世田谷生まれの「WOODBERRY COFFEE」が実践する、真摯で誠実な店づくり。接客とLINE活用で、思いと哲学を伝える


「コーヒーで世界を良くする」というビジョンのもと、都内を中心に店舗を増やしている「WOODBERRY COFFEE」に、LINE公式アカウントの活用方法を伺いました。


2012年に東京都世田谷区・用賀にオープンして以来、都内を中心に複数店舗を展開してきた「WOODBERRY COFFEE」。

ダイレクトトレード(生産者との直接取引)によるコーヒー農園の支援、環境に配慮した焙煎機の導入など、サステナブルな店舗運営を続けてきました。

そんな同店は、店舗運営にかける思いやブランドのコンセプトをより広く知ってもらうためにLINE公式アカウントを活用しています。

今回は、駒沢店のマネジャーである兼坂貴人さんに、具体的な活用法を伺いました。

『WOODBERRY COFFEE』駒沢店のマネージャー、バリスタ 兼坂貴人さんのプロフィール写真

兼坂貴人さん

駒沢店のマネジャー、バリスタ。

「嘘偽りない接客」がホスピタリティーにつながる

――WOODBERRY COFFEEの特徴やコンセプトについて教えていただけますでしょうか。

兼坂さん:コンセプトは、「コーヒーで世界を良くする」です。

例えば、持続可能な農業を支える一助になればと、コーヒー豆の仕入れ方法は生産者の方々により多く還元できるダイレクトトレードを採用しています。ほかにも環境に優しい焙煎機を導入し、フードも環境に優しい素材で作っています。 

 note.com 

――コーヒーの味の特徴はどのようなものでしょうか。

兼坂さん:単一農園のコーヒー豆を使った、シングルオリジンと言われるコーヒーが多いですね。

ただ、コーヒーに馴染みのない方向けに、よりコーヒーを身近に感じていただけるようブレンドもご用意しています。

――立地によって違いはありそうですが、お客さんはどういう方が多いですか?

兼坂さん:駒沢店は地域のお子さま連れやご家族連れが多く、逆に渋谷店は半数以上が新規のお客さまです。インバウンドも多く、午前中は全席海外の方ということも珍しくありません。

用賀の本店は、開店して14年経つお店なので、常連さまが多いですね。

用賀にある1号店

――コーヒーは熱心なファンもいるジャンルかと思うのですが、遠方から来られるようなケースもありますか?

兼坂さん:そうですね。ありがたいことに飛行機で来られるお客さまもいらっしゃいます。コーヒーのお仕事をされている方やうちの豆を使いたいと思ってくださっている飲食店の方も多いです。

駒沢店の店内

――新しい店舗も続々とできている中で、お店作りやスタッフさんの教育で大切にしているところはありますか?

兼坂さん:ホスピタリティーです。どんなにコーヒーがおいしくても、人の感動をつくるのは人以外にないという価値観が下地にあり、基本的に接客マニュアルがないんですね。「コーヒーで世界を良くする」がゴールになれば、いい意味でプロセスは無数にあると思っています。

もちろん、営業する中では、何かしらのトラブルや、忙しくて手が回らなくなってしまう場面も少なくありません。その際は、状況を嘘偽りなくお伝えすることを大切にしています。

例えば、コーヒーを淹れたけれど、本来の味が出しきれていない、もう少しおいしくできる場合は、「もう少し良いフレーバーを出せると思うので、少しお時間をいただき淹れ直しさせていただいてもよいですか?」とお聞きします。

そういった真摯な対応がホスピタリティーとしてお客さまに伝わり、リピーターを増やすことにもつながると思うんです。やはり自分も「どんな店に行きたくなるか?」と考えたとき、スタッフの印象が良いお店を選ぶので。

チェーンのコーヒー屋さんも多い中、スタッフのホスピタリティーによって生み出される期待を超えた体験こそWOODBERRY COFFEEならではの価値だと考えています

集客面で苦労も、できることからコツコツと

――一度来店してもらえれば、その価値を必ず実感してもらえるお店であることは伝わりました。ただやはり、昨今はコーヒーと聞くとチェーン店を想起する方も多く、集客の面で苦労した時期もあるのではないでしょうか?

兼坂さん:そうですね。現在の渋谷店は売り上げも好調で、朝から晩まで満席のような状態ですが、オープン当初はコロナ禍だったこともあり集客に苦労しました。

渋谷店外観
駒沢店外観
(左)渋谷店 (右)2025年11月にオープンした駒沢店

私が在籍する駒沢店は商業施設の2階にあり、表通りから見えづらい立地です。土日は割と人の動きがあるのですが、平日は人の動きが少ないこともあり、お客さまの流れの差は多少ありますね。

――商業施設は場所によって土日と平日で大きく人の入りが変わりそうですね。集客面で何か工夫されていることはありますか?

