【アンケート調査】「反応するのが難しい!」口コミサイトと飲食店の絶妙な距離感

お店を選ぶ基準として多くの人が参考にしている「口コミサイト」。前回の記事では、お客さんが「口コミ」に対して厚い信頼を寄せていることが判明しましたが、お店側はどんな思いを抱いているのか――。店舗関係者に「口コミに関するアンケート」を実施し、そのホンネを聞き出しました。

※「Freeasy」調べ

やはり気になるお店の評判 「口コミ」を意識するお店が半数以上!

「お客さんからの口コミを気にしますか?」という質問に、全体の60.8%が「気にする」と回答(n=500)。「自店が“行く価値のある店”かどうかを知りたいから」「お客さんがお店を利用した感想が知りたいから」というお客さんの反応を把握したいという要望だけでなく、「売り上げに直結するから」という集客面の心配、「サービスの向上に役立てたいから」「今後の接客などの参考にできるから」という仕事への向上心など、さまざまな理由が挙げられました。

続けて、「お客さんからの口コミはどのようにチェックしますか?」と聞いたところ、「口コミサイト」が54.6%と半数以上を占め、次点で「Twitter」(18.2%)という結果に(n=100)。

Twitterの場合、必ずしもお店の名前を出してツイートされるわけではありませんが、お客さん側からしてみれば、口コミサイトに書き込むよりもツイートをするほうが気軽なのも確か。ツイートにひも付けたキャンペーンを展開することで、お店に対する感想をより多く集めることができるかもしれません。

お客さんの声に反応することは至難の業?

続いて、「お客さんからの口コミはどれくらいの頻度でチェックしますか?」という質問。全体の54.6%が「月1〜3回」と回答しました(n=100)。数字だけ見ると少なく感じますが、日々、実際にお客さんと顔を合わせて反応を見ているがゆえの頻度だと考えれば、納得感があります。

また、口コミが書き込まれるSNSやWebサイトでは、返信機能が備わっているものもあります。そこで、口コミに対して反応するお店がどれくらいあるのかを探るため、「SNSやWebサイトに書き込まれた口コミに返事をすることはありますか?」という質問を投げかけてみたところ……なんと、「ない」が79.4%!(n=500)

  • 返事をして、後々面倒なことになったら怖いから
  • お客さんがお店からの返事を見ていないと思うから
  • 全員分に返事をする時間がないから
  • どのように返事をしたらいいのか分からないから

など、返事をしない理由が挙げられました。「全員分に返事をする時間がないから」という理由が多く見られたのですが、それと並ぶほど多かったのが「どのように返事をしたらいいのか分からないから」でした。

確かに好意的な口コミすべてに「ありがとうございます!」とだけ返事するのも逆効果なのかも……? 一方、マイナスな口コミとなれば、それ以上に返信内容に頭を悩ませるのは仕方ないことかもしれません。ただ、前回の記事で、一般ユーザーに「お客さんの書き込んだ口コミに対し、返信をしている店に対してどのような印象を持ちますか?」と聞いたところ、

  • 律儀で誠実な印象
  • 信用できそう
  • 向上心が高そう
  • 店舗での気配りもできそう
  • お客さんを大切にしていると思う
  • 真面目に営業していそう
  • 誠意を感じる

といった回答が多く見受けられました。お店からの返事は、自分が感じたことを受け取ってくれたと好意的に感じてくれると同時に、お店の信用度のアップにつながりそうです。
たとえ短かったとしても、お店からの返事をうれしく思ってもらえるのなら、口コミへの返事はお店にとってよい影響をもたらすかもしれません。

少ないですが、SNSやWebサイトに書き込まれた口コミに返事をすることが「ある」という店舗は、

  • お礼を言いたいから
  • お客さんとのコミュニケーションの一環だと捉えているから
  • 礼儀のひとつだと思うから
  • 普段なかなか見せられない「お客さんの声を聞く姿勢」を見せることができるから

という考えを持っているようです。口コミの内容から、お客さんの顔を想像するのは容易なことではありませんが、返事をお客さんとのコミュニケーションと捉えると、機械的な返事になってしまうことも避けられそうです。

お客さんの「口コミ」はお店を見直す大切なきっかけ

お客さんからの口コミへの向き合い方は返事をすることだけではありません。「口コミを参考に、お店のルールや接客などを変えたことはありますか?」という質問をしてみたところ、全体の72.2%が「ない」と回答(n=500)。「ある」(27.8%)店舗は少ないですが、実際に変えたことを聞いてみました。

  • メニューにアレルギー表示を追加しました
  • お客さんをよく待たせてしまっていたので、案内方法を改善しました
  • 店舗で行っていたキャンペーン内容を見直しました
  • 清潔感の大切さに改めて気付かされたので、店内の掃除の回数を増やしました
  • 「お客さんの目線で接客すること」を徹底するようにしました

アレルギー表示があるだけで、「アレルギー食材について聞いてもいいのかな」とお客さんを不安な気持ちにさせることがなくなります。忙しいときにお客さんに質問されても充分な説明ができない可能性もあるため、追加したことはお客さんにもお店にもプラスに働いていることでしょう。現在のサービス内容に手応えが感じられないというとき、今のままでいいのか気になるときには、口コミを参考にしてみてはいかがでしょうか?

常に「お客さんはどう思うのだろう?」と考えながら仕事に取り組んでいても、どうしても想像が及ばないことは多々あると思います。「お店としてはいいと思うから問題ない!」と自信を持って推し進めるのは、店舗の個性や魅力になりますが、時々でもお客さんの声に耳を傾けると新しい何かが発見できるかもしれません。従業員もお客さんも「好き」だと思える店舗づくりに、「口コミ」を上手く活用してみてください。

取材・文おなじみ編集部

イラスト松沢ゆきこ

企画編集株式会社 都恋堂