コロナ禍を経てリピーターや常連の重要性が見直されていますが、お客さんに何度も来店してもらうのは、簡単なことではありません。料理に満足してもらっていても、口コミは高評価が多くてもリピート率が上がらない……と悩んでいるお店も多いのではないでしょうか?そこで、「再訪問したいお店」についてアンケートを実施。お客さんに「また来たい!」と思ってもらうために、どんな取り組みが必要なのかを紹介します。
※「Freeasy」調べ n=100
大きなマイナス要素として見られやすい「店員の接客・態度」
まずは「飲食店で『またこのお店に来たい』と思った経験はありますか?」という質問。これに対し、全体の64%が「ある」と答えました。飲食店ではおいしい料理を食べたいと思う人が大多数のようで、「味がおいしかったから」が最多(84.4%)の理由。料理関連では「メニューが豊富だったから」(34.4%)という回答も多くの票を集めました。
次に多かったのは、「お店の雰囲気が良かったから」(51.6%)。雰囲気を良くするために何か対策をするのは難しいかもしれませんが、お客さんがつい長居してしまうような居心地の良さが、「また来たい」と思わせることにつながっているのでしょう。素敵な外装や内装も要素として考えられますが、「再訪問したいお店」として印象に残るためには、雰囲気が伴っている必要がありそうです。
逆に「飲食店で『もうこのお店に来たくない』と思った経験はありますか?」と質問には、全体の60%が「ある」と答え、その中では「味がおいしくなかったから」(61.7%)という理由が最も多くなりました。「また来たい」と思う理由で1番だった「味がおいしかったから」の逆であり、分かりやすい結果です。
ここで見逃せないのが、「味がおいしくなかったから」と同率でランクインした「店員の接客・態度が悪かったから」という回答。そこで、「もう来たくない」と思った理由に「店員の接客・態度」を選択した人に対し、具体的なエピソードを聞いてみました。
店員の私語が多い!
「仕事に関係がない会話が聞こえてくると、だらっとしているように見えてしまいます」
注文の取り方が雑!
「復唱がなく、きちんと注文できているのか不安になります。面倒な気持ちは分かりますが、わざわざまた呼び出して『注文できている?』と確認するのも気が引けるので……」
お客さんによって態度を変えている!
「常連のお客さんが多そうなお店に行ったとき、初来店の私には明らかに目もくれず、オーダーするだけでも気を使ってしまいました」
店内で怒鳴り声が聞こえた!
「アルバイト店員が何かしてしまったのか、店主が怒る声がお客さんに丸聞こえ。食べ終えて少しゆったりしようと思っていましたが、嫌な気分になってすぐ店を出ました」
所作が乱暴だった!
「食器を下げるときにガチャガチャ音を立てたり、食事をドンッと置いたり。ささいなことですが、食事をする場所なので気になります」
ちなみに、店員の接客・態度は、「また来たい」と思う理由として上位にランクインしていません(21.9%)。飲食店の場合、「接客・態度がいい」のは当たり前の前提であり、再来店したいと思う大きなきっかけにはならないということ。逆にここが疎かになっていると、悪印象を与えてしまいます。
一方、「また来たい」理由として多くの人から選ばれていた「雰囲気」は、「もう来たくない」と思う理由としても多く選ばれていました(43.3%)。これも、店員の接客・態度と密接な関係がありそうで、お店の雰囲気というものは、やはり店員がつくり出すものなのかもしれません。丁寧な口調、柔らかな所作、穏やかな振る舞い……。忙しい中で難しい局面もあるかもしれませんが、どの要素も「お客さんへの誠意」がベースにあります。
また、ネットで気軽に予約できるようになったこともあり、予約の取りづらさも「もう来たくない」と思う理由になるのではと仮定。「予約の取りにくさが、『もうこのお店に行きたくない』理由になるか」という質問も投げかけてみました。
これには、全体の56%が「ならない」と反応。続いて、「なる」と答えた人たちに、どのような予約方法・手順であればまた行きたいと思うかをヒアリングしました。1番多かったのが「当日予約を受け付けている」でした。確かに、比較的大人数の飲み会などは当日でもネット予約ができるお店があると助かるかもしれません。
お店からの気遣いは、お客さんはいつだってうれしい
店員の接客・態度に対してきちんと指導していたり、「雰囲気がいいね」と言われたりするお店でも、リピーターが増えない場合もあります。ここまでくると、お客さんの「また来たい」という気持ちをお店側がつくりだすのは難しいと思ってしまいがち。それでも、来店後の気遣いによって改善できる場合もあるのでは……と考えて「来店後にどんな心遣いがあると『またこのお店に来たい』と思いますか?」と聞いてみました。
意見が多かった要望
- 新作メニューの案内
- 誕生月特典
- 再来客向けクーポン
総じて「次回の来店メリットを案内すること」が重要そうです。退店後にお礼のメッセージが届くとうれしいと答えた人もいました。お店としてはやりすぎではないかと心配になりそうですが、これも「お客さんへの誠意」が伝わる対応方法の一つかもしれません。
お店が思っている以上に、お客さんの1回1回の外食の機会は価値があるものです。それに対して「誠意」で応えることができれば、お客さんが見出してくれている価値をさらに上げることができ、お客さんの「また来たい!」という気持ちを生み出すことができるのではないでしょうか。
- 取材・文おなじみ編集部
イラスト松沢ゆきこ
企画編集株式会社 都恋堂