兼坂さん:一つはSNS、特にInstagramです。今は、検索媒体として使う方も多いので、注力しているところです。フィード投稿は新規の方向け、ストーリーは常連さま向けに内容を分けたり、店舗ごとに色のトンマナを変えたりといった工夫もしています。近くに駒沢公園もあり、商業施設自体も開けた施設なので、テイクアウト需要を促進することもあります。

もう一つは看板を表通り沿いの見やすい位置に設置してもらいました。基本的なことではあるのですが、新規のお客さまへアプローチするため、できることから取り組んでいるところです。加えて、店外からもよりスムーズに注文いただけるモバイルオーダーのシステムも導入しました

――Instagramは、WOODBERRY COFFEE全体のアカウントのほか、駒沢店のアカウントも運用しているということですよね。

WOODBERRY COFFEE全体のInstagramアカウント

兼坂さん:ブランド全体の発信をするアカウントと、各店のInstagram担当が運用する店舗ごとのアカウントの2種類があります。

検索媒体としての役割もあるので、いずれも新規のお客さまに向けて、お店の存在やお店の雰囲気を知っていただくために活用しています

――Instagram以外にも、公式アプリとLINE公式アカウントを運用されていますね。それぞれどのように使い分けているのでしょうか?

兼坂さん:アプリはリピーター、LINE公式アカウントは新規のお客さま(一度来店したお客さま)とターゲットを分けて、配信内容もチューニングしています。LINEは日頃から使っている人が多いので。アプリのダウンロードはハードルが高いです。

公式アプリ

伝えたいことは「テキスト」でしっかり伝える

――LINE公式アカウントの具体的な活用例を教えてください。

兼坂さん:主に店舗で、お客さまの呼び出しとモバイルオーダーに活用しています。そこで友だち追加をしていただいたお客さまに向けて、毎月新しくリリースされる豆の情報やイベント情報などをお送りしています

ただ、配信する数に応じて費用がかかるので、たくさんの人に向けてアピールしたい情報だけを厳選しています。特にイベントに関する情報は、再来店にもつながっている印象ですね。

あとはクーポンでしょうか。友だち追加していただいた際にドリップバッグを1つプレゼントしています

――友だち追加でコーヒーバッグのクーポンがもらえるというのは、コーヒー屋さんらしいですね。お客さんからの反響はどうですか?

兼坂さん:おかげさまで好評いただいています。具体的数値としては拾えておりませんが、クーポンに気づいて戻ってきてくださる方やそれに伴って追加で商品を購入いただける方もいらっしゃいます。

ご来店されたお客さまとクーポンの話になった際は、クーポンを「どうぞ」と渡して終わりではなく、「こういう淹れ方をするとおいしくなりますよ」といったように、こちらのこだわりや思いを一言添えるようにしていますね

――丁寧な文章、シンプルで落ち着いたデザインの画像など、配信内容も工夫が凝らされている印象です。どのようなこだわりがありますか?

兼坂さん:LINE公式アカウントを見るお客さまは、1度だけしか来たことがない方も少なくありません。なので、難しい内容になりすぎないようにしています。

特に意識しているのは、伝えたいことはテキストでしっかり入れることです。ほかのお店さんだと、ビジュアルメインでテキストが少ないケースも多いのですが、やはり「コーヒーで世界を良くする」といった思いやこだわりは、写真だけじゃ伝わりづらい部分も多いので。

――なるほど。あの丁寧な文章はお店のコンセプトに紐づいているわけですね。これは専属の担当者さんが作成されているのでしょうか?

兼坂さん:そうですね。各店舗のものではないWOODBERRY COFFEE全体のアカウントは、弊社のSNSやECまわり、店頭ポスターを統括しているスタッフが担当しています。

「こうしたほうがWOODBERRYらしい」と代表自らコンテンツにアドバイス

――スタッフさんへのインタビューや生産地訪問のレポートなど、公式サイトにもさまざまな読みものが掲載されています。手間や時間をかけてこうしたコンテンツをつくる理由はなんでしょう? 

www.woodberrycoffee.com

兼坂さん:やはり店舗の接客だけで、私たちの思いをお客さま全員に100%伝えるのは難しいからです。だからこそ、WOODBERRYのブランドをより深く知って、好きになっていただくために発信し続けています。

2025年9月にロゴをリニューアル。「コーヒーで世界を良くする」のコンセプトを込めたデザインに

――オリジナルグッズも販売されるなど、デザインにもこだわりを感じます。

兼坂さん:弊社の代表が写真やテキストなどのトンマナなど、コンテンツの中身にも強いこだわりを持っていて。豆の紹介ひとつとっても「この画像はこうした方がWOODBERRYらしさが伝わる」と自らアドバイスするほどです。そうした積み重ねもWOODBERRYというブランドを成長させる上ですごく意味があることなんだと思います。

――今後お店として、ブランドとしてやっていきたいことはどのような展開でしょうか?

兼坂さん:未出店エリアの関西や海外も視野に入れながら、全国20店舗ぐらいまで増やしたいですね。これは単に売上拡大のためではなく、コーヒー豆の仕入れを増やすことで生産者の方々へより多く還元したい、という意図です。それが「コーヒーで世界を良くする」ことにもつながるのだと思っています。

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【取材先】
WOODBERRY COFFEE 駒沢店
住所:東京都世田谷区上馬三丁目18-7駒沢パーククォーター 2F
営業時間:8:30〜19:00(L.O. FOOD 18:00/DRINK 18:30)
TEL:03-6805-4850
HP:https://www.woodberrycoffee.com/
Instagram:https://www.instagram.com/woodberry_komazawa/

 取材・文/花沢亜衣
東京生まれ。食や暮らしにまつわるジャンルを中心にWEBメディア・雑誌で編集や執筆を行う。三度の飯より食べることが好き。一番好きなお酒は青空の下で飲むお酒。2023年J.S.A.ワインエキスパート呼称資格取得。2025年5月に酔談録『二軒目は路面店』を発売。
Instagram:@aipon79

編集:はてな編集部