行列ができる回転寿司「回し寿司 活」のLINE活用術。アナログとデジタルの融合で“感動”を届ける

高品質の寿司をお手頃価格で提供する回転寿司店「回し寿司 活」に、LINE公式アカウントの活用方法を伺いました。


一度ならず、何度も足を運んでくれる「おなじみ」のお客さんは、飲食店にとって心強い存在です。多くの常連客の心をつかむお店は、どのような工夫をしているのでしょうか。

2002年に創業した「回し寿司 活」は、圧倒的な鮮度と「ネタの大きさ」にこだわった本格寿司を、回転寿司のスタイルで提供する人気チェーン。

同店は、「板前の活気」というアナログな魅力に加え、LINE公式アカウントを活用したデジタル集客にも取り組んでいます。LINE公式アカウントがお店の運営にどう貢献しているのか、「横浜スカイビル店」スーパーバイザーの大胡勇喜さんに伺いました。

「回し寿司 活」大胡勇さんのプロフィール写真

大胡勇喜(だいご ゆうき)さん

「回し寿司 活 横浜スカイビル店」のスーパーバイザー。2016年に入社し、現在は横浜スカイビル店の運営を担当している。76席の店舗を管理し、日本人スタッフだけでなく外国人スタッフも含めたチーム運営を行っている

高鮮度・低価格を実現する“仕入れ”と“商品”の戦略 

――まずは、お店のルーツについて教えてください。2002年のオープン時、どのような想いから「回し寿司 活」は生まれたのでしょうか。

大胡さん:「回し寿司 活」は、新鮮で大きなネタのお寿司を、回転寿司スタイルで多くのお客さまに楽しんでいただきたいという思いから、目黒の地でスタートしました。

現在は関東に8店舗、さらにハワイやタイにも展開しています。ここ「横浜スカイビル店」は2011年にオープンしました。

――昨今は物価高騰の影響も大きいかと思いますが、低価格と鮮度の両立は大変ではないですか?

大胡さん:そうですね。魚の価格も上がっていますので、正直なところ影響がないと言えば嘘になります。ただ、そこをカバーするために、豊洲市場以外からの仕入れにも取り組むなど工夫を凝らしています。

「横浜スカイビル店」は、近くにある横浜中央市場からの仕入れに加えて、船橋漁港からの直送も行っています。横浜に根差した当店だからこそ、地域の市場から仕入れることで、一緒に街を盛り上げていければと思っています。

今のところこの取り組みは横浜エリアの店舗限定ですが、体制が整えば他店にも展開していきたいと考えています。

――メニューのバリエーションの多さも魅力ですが、商品開発において特に意識されていることはありますか?

大胡さん:これは全店共通ですが、鮮度の高いネタを大ぶりかつ、お手頃な価格で提供することです。 昨今はマグロなどの原価も上がっていますが、高品質なものを変わらぬ価格でお出しすることを守っています。「ネタのクオリティーと価格」のバランスには自信がありますね。

また、「毎月おすすめメニューが変わる」のも特徴です。そのとき一番おいしい魚が入ってくるので、逆に来店された時に「前に食べたネタがない」ということもありますが、その分新しいネタとの出合いがあります。「常に新しい発見がある」という状態にはこだわりを持っています。

「活気」と「効率」の両立。アナログな接客とオペレーション

――仕入れ以外で、横浜スカイビル店ならではの「強み」や「特徴」はありますか?

大胡さん:板前が直接お客さまの前で握ることで生まれる「活気」ですね。当店の板前は寿司を握るだけでなく、おすすめの案内などで店全体の空気を盛り上げてくれています。この「活気」は、他店に負けないと自負しています。

どうしてもお客さまは「いつもの好きなネタ」から注文される傾向があるので、「そんなネタもあるんだ!」と気づいてもらうための声かけは欠かせません。自分がお客の立場でも、活気のある店は楽しいと感じますから、この雰囲気づくりはとても大切にしています。

――これだけの忙しさの中で、オペレーションを効率よく回すための工夫はあるのでしょうか?

大胡さん:「One way two job(ワンウェイ・ツージョブ)」、つまり“一つの動きで二つの仕事をする”という考え方を徹底しています。 スムーズな案内のためには、個々の効率的な動きが不可欠です。「周りを見ながら、一度の動きで複数の仕事をしよう」と全員に伝え、実践してもらっています。

――具体的にはどのような動きでしょうか?

大胡さん:例えば、回転レーン内の板前も、手が空けばホールへ出て片づけを手伝いますし、ホールスタッフも洗い場に顔を出して声をかけ合います。 「ここは自分の仕事」と線を引いてしまうと、チームとしての連携が止まり、無駄が多くなってしまいます。できる人がどんどんフォローに入り、全体で効率よく動く。そうした小さな連携が、良いチームワークを生み、店舗全体の効率を高めています。

アナログで「感動」を、デジタルで「再来店」を。リピーターを生むLINE公式アカウント活用術

――どのようなお客さんが多く来店されるのでしょうか?

大胡さん:若い方からご年配の方まで幅広い年齢層のお客様がいらっしゃいます。横浜駅近くという立地柄、オフィス勤務の方も多いですし、休日はご家族連れ、観光や出張で訪れる方も目立ちます。下階に成田空港行きのバスターミナル(YCAT)があるため、海外からの旅行者の方も多いですね。

――立地的に一見さんが多そうに見えますが、リピーターと新規のお客さんではどちらが多いのですか?

