飲食店こそアプリを活用すべき理由。無料で簡単な導入方法もご紹介

店員がQRコードを見せ、お客さんがスマートフォンでQRコードを読み取っているイラスト

飲食店が新たな施策を試すなら「アプリ」の活用がおすすめです。近年はアプリでさまざまな施策を実施する飲食店も多く、そのメリットが気になっている方も多いのではないでしょうか。

アプリを導入すると、ポイントカードやクーポンの配布など、お客さんと接点を持つためのサービスが簡単に展開できます。また、アプリがあることで、お客さんにとってもお店をお得に利用できるようになり、お店を身近に感じてくれるきっかけにもなります。

本記事では、飲食店の集客にアプリをおすすめする理由と、実際にアプリを運用している飲食店の活用事例を紹介します。これからアプリの導入を検討する人を対象に、導入時に気をつけておきたいポイント、おすすめのアプリも説明します。

こんな人におすすめ

  • スマホファーストな施策を検討している
  • なるべくコストを抑えて新たな施策を打ちたい
  • アプリの導入を考えているけれど、どうすればいいか分からない

飲食店がアプリを導入すべき理由

なぜ飲食店はアプリを導入すべきなのでしょうか。その理由は、お店とお客さんの両方にメリットがあるからです。

リピート率アップに役立つ機能が満載

新規客を獲得するコストは、既存客への施策より5倍かかることを表したグラフ

新規のお客さんを獲得することはお店にとって重要ですが、新規のお客さんを獲得するコストは、常連のお客さんを維持するコストの5倍かかるといわれています。

一方で、リピーターをつくるための施策はよりコストを抑えて実行できる可能性があります

飲食店向けアプリには、ポイントカードやクーポンといったお客さんへリピートを促す機能が備わっているので、新規のお客さんを集客するよりも手軽にリピート客を増やすことができます。

お客さんにもメリットがある

飲食店がアプリを導入することで、お客さんにとってもメリットがあります。

アプリによっては、お店の営業時間を問わず、お客さんが都合の良いタイミングで予約や問い合わせができます。さらに、お店からクーポンを受け取れるほか、ポイントを使ってお店をお得に利用することができます。アプリをダウンロードしてもらうことで、お客さんの満足度向上に期待できるでしょう。

アプリ導入の4つのメリット

では、アプリを導入することで、飲食店には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

  1. 開封率の高いプッシュ通知でお店の情報を見てもらえる
  2. ポイントカードやクーポンをスマホ1つに集約できる
  3. 顧客情報を収集・分析できる
  4. リピーターとの関係性の向上につながる

1. 開封率の高いプッシュ通知でお店の情報を見てもらえる

アプリの場合、お客さんのスマートフォンのロック画面・ホーム画面・ステータスバーなど、目立つところに通知としてお知らせを表示させることができるので、発信した情報を見てもらえる可能性が高くなります。

実際、ジャストシステムが実施した「プッシュ通知に関する実態調査」によると、プッシュ通知を開封して確認する人の割合は全体の93.7%を占めるというデータが出ています。

アプリの種類や通知の頻度、配信した時間によって開封率は変わりますが、お店の情報を高確率で見てもらうことができます。

2. ポイントカードやクーポンをスマホ1つに集約できる

飲食店のレジ前で、店員とお客さんがやりとりしている写真

代表的なリピーター施策に、紙を利用したポイントカードやクーポンがありますが、アプリを導入すればこれらをスマホに集約できます。

紙のポイントカードやクーポンとは違い、アプリであれば紛失の心配もありません。紛失によってせっかく貯めていたポイントがなくなってしまった、クーポンを持って来るのを忘れてサービスを受けられなかった、ということもなくなるため、お店に対して悪い印象を抱くこともありません。

また、ポイントの蓄積、使用・確認もアプリで完結するので、紙の印刷コストを抑えることも可能です。

一方で、お店の業務的には、従業員が慣れないアプリを運用する方が不便だと考えてしまうかもしれません。しかし、ポイントカードやクーポン発行、その他の連絡などの業務を集約できるため、結果的に人的コストが下がる可能性もあります。

3. 顧客情報を収集・分析できる

アプリを活用することで、紙では把握できなかったポイントやクーポンの利用履歴などの行動情報を入手できます。お客さんの性別・年齢などのデモグラフィックデータ(人口統計学的なデータのこと)や客単価などのデータ分析も可能です。分析したデータは、店づくりやメニュー改善に生かし、お客さんに還元していきましょう。

