飲食店向け広告16選。必要な費用、どんなお店に効果的かを解説

飲食店の店員と、お店のお得情報を確認しているお客さんのイラスト

飲食店経営において、「集客」は大きな悩みの一つです。最近はSNSなどの口コミを通じた集客が活発になってきていますが、新規顧客にアプローチする手段として、広告は依然として効果的な手法といえます。

一般的に広告宣伝費率(売上に対する販促費の割合)は3~5%が多いとされていますが、広告は種類が多く、どこに投資すれば効率的なのかが悩ましいところ。

限られた予算の中で費用対効果の高い広告活用を行うために、広告手法を網羅的に紹介しつつ、手法ごとにどんなお店に効果的なのかを解説します。

こんな人におすすめ

  • 集客に使える広告手法にどんなものがあるか知りたい人
  • たくさんある広告の中で、自店にあった手法を知りたい人
  • 広告での集客を成功させたい人(失敗したくない人)

飲食店向けWeb広告

スマホに飲食店のメニューが表示されている写真

スマホでお店を探すのが当たり前になり、スマホユーザーにリーチできるWeb広告は集客手法の定番になっています。Web広告は、お店の客層にあわせて使い分けることで効果を発揮します。

Web広告の料金体系には、変動型と固定型があります。

変動型……1回のページ閲覧(クリック/タップごと)ごと、または広告が表示されるごとに料金が発生する。

閲覧による料金体系が一般的で、30~200円/回が相場。後述するグルメサイト以外はこの形式で、広告予算は自由(各メディアによって最低出稿金額が決められている場合もある)に設定できる。どの広告メディアでも、まずは150~300回閲覧(クリック/タップ)されるのを目安に出稿すると、どの程度の費用対効果になるのか、見当をつけやすい。

固定型……月額で掲載枠を購入して情報を掲載する。グルメサイトの多くがこの形式。

Web広告にはさまざまな種類があります。種類ごとに解説していきます。

SNS広告

SNS系の広告を出す場合は、広告から誘導する先(お店のホームページなど)の情報を充実させておくことが前提です。せっかくユーザーをお店のホームページまで誘導しても、お店の魅力が伝わらなければ、実際の来店までつながりにくくなってしまうからです。

そのため、まずは誘導先の情報を充実させた上でSNS広告の運用を検討しましょう。

SNSごとの特徴は、以下の通りです。

1. Instagram(インスタグラム)広告

Instagramの年代別・性別の利用率をまとめた表

「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」/令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)より

Instagramは写真をシェアできるSNSで、メインのユーザーである10~40代の男女がターゲットとなり、中でも10~30代の女性に効果的です。料理やインテリアなどで写真映えする要素があるお店、またはメニューにこだわっていて見た目も重視している趣味性やエンタメ性の高いお店に向いています。

2. Facebook(フェイスブック)広告

Facebookの年代別・性別の利用率をまとめた表

「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」/令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)より

Facebookは長文の投稿も可能なSNSで、広告は30~50代のビジネスパーソンがターゲットです。そのため、宴会・会食・接待など、ビジネス利用やデートで利用するような、やや単価の高めなお店の広告が向いています。

3. Twitter(ツイッター)広告

Twitterの年代別・性別の利用率をまとめた表

「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」/令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)より

Twitterは140字までの短文と写真を投稿できるSNSで、10~30代の男女において非常に利用率の高いSNSです。

Twitter広告と相性が良いのは、イベントやキャンペーンなどの頻度が多いお店です。食材や料理のジャンル・盛り付けといったビジュアル面などで、ユーザーが話題にしたくなるような特徴があるとPRしやすいでしょう。

広告を使わずに、お店のアカウントを作成してスタッフが運用するというライトな使い方をしているケースもあります。その場合、主に既存顧客向けに日替わりメニューや営業情報をツイート(投稿)するという使い方が多いようです。

4. TikTok(ティックトック)広告

TikTokの年代別・性別の利用率をまとめた表

「主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)」/令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書(総務省情報通信政策研究所)より

TikTokは短い動画がシェアできるSNSで、10~20代の若者層にアプローチしやすいのが特徴です。メニューやお酒、インテリアなど「推しポイント」がたくさんあるお店に向いています。TikTokの動画はテンポが早いものが多く、短時間でもたくさんの宣伝要素を盛り込めるからです。

ただし、広告用の動画を作成する必要があり、自分でコンテンツを作れない場合は制作費がかかります。また、10代の利用が多いメディアのため、お酒を扱う店だとメディアのポテンシャルを生かしきれない点に注意しましょう。

参考記事:令和3年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

Google広告

Webの検索画面のイラスト

Googleに自店の情報を登録しておくことで、検索結果に表示されやすくなったり、情報が充実していることでお客さんの目に止まりやすくなったりします。

5. Google 広告

Google 広告(リスティング広告)は、「地名+居酒屋」「駅名+イタリアン」など、お店を探す人がよく検索するキーワードに対して広告を表示させることができます。

このあとに紹介するGoogle ビジネス プロフィールと広告アカウントを連携させることで、ローカル検索広告という機能を使用することが可能です。ローカル検索広告機能を使えば、Google マップ上の表示欄の上位にお店の情報を掲載できるようになります。

6. Google ビジネス プロフィール

Googleに自店の情報を登録しておくと、検索されたときに情報が上位表示されやすくなったり、表示される情報を充実させたりできます。

Google ビジネス プロフィール自体は広告ではありませんが、無料で店舗情報を掲載できるため、全てのお店に登録することをおすすめします。

店舗情報を登録しておくことで、Google検索やGoogleマップ上でお店の情報が表示されやすくなります。クチコミへの返信もできるので、登録しておけばネガティブな書き込みがあった際もすぐに対応することが可能です。

また、駅周辺や会社や自宅に近いお店をスマホ検索で探す人は多いため、上位表示されることで、お店を知ってもらうきっかけにもなります。

ほかにも、Google 広告と連携させることで、さらに効果を高められます。ぐるなびのスタートプラン(無料)を利用すれば、ページ登録を代行してもらうこともできます。

LINE

利用者の多いLINEは操作方法も分かりやすく、お客さんも使い慣れているのