店舗の顧客管理に使える無料アプリの比較・選び方

店舗の顧客管理に使える無料のアプリを紹介

顧客管理とは、お客さんのデータを収集・管理すること。収集した情報を分析・活用することで、お店の収益アップにつなげることができます。しかし、顧客管理の必要性を感じていても、日々の業務に追われ時間を捻出できない、あるいは何から始めるべきか分からないという人もいるかもしれません。

そんな人におすすめなのが、無料で使える顧客管理アプリです。アプリでデータの分析を行えば、お客さんの来店回数や客単価、利用頻度などに応じて適切なアプローチが行えます。

また、スマートフォンやタブレットで操作できる顧客管理アプリは、パソコンが苦手な人でも比較的スムーズに導入できるというメリットがあります。例えば、利用者が多いLINE公式アカウントでも顧客管理が可能です。

顧客管理で実現できることの具体的な解説と、LINE公式アカウントを使った顧客管理の方法を紹介します。

こんな人におすすめ

  • 顧客管理アプリを導入しようか迷っている人
  • どの顧客管理アプリを入れたらいいか迷っている人
  • 無料で手軽に顧客管理アプリを試したい人

顧客管理(CRM)とは?

顧客管理(CRM)とは何かを解説

顧客管理とは、お客さんの情報を自店舗の経営に生かすための取り組みのことで、CRMとも呼ばれています。CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、お客さんにまつわる情報を管理する戦略を示します。情報を管理することで、自店舗の利益の最大化や顧客満足度の向上などを目指します。

例えば、飲食店の場合、お客さんの氏名・年齢・性別などの属性情報のほか、注文メニュー・来店頻度・店舗利用時の単価や人数の蓄積が有効です。それをもとにDMを送るなど、来店を促す取り組みに活用できます。

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顧客管理アプリのメリット

具体的に、顧客管理アプリの導入により得られるメリットを見ていきます。現状の課題や問題点と照らし合わせながら、アプリを導入する必要性があるかどうかを確認しましょう。

  1. 顧客情報の蓄積が簡単になる
  2. 顧客情報の共有がスムーズになる
  3. 経営の課題点を可視化できる
  4. お客さんに適したアプローチができるようになる

1. 顧客情報の蓄積が簡単になる

顧客管理アプリを使えば、比較的簡単に顧客情報を蓄積することができます。紙のノートやExcelを使った方法もありますが、お客さんの数が増えれば増えるほど、労力がかかりミスも発生します。そもそも、対面での接客がメインの飲食店では、アナログでの顧客管理は難しいと感じる場面が多いかもしれません。

アプリを活用した方が、効率的かつ、正確に管理することができます。スマートフォンやタブレットで利用可能なので、パソコン環境がない場所で入力できるのも魅力です。

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2. 顧客情報の共有がスムーズになる

これまでは常連客などの情報を担当者や従業員の記憶に頼っていることもあり、従業員間での共有が難しいと感じることがあります。顧客管理アプリであれば、蓄積された顧客情報の共有も簡単にできます。

アプリを閲覧できる立場にある全ての従業員が同じ情報を参照できるため、例えば、来店したお客さんの担当者、以前その人を接客したスタッフが不在の場合も蓄積されたデータを参照してスムーズに対応することができます。

アプリによっては、複数店舗での共有も可能です。

3. 経営の課題点を可視化できる

顧客管理アプリで取得したデータを分析することで、現状の経営の課題点を見つけることが容易になります。

例えば……

  • 本来ターゲットだと考えていたお客さんの層と、実際にお店を訪れている層に違いがある
  • 売りたいメニューと売れているメニューにずれが生じている

など、課題点が分かりやすく数字で可視化されます。

自店舗で解決すべき内容が明確になれば、具体的な対策を講じることができるでしょう。

4. お客さんに適したアプローチができるようになる

顧客管理アプリを導入すれば、お客さんに適したアプローチができるようになる

顧客管理アプリで来店履歴やお店での注文メニューを蓄積すれば、お客さんごとに適した接客アプローチができるようになります。

DMやメッセージを送る場合も、毎日来店してくれるお客さんと半年来店していないお客さんでは、伝えたい内容も異なります。お客さんそれぞれに寄り添った文面を作成することにより、開封率や来店誘導率の向上が見込めます。