4. リピーターとの関係性の向上につながる

プッシュ通知は基本的に24時間送信できますが、お客さんは常にスマホをチェックしているわけではありません。常連客の生活パターンを考慮し、プッシュ通知が開封されやすい時間帯を把握しましょう。

ジャストシステムが実施した「プッシュ通知に関する実態調査」によると、プッシュ通知をまとめて確認するタイミングは「夕食から就寝までの間」が全体で53.1%、「お昼休憩時」が全体で49%という結果になっています(複数回答可)。

例えば、企業・店舗用のアプリ「LINE公式アカウント」を利用している「長沼精肉店」では、メインのお客さんが主婦層のため、家事が落ち着いた時間帯と考えられる8~9時、22時以降にメッセージを配信して効果を上げています。

このように、アプリを活用するとお客さんの属性や行動の分析が容易になり、よりお客さんに適したコミュニケーションをとることができます。結果、リピーターとの関係性向上が望めるでしょう。

人気の飲食店公式アプリとは?

飲食店向けのアプリには、どのような機能が必要なのでしょうか。ここでは人気の飲食店が提供しているアプリを3つ紹介します。全て大手チェーン店ですが、いずれもお客さんのニーズに合わせた特徴的な施策を行っており、お店の規模に関わらず参考にできます。

  1. マクドナルド
  2. ケンタッキーフライドチキン
  3. すかいらーく

1. マクドナルド

マクドナルドのアプリの特徴は、クーポンの種類が豊富なこと。セットメニューだけではなく、コーヒーやポテトのサイドメニューなど、毎日さまざまなクーポンが配信されています。

モバイルオーダーメニューに備わっている店舗検索では「Free Wi-Fi」「24時間営業」「ドライブスルー」といった細かい条件に合わせて絞り込みができるので、目的にあった店舗を簡単に探すことができます。

2. ケンタッキーフライドチキン

ケンタッキーフライドチキンのアプリでは、通常クーポンの配布はもちろん、「チキンマイル」と呼ばれる独自のポイントシステムを導入しています。お店を利用するとチキンマイルが貯まり、「ブロンズステージ」「シルバーステージ」というようにステージがアップしていきます。

ステージに応じてお得な特典がゲットできるため、何度もお店に足を運びたいと感じるお客さんが多いでしょう。

3. すかいらーく

すかいらーくは、ガスト、バーミヤンといったすかいらーくグループ全店で使える店舗共通のアプリを展開。そのため、複数のアプリをダウンロードする必要はなく、グループ全店で利用可能なクーポンがもらえます。特定の店舗のみで使えるクーポンや時間帯限定のクーポンも人気です。

飲食店がアプリを導入する際に気を付けること

アプリの導入を検討する段階に入ったら、具体的にどのようなことに注意すればいいのでしょうか。

  1. 開発コストと安全性
  2. 店舗に必要な機能が導入できるか

1. 開発コストと安全性

まずは、コストと安全性について考えてみましょう。アプリを自社開発する場合、高額な費用がかかります。具体的に必要となってくるのは、エンジニアの人件費、開発会社への依頼費用です。また、アプリは開発して終わりではなく、ランニングコスト(維持・管理のための費用)も必要になってきます。

さらに、不具合が起きた場合でも全て自社で対応しなければならないこと、入手した顧客情報を安全に管理する必要もあるため、普段の忙しい業務の合間に行うのは難しい場合が多いでしょう。

2. 店舗に必要な機能が導入できるか

自社での開発が難しい場合は、既存の店舗用アプリシステムを検討しましょう。使うシステムによって搭載できる機能が異なるので、以下のように店舗で利用したい機能が備わっているか確認が必要です。

  1. ポイントカード
  2. プッシュ通知
  3. クーポン発行
  4. 予約
  5. 個別メッセージの送信

飲食店で活用できる代表的なアプリ

飲食店で活用できる代表的なアプリを5つ紹介します。どのような機能が備わっているか比較してみましょう。

アプリ名

料金

ポイントカード

プッシュ通知

クーポン発行

予約システム

個別メッセージ

LINE公式アカウント
(コミュニケーションプラン)
初期費用:無料
月額費用:メッセージ200通/月まで無料
GMOおみせアプリ
(Lightプラン)
初期費用:要問合せ
月額費用:22,000円~
アプスタ
(バリュープラン)
初期費用:110,000円〜
月額費用:31,900円~
*1
iSTAMP
(スタンダードプラン)
初期費用:無料
月額費用:5,478円
みせみぐ 初期費用:無料
月額費用:無料

