インターネットやスマートフォンの普及により、さまざまな業界でオンラインでの集客、いわゆる「Web集客」が活用されるようになりました。もちろん、飲食業界も例外ではなく、Web集客戦略がお店の売り上げを左右するようになったといっても過言ではありません。
しかし、Web集客の方法は多種多様。お店の業態や規模によって適切な方法を選ぶ必要があります。今回の記事では、Web集客について詳しく解説します。
こんな人におすすめ
- 店舗を運営しており、Web集客の方法や選び方を知りたい・学びたいと考えている人
- 事例などから、自分の店舗に合ったWeb集客の方法を知りたいと考えている人
- Web集客とは?店舗におすすめする理由
- Web集客を実施する前に整理すべきポイント
- 店舗におすすめのWeb集客の種類と方法
- まとめ:低予算・短時間でWeb集客をするならLINE公式アカウントがおすすめ
Web集客とは?店舗におすすめする理由
チラシ、POP、広告、口コミなどさまざまな集客施策がある中で、なぜ、Web集客が必要になってくるのでしょうか。その理由について解説します。
Web集客の概要・特徴
Web集客とは、オンライン上のツールやプラットフォームで商品やサービスを訴求する集客手法です。GoogleやYahoo!などの検索エンジン、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNS、YouTubeやTikTokといった動画配信サービス、ニュースメディアの掲載枠など、さまざまなツールやプラットフォームを活用した集客施策が挙げられます。
Web集客の最大のメリットとして、無料で始められることが挙げられます。もちろん、一部、初期から有料のサービスもありますが、無料で始められるサービスの選択肢も豊富です。例えば、SNSなどでアカウントを作ってお店のメニューや雰囲気について情報を発信すれば、お店の宣伝だけではなく、お客さんにどんなお店かが伝わり、ファンづくりにも役立つでしょう。
また、多くのWeb集客施策において、リーチ数(どのくらいの人に情報が届いたかの数)、クリック数(どのくらいの人が発信した情報や広告をクリックしてくれたかの数)といった「施策の効果」が計測できるので、費用対効果を検証しやすいのも特長のひとつです。
さらに、こうして得られたデータを分析し、より効果の高い施策を打ち出せるのもWeb集客の大きなポイントです。SNSでもインサイト(年齢や性別などお店の情報を見てくれた人の属性、発信した情報がどのくらいの人に届いたかなどの情報)を分析できるので、どのようなユーザーがお店に興味を持っているかを知る手がかりにもなります。
店舗にWeb集客をおすすめする理由
Web集客施策は、非常に多くの人に情報を届けることができます。
「自分のお店のお客さんは年齢層が高いから、Web集客をしても情報を見てもらえない」と感じる飲食店関係者の方もいるかもしれません。しかし、実際は日本人のほとんどがインターネットに触れ、何らかの情報を得ています。
総務省のデータによると、日本人のインターネット利用率は2020年の段階で約83%です。年齢を問わず、ほとんどの人が日常的にインターネットに接していることが分かります。
さらに、インターネット利用者を世代別に見ると、10代中盤〜40代はほぼ100%に近い割合となっています。60歳以上のインターネット利用者数も大きく増えており、80歳以上の利用者も1年で2倍以上増加しています。
このように、世代を問わず多くの人がインターネットを利用しています。つまり、Web集客は年齢を問わずお客さんに接触できる施策であるといえるでしょう。
ツールによっては、地域や年齢層、趣味嗜好などでターゲットをしぼり込んで広告を配信できるため、「自店に興味を持ちそうな人」に重点的に情報を届けられます。
Web集客を実施する前に整理すべきポイント
さて、Web集客を効果的に実施するためには、事前に整理すべきポイントがいくつかあります。ひとつずつ確認していきましょう。
1. Web集客の目的や役割を整理する
なぜWeb集客という方法を選ぶことにしたのか、その目的や役割を明確にしましょう。「チラシの配布やポスティングでは費用対効果が悪かった。低コストで集客施策を実施したい」「リアル(オフライン)では届きにくい客層にアプローチしたい」など、Web集客に至る経緯と理由を考えることで、施策の目的を明確にできます。
2. すでに保有している情報発信手段やリソース(人や時間など)を整理する
お店がすでに保有している情報発信手段(SNSアカウントや店舗サイトなど)で、Web集客に使えるものを活用しましょう。同時に、保有する情報発信手段を運用する時間や人員を確保できるかを確認しておくことも大切です。
情報発信手段がない場合、まずは手段を持つことから始めましょう。店舗サイトは開設に費用や時間がかかるため、比較的手軽でなおかつ無料で始められるSNSアカウントの開設から検討してみてください。
情報発信手段はあっても時間や人材といったリソースがない場合、リソースを整理し運用体制を整えます。在籍するスタッフへの依頼が難しい場合は、在籍スタッフの業務量を調整し時間をつくる、新しい担当者の雇用を検討する、といったことも必要でしょう。
以上のようにWeb集客の目的を明確化し、情報発信手段とリソースを確認・整理することが、Web集客の第一歩です。
3. 訴求する顧客層を明確にする
Web集客に取り組む前に、どのようなお客さんにお店を訴求するべきかを考えておくことが大切です。
年齢や性別、居住エリア、所得水準など、できるだけ具体的に顧客像を設定します。訴求したい顧客層によって選ぶべきWeb集客のツールや戦略が変わってきます。全ての施策は顧客像を起点に考えることを心がけましょう。
4. ひとつだけでなく複数の手法を選ぶ
Web集客には、広告出稿など専門的な知識や経験が必要なものもあります。中には、コンサルタントや専門業者に依頼したほうがうまくいく場合もあるでしょう。しかし、SNS運用などは、現在のリソースである程度対応できることもあります。
また、Web集客はどの手段を用いるかによってリーチできる顧客層が変わってきます。店舗にとって、得意・不得意、向き・不向きもあるので、「SNS+Web広告」のように、複数のWeb集客施策を同時進行できるといいでしょう。
店舗におすすめのWeb集客の種類と方法
Web集客の方法は多岐にわたりますが、代表的なものについて種類ごとに説明します。自店の課題を解決できそうなのはどの方法か、ぜひ確認してみてください。
Web集客の種類を解説
- SNS運用・広告
- Google ビジネス プロフィール(旧Google マイビジネス)
- グルメポータルサイト・クーポン配信サイト
- Web広告(リスティング・ディスプレイ・アフェリエイトなど)
- SEO施策(お店のWebサイトやブログなど)
- YouTube運用・広告
- ダイレクトメール
- プレスリリース
1. SNS運用・広告
SNSは比較的気軽に、無料で始められるWeb集客ツールです。Twitter、Facebook、Instagram、コミュニケーションアプリのLINEなどが該当します。まずはアカウントを開設し、コンテンツを投稿し店の魅力を伝えましょう。
「Facebookは年齢が高いユーザーが比較的多い」「Twitterは若者のユーザーが比較的多い」といったように、SNSはサービスごとに特長があり、フォロワーの増やし方や運用方法が異なります。
複数のSNSを同時運用してお店や顧客層に合ったSNSを見極め、そのSNSをメインに情報発信していく方法と、最初からどのSNSを運用するのがお店にとって合っているかを考え、ひとつのSNS運用に注力する方法があります。
いずれもアカウントを育てるには時間が必要です。結果がすぐに出なくても、少なくとも半年程度は継続して運用してみましょう。
アカウント運用だけでなく、SNS広告を活用するのも一つの手です。SNS広告とは、各種SNSに配信する広告です。ユーザーが眺めるさまざまな投稿が並ぶ画面(タイムライン)をはじめ、さまざまな場所に広告が表示できます。バナーやテキストだけでなく、動画も広告に活用できます。
ユーザーが日常的に見る画面に表示されるので、目に入りやすいWeb集客施策といえるでしょう。
また、広告を訴求したい人を年齢や性別、居住地域などでターゲティングできることがSNS広告のメリットで、自分のお店のテイストやコンセプトにあった人に絞って情報を届けられます。
2. Google ビジネス プロフィール(旧Google マイビジネス)