大胡さん:意外に思われるかもしれませんが、リピーターの方が多い印象です。 ビルの11階という立地上、通りがかりでふらっと入る場所ではありません。それでもピーク時には行列ができるということは、「回し寿司 活」を目当てに来てくださっている証拠だと思っています。

――わざわざ足を運んでもらうために、リピーターを増やす工夫などはされているのでしょうか?

大胡さん:当社の社訓に「お客さまに感動を提供する」という言葉があります。単に満足していただくだけでなく、その先の「感動」まで届けることを目標にしています。 人は感動すると、誰かに伝えたくなるんですよね。「この店いいよ」と誰かに薦めたくなる。そのためには、商品の質、価格、そして接客のすべてが高いレベルでなければなりません。ありがたいことに売上は右肩上がりで伸びており、その努力をお客さまに評価いただけているのではないかと感じています。

――その「感動」をお客さんに届けるため、LINE公式アカウントも活用されているのですね。

大胡さん:はい。全店舗共通のアカウントでは主に新メニューやイベント情報を配信しています。加えて、地域ごとの「セグメント配信(絞り込み配信)」機能を活用して、店舗ごとのキャンペーン情報や新店情報を配信しています。

運用は本部の広報担当が一括で管理しており、クリエイティブ(画像やテキスト)の質にもこだわって制作しています。

LINE公式アカウントは配信通数に限りがありますし、あまり頻繁に配信しすぎるとブロックされてしまうリスクもあります。そのため、Instagramのストーリーズのように細かな情報を気軽に投稿するのではなく、「お客さまにとって本当にメリットのある重要な情報」に絞って配信しています。日常のカジュアルな発信はInstagram、これだけは伝えたいという重要な情報の発信はLINE公式アカウント、というふうに役割を明確に分けていますね。

アカウントを立ち上げてから12年、今では運用のノウハウも蓄積されており、それを活用しながら日々運用しています。

――どんなノウハウがあるのか教えていただいてもよいでしょうか?

大胡さん:伝えたいことは多くありますが、配信内容を考えるうえでは、文章が長くなりすぎると読まれにくく、短すぎると伝えたいことが十分に伝わらないため、リッチメッセージで画像にホームページなどへのリンクを付けつつ、文章はできるだけ簡潔にまとめるよう心がけています。

また、LINEはお客さまが日常的に接する媒体でもあるので、ホームページより少しカジュアルで、親近感を持っていただける文体を意識しています。

リッチメニューは、中目黒の体験型施設「寿司活LAB」やデリバリー、求人情報など、多くの人に見てもらいたい情報の重要な導線として活用している

――LINE活用による、具体的な反響はいかがですか?

大胡さん:リニューアルした店舗の近隣に限定配信をした際は反響が大きく、「LINEで見たよ」というお声を多数いただきましたね。やはり自分に関係のある情報であれば、しっかりと反応していただけると実感しました。

アナログな「店内の活気」で感動していただき、デジタルなLINE公式アカウントで再来店のきっかけをつくる。この両輪がうまく回っていると感じます。

目指すは「三方よし」。店舗拡大と人材育成で描く、次世代の「回し寿司 活」

――お店づくりにはスタッフの力が不可欠ですが、教育やマネジメントで意識されていることはありますか?

大胡さん:お客さまに「この店は楽しい」と感じていただくには、まずスタッフ自身が楽しんで働くことが大切です。スタッフの笑顔がお客さまに伝播しますから。

横浜スカイビル店では、多くの外国人スタッフが活躍しています。最初は言葉の壁もありますが、時間をかけてコミュニケーションを重ね、今では冗談を交わせる関係になっています。スタッフ同士のコミュニケーションにおいても、笑顔が生まれることを大切にしています。

――今後、横浜スカイビル店をどのようなお店に成長させていきたいですか?

大胡さん:毎日入荷する鮮魚を、どう届ければお客さまにもっと喜んでいただけるか、引き続き追求していきたいですね。 一皿でも多く召し上がっていただければ、お客さまはお腹いっぱいで幸せですし、店舗は売上が上がり、仕入れ業者様も潤います。お客さま、店舗、仕入れ業者、関わるすべてが喜ぶ「三方よし」の、みんながうれしい仕組みを、より強固にしていきたいと思っています。

――最後に、大胡店長ご自身の「これからの挑戦」について教えてください。

大胡さん:現在は76席が最大ですが、ありがたいことに入りきらないほど多くのお客さまにご来店いただいています。 もし店舗を2倍、3倍の規模に拡張できたら、もっと多くの方にお寿司を楽しんでいただけるのではと夢を描いています。実際、タイの店舗では200席規模で運営していますので、決して不可能な話ではありません。

――規模が大きくなれば、マネジメントの難易度も上がりそうですね。

大胡さん:そうですね。ただ、店舗が大きくなっても、しっかりと指揮を執り、チームをまとめられる人間でありたいと思っています。 店舗の拡大だけでなく、スタッフ教育を通して「回し寿司 活」のDNAを次世代へつなげていくこと。それが、これからの私の最大の挑戦です。

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【取材先】
回し寿司 活 横浜スカイビル店
住所:神奈川県横浜市西区高島2-19-12 スカイビル 11階
TEL:045-548-9966
営業時間:月-土11:00 - 22:30、日11:00 - 22:00
HP:https://katumidori.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/katsumidori_sushi/

取材・文/花沢亜衣
東京生まれ。食や暮らしにまつわるジャンルを中心にWEBメディア・雑誌で編集や執筆を行う。三度の飯より食べることが好き。一番好きなお酒は青空の下で飲むお酒。2023年J.S.A.ワインエキスパート呼称資格取得。2025年5月に酔談録『二軒目は路面店』を発売。
Instagram:@aipon79

写真:佐坂和也
編集:はてな編集部