LINE公式アカウント(コミュニケーションプラン)は初期費用無料、月額費用もメッセージ200通/月まで無料で利用できるほか、ポイントカードやプッシュ通知、クーポン発行、予約管理システム、個別メッセージ機能といった飲食店の運営をスムーズにする便利な機能が備わっています。

同様の機能を持つ「GMOおみせアプリ」は初期費用が無料である一方、本格導入する場合は、22,000円からの月額費用がかかります。

「アプスタ」は導入に際して、110,000円からの初期費用、31,900円からの月額費用が必要ですが、予約管理システム以外のポイントカードやプッシュ通知、クーポン発行といった機能が備わっています。

よりコンパクトに始めたいという方には、個別メッセージ機能や予約管理システムがない分、初期費用や月額費用をおさえられる「iSTAMP」「みせみぐ」などのアプリもあります。

飲食店でのアプリ導入にはLINE公式アカウントがおすすめ

飲食店の集客にはお客さん・お店の双方にとってアプリが便利です。大手チェーン店等であれば自社での開発が可能ですが、個人経営のお店にとって現実的ではありません。

コスト面を考えると、無料で開設できるLINE公式アカウントは試しやすく、初めて導入する場合にもぴったりです。コストを含め、LINE公式アカウントがおすすめの理由は以下の5つです。

  1. 利用者が多い
  2. プッシュ通知で高い反応率
  3. 初期費用・開設費用が0円
  4. ポイントカード作成が簡単
  5. 予約や個別のお客さんとのコミュニケーションも可能

1. 利用者が多い

LINEは、月間利用者数が9,700万人を誇るコミュニケーションアプリです。毎日利用するユーザーも86%(数値はいずれも2024年3月末時点)と高く、圧倒的なシェアを誇ります。そのため、すでにインストールしているお客さん・従業員が多く、使い慣れているので、気軽にコミュニケーションを深めることができます。

2. プッシュ通知で高い反応率

企業・店舗のLINE公式アカウントのメッセージを受信したユーザーが、どのような行動をとったかを聞いたアンケート結果のグラフ

お客さんからの反応率が高いという特長もあります。2021年7月に実施したマクロミル社の調査によると、LINE公式アカウントからのメッセージについて7割近くの人が「読んだ」と回答しており、プッシュ通知によって多くの人の目に触れることが期待できます。

お店のURLをクリックする、といったアクション率も5割以上に上り、店舗のWebページなど外部サイトへの誘導にも効果的です。

3. 開設費用は無料。低コストで運用可能

LINE公式アカウントは、開設費用が無料です。コストがかからないためハードルが低く、初めてアプリを導入する人にとっても始めやすいです。また、「コミュニケーションプラン」であれば、月間200通までは無料でメッセージ配信が可能。有料プランとの差異なく、その他のさまざまな機能も利用することができます。

友だちやメッセージの配信数が増えてきた場合は、有料プランへの切り替えを検討する必要があります。ライトプランは月額5,000円でメッセージが月5,000通まで、スタンダードプランは月額15,000円で月30,000通まで配信可能です。

4. ポイントカードの作成が簡単

LINE公式アカウントのポイントカード画面

LINE公式アカウントでは、ポイントカード(ショップカード)が簡単に作成できます。管理画面にログインしてメニューの「ショップカード」を選択し、項目ごとに設定するだけで利用できます。特典もお店によって自由に設定が可能です。

5. 予約や個別のお客さんとのコミュニケーションも可能

お客さんとのコミュニケーションもスムーズです。例えば、予約受付やリマインドも、普段使っているLINEと同じような操作でメッセージを送ることができます。

管理画面では、友だちとなっているお客さんの属性データが把握できるほか、ショップカードのポイント利用状況、メッセージ配信の反応率などのデータが確認できるため、お客さんの状況に合わせて個別にチャットでメッセージを送ることも可能。お客さんとのコミュニケーションを深めるのに便利です。

まとめ:集客にはアプリの導入が効果的。LINE公式アカウントを使えば簡単にできる

アプリには、飲食店の集客のために便利な機能がたくさん備わっています。多くの飲食店の場合、自社でアプリ開発をすることは現実的ではないので、既存の企業・店舗用アプリを検討しましょう。

なかでも、LINE公式アカウントは無料で開設できるので、まず試してみたい方におすすめです。

詳しい始め方については、以下からチェックしてみましょう。

*1:バリュープランはポイント制ではなく、特定の数がたまるとチケットなどと交換できるスタンプカード機能が利用可能