Google ビジネス プロフィールは、無料で登録できるツールです。Google検索やGoogleマップ検索の結果に表示されるお店の情報を管理できるため、活用している飲食店も少なくありません。お店の屋号、営業時間、お店やメニューの写真掲載、キャンペーン情報など、多くの情報が掲載できるので、検索して訪れるお客さんに対し、お店の公式情報を提供できます。
お店探しをする際、例えば「新宿 カフェ」「近くにあるカフェ」といったアバウトな検索ワードに対してもお店の情報を提示できる可能性があるので、新規のお客さんとの接点づくりにも活用できます。
オーナーが作成しなくても、Googleのユーザーによる投稿やGoogleが集めたインターネット上の情報によって自動的に作成されることもあります。まずはお店のGoogleビジネスプロフィールが存在するかどうかを確認し、もしある場合はオーナーとして登録しましょう。正しい情報を記載することが大切です。
3. グルメポータルサイト・クーポン配信サイト
数多くの飲食店が掲載されているグルメポータルサイトやクーポン配信サイトに登録することで、飲食店を探している人やお得なクーポンを探している人に、ピンポイントでお店の情報を探し出してもらえます。
さまざまなサイトがあり、一部機能は無料〜完全有料など情報掲載にかかわる料金形態もさまざまですが、「飲食店情報を探している人」に対してダイレクトにお店の情報を届けられる点は見逃せません。
サイトの特長や年齢やお店に求めるグレード感などといった、「そのサイトをよく見るユーザーの性質」を理解し、お店に合っていそうであれば掲載を検討してもいいでしょう。
4. Web広告(リスティング・ディスプレイ・アフェリエイトなど)
Web広告にはさまざまな種類があります。Googleなどの検索エンジンの検索結果の画面にテキストで表示される「リスティング広告」、Webサイトやアプリなどの広告枠に写真や動画とテキストで表示される「ディスプレイ広告」などです。
Web広告配信サービスも多種多様ですが、一般的にはユーザーのオンライン上での行動をもとに、適切な広告が表示されるよう工夫されています。
例えば、「新宿にある飲食店をオンラインで検索していることが多い」ユーザーに対しては、新宿の飲食店のWeb広告を表示する、といったような最適化が図られており、お店の情報を顧客になってくれそうな人に届けることが可能です。
リスティングやディスプレイなど、どのWeb広告がお店に合っているか、どのような広告を配信するべきかなどは、知見のあるコンサルに運用を依頼するのも一つの手です。
5. SEO施策(お店のWebサイトやブログなど)
SEOとは「Search Engine Optimization:検索エンジン最適化」の略語です。これは誰かが何かしらのキーワードを検索した際、検索画面に上位表示されることを目指す施策です。
検索画面の上位に表示されるということは、それだけユーザーの目にとまりやすくなり、自店の情報が多くのユーザーに伝わりやすくなります。その結果として、検索エンジン経由でお店のサイトに訪れる人が増え、店舗への集客につながります。
方法としては、「特定のキーワードを用いたテキストコンテンツを制作する」「お店のサイト内の回遊率を上げ、リアル店舗への集客につながる導線を工夫する」など、さまざまな手法があります。
近年ではユーザーの「情報を見る目」が肥えてきていることから、お店の営業時間やメニューを羅列するだけでなく、お店の魅力や特徴をきちんと伝えられるようなコンテンツをお店のサイトやブログに掲載できるといいでしょう。コンサルタントなどプロの知見を取り入れても良いでしょう。
6. YouTube運用・広告
YouTubeを通じた動画配信やYouTube上での広告もWeb集客のひとつの方法です。地域やユーザーの行動傾向、興味・関心などから選んだコンテンツで動画広告を掲載できるため、お店のターゲット層へ的確にアプローチできます。
7. ダイレクトメール
顧客へのダイレクトメールという集客方法もあります。リアルな手紙を使ったダイレクトメール施策は古くから使われる集客手法ですが、Eメールで送るダイレクトメールも立派なWeb集客施策のひとつです。