顧客管理アプリを選ぶ3つのポイント

顧客管理アプリは、サービスごとにさまざまな特徴があります。導入するアプリを選ぶ際に意識しておきたい3つポイントを紹介します。

1. 操作が簡単かどうか

まずは、操作が簡単なアプリを選びましょう。飲食店業務と並行して顧客管理を行うため、複雑な操作の顧客管理アプリだと従業員の仕事を圧迫してしまったり、入力が面倒になって結局使わなくなったりすることもありえます。

顧客管理アプリは複数の従業員で入力・情報共有する場合もあるため、マニュアルを分かりやすく作成できるかを意識しながら選ぶことが大切です。できるだけ直感的に操作でき、1つのアプリ内で完結するものがおすすめです。

2. 知りたい情報がすぐ確認できるか

知りたい情報があったとき、すぐにその情報が確認できるものを選びましょう。

例えば、1つの画面で情報を把握できるものや、必要な情報を検索しやすいものが挙げられます。複数の従業員が見て分かりやすい画面だと感じられるものを意識しましょう。

3. セキュリティーがしっかりしているか

顧客管理アプリでは、大事なお客さんの情報を扱うため、セキュリティーが充実しているかどうかも重要なポイントです。

セキュリティーが弱いアプリでは、顧客情報や売上データなどが漏洩するリスクがあります。導入前にアプリや開発元を確認し、その評判やサポートの有無について確認しましょう。

例えば、顧客情報が端末だけではなく、ネットで通信してクラウド上にも保存される場合は送信する情報が暗号化される仕組みになっていなければ、第三者に情報を盗み見される可能性があります。多くのウェブサイトが採用しているSSL/TLS(ネット上でデータを暗号化して送受信する仕組み)が実装されているアプリを選びましょう。導入検討しているアプリにそのような仕組みがあるかを事前に問い合わせたり、説明をよく確認するなどしましょう。

また、実際に顧客情報が保存されるクラウドの安全性も重要。米政府機関なども使用する、高度な暗号化技術を搭載しているクラウドであれば安心です。

アプリ導入後は新しいバージョンがリリースされたら速やかにアップデートし、最新のセキュリティー対策をしているアプリを適用しましょう。

代表的な顧客管理アプリ

顧客管理アプリで代表的なものとしては、Salesforcehubspot CRMEight Teamなどがあります。

しかし、いずれも企業間での取引管理や業務改善を目的としたものが多く、個人のお客さんを相手にする店舗では使いにくく感じてしまうかもしれません。

無料から使える、飲食店の店舗向けのシンプルな顧客管理アプリ

顧客管理アプリの中でも、中小規模の飲食店でも使いやすいものを紹介します。

サービス名

月額料金(税込)

サービスの特徴

対応端末

スマレジ ・スタンダードプラン:無料
・プレミアムプラン:4,400円
・プレミアム プラス:7,700円
・フードビジネス:11,000円
・リテールビジネス:13,200円
在庫把握や売上分析、アプリマーケットから機能を追加することで自店に合わせたカスタマイズができるPOSレジ。 iOS
iPadOS
tol ・スタータープラン:無料
・ビジネスプラン:3,180円 ※月払いは3,980円
・ショッププラン:19,800円〜
・カンパニープラン:要問い合わせ
予約用の受付サイトの作成から、ネット予約・事前決済・顧客管理の機能を簡単に使える。 iOS
Android
iPadOS
Tablecheck
(飲食業界向け)
席数に応じて変動

(例)30席以下の場合
・初期費用30,000円
・月額料金15,000円
24時間365日ネット予約が可能。店頭での会計が不要になるコンタクトレス決済機能を用意。蓄積されたデータを基に経営戦略を提案する。 iOS
Android
iPadOS
LiME
(理美容業界向け)
・無料プラン
・カルテ管理プラン ※総売上に応じて月額料金が変動/条件を満たせば無料
・ネット予約プラン:900円~
スマホで簡単にカルテの入力・閲覧が可能。有料版はLINEでの予約受付やお客さんへのカルテ共有ができる。 iOS
Android
LINE公式アカウント ・コミュニケーションプラン:無料
・ライトプラン:5,000円
・スタンダードプラン:15,000円
友だち追加されたお客さんの属性情報やショップカードの利用履歴の分析、セグメント配信などが可能。詳しくは、下記を参照。 iOS
Android

