://www.stat.go.jp/data/e-census/topics/topi111/pdf/topics111.pdf