お店のサイトなどにメールアドレスを登録しているお客さん向けにはなりますが、クーポンを付ける、イベントの案内をする、メールマガジンにするなど、お店の自由に運用できるので、適切な情報をお客さんに届けることでリピート促進やファン化といった効果が期待できます。
もちろん、メールアドレスの情報さえあれば、新規顧客にアプローチすることも可能です。なお、メール配信前に必ずお客さんから「メールを送っていい」といった同意を得るようにしましょう。
8. プレスリリース
メディアが日々チェックしているプレスリリースのプラットフォームに、イベントやキャンペーンなどお店の情報を掲載することも場合によっては有効です。掲載は有料の場合が一般的です。厳選したテキストと写真でお店の魅力を伝えることが大切になります。
飲食店を例に、おすすめのWeb集客の手法5つを解説
1. グルメサイトを活用した集客
飲食店に特化した情報サイトや予約サイトなどには「来月の週末に5人の飲み会で使う和食系居酒屋を探したい」など、ニーズがはっきりしたユーザーが集まりやすいという特長があり、おすすめのWeb集客方法です。
「隠れ家」「デートに使える」「テーブル・カウンターあり」など、サービスサイト内でのカテゴリーがあるので、お店のコンセプトやアピールポイント、コンセプトなどを改めて整理すると訴求しやすいでしょう。看板料理や店内風景などの写真も重要なので、グルメサイト制作担当者と情報を共有し、最大限に活用したいところです。
2. Google ビジネス プロフィールを使った集客
Google ビジネス プロフィールは、「いま情報を検索している一般ユーザー」に向けてお店の情報を提供できる手段です。「近くのピザがおいしい店」など、音声検索などでも利用されることも多く、該当エリアの利用者に届きやすいという特長があります。
開店時間や閉店時間、定休日など正しい情報が掲載されているかをチェックし、もしも間違った情報の場合、修正するだけでも集客につながる可能性があります。
また、口コミ投稿にお店から返信できたり、ユーザーからの質問に回答できるなど、お客さんとのコミュニケーションツールとしても利用できます。無料ツールなので、うまく活用したいところです。
3. クーポン配信サイトやアプリを活用した集客
割引クーポンは顧客の来店機会や頻度を高めやすいというメリットがあります。日本で有数のユーザー数を誇る巨大プラットフォームであるLINE( LINE公式アカウント )でも、クーポンが配信できます。パーソナライズされた1対1のコミュニケーションで、お店のメニューやサービスをアピールできるため、集客効果は高いでしょう。
4. SNSを活用した集客
LINE、Twitter、Instagramなどを通じてお店の情報をコンテンツとして投稿したり、ライブ配信によってユーザーとコミュニケーションを行ったりすることで、フォロワーやファンを増やせます。フォローされたユーザーに定期的に情報を届けられるというメリットもあります。
こちらも無料で始められるので、ぜひアカウントをつくりそれぞれの特性に合わせた投稿方針を事前に決定した上で、運用してみましょう。
5. LINE公式アカウントを活用した集客
既存のお客さんとつながり、継続的な情報発信やコミュニケーションを通じて満足度を高めたいときにおすすめなのがLINEです。
店舗用のLINE公式アカウントは、お客さんとお店をつなぐ無料で便利な機能が多数含まれます。お店のアカウントを友だち追加しているユーザーに向けてのメッセージ配信はもちろん、クーポンを配信することもできます。また、「ショップカード機能」では、お店のデジタルポイントカードとしての利用が可能です。ぜひ活用してみてください。
まとめ:低予算・短時間でWeb集客をするならLINE公式アカウントがおすすめ
インターネットを活用したWeb集客は、多くの人にお店の魅力を訴求できる方法です。SNS運用など無料で実施できる方法を選べば、費用対効果が高いというメリットもあります。
Web集客には複数の手法がありますが、限られた予算で施策を行う個人経営の飲食店にも、今回の記事でご紹介したWeb集客はおすすめです。ひとつだけでなく、複数の方法を組み合わせて実施すると、より効果が出やすいでしょう。
LINE公式アカウントは、低予算・短時間でも運用できるWeb集客の方法です。ぜひご利用ください。