 

利用者が多く導入しやすいLINE公式アカウントで顧客管理を

顧客管理アプリの導入を考えているなら、LINE公式アカウントがおすすめです。LINEは9,500万人が利用している(2023年6月末時点)コミュニケーションアプリなので、経営者も従業員も使いやすく、導入の心理的ハードルが低いのもメリットです。

LINE公式アカウントの場合だと、以下のような方法で顧客管理ができます。

友だちの情報分析とタグ付け

お客さんにお店のLINE公式アカウントを友だち追加してもらいます。すると、お店側では友だちの人数、性別・年齢・地域といった属性、友だち追加経路(QRコードやWebページからの外部流入、検索など、友だち追加の経緯)の確認が可能です。

また、友だち追加をしてくれたお客さんを属性ごとにタグ付けし、属性で「絞り込んだユーザーだけ」にメッセージを配信することも可能です。

例えば、「8月来店」「9月来店」など、来店した月でタグ付けを行う方法です。最近来店したお客さん、しばらく来店していないお客さんなど、それぞれの状況に合わせてメッセージを配信することができます。

リッチメニューの分析

LINE公式アカウントには、お客さんとのトーク画面下部にショップカードやクーポンなどの機能、外部サイトへのリンクを固定表示する「リッチメニュー」と呼ばれる機能があります。

トーク画面にリッチメニューを固定表示した場合、クリック回数や表示回数(インプレッション)が確認できるのも特徴。例えば、お店の予約サイトやWebページを固定する場合、どれくらいの人がLINE経由で各ページにアクセスしたか、それぞれ何回アクセスしたかを分析することができます。

ショップカードの分析

LINE公式アカウントでは、ショップカード(ポイントカード)の作成が可能です。お客さんが紙のポイントカードを持ち歩く必要もなければ、お会計の際にお財布からポイントカードを取り出す必要もありません。

お店側も発行数や付与ポイント数などが一目で確認できるというメリットがあります。また、来店回数に応じて付与されたポイントや特典チケットの利用人数や、利用している客層なども分析してくれる機能もあり、その情報をもとに集客や販促の施策を立てることも可能です。

メッセージ配信・ステップ配信の分析

お客さんに新商品や発行中のクーポンの案内、営業時間の変更などの最新情報をメッセージとして配信することができます。

1人のお客さんに送る個別配信、全てのお客さんに送る一斉配信、タグや属性などで絞り込むセグメント配信などの種類があり、お店側が伝えたい情報に合わせてメッセージを送る対象を選ぶことも可能です。

特に活用したいのが、特定の行動を取ったユーザーに対して、あらかじめ用意されたメッセージを自動的に配信する「ステップ配信」の機能です。例えば、友だち追加から1日後などの期間、対象ユーザーを指定して自動で複数のメッセージが配信できます。

さらに、メッセージを受け取った人数・開封者数・クリックユーザーなどのインプレッションを、リストとグラフで細かく確認することができます。データを分析することで、配信内容の見直しや配信時間の調整など、効果的にお店の情報を届けるための施策を検討することが可能です。

リピーターの来店を維持できるほか、足が遠のいていたお客さんの再来店につなげることができるでしょう。

クーポンの分析

来店を促す効果があるクーポンについても、細かな分析が可能です。開封者数や利用者数などが確認できるため、配信したクーポンがどれくらい効果的だったかを振り返り、次の施策に生かしましょう。

予約数・来店数の分析

LINEを使って簡単に来店予約ができる「LINEで予約」を実装すれば、LINE公式アカウントを経由した店舗の予約数・来店数・キャンセル数などの確認、データを活用した分析ができます。

onaji.me

まとめ:顧客管理アプリを試すならLINE公式アカウントがおすすめ

飲食店での売上を伸ばすなら、お客さんのデータを分析したり傾向を掴んだりするための顧客管理が必要です。対面接客が中心の飲食店では顧客管理は難しかったかもしれませんが、使いやすいアプリであれば導入のハードルも低く、入力や分析も効率よく行うことができます。

顧客管理アプリを試してみたいなら、まずはLINE公式アカウントを利用してみるのがおすすめです。

イラスト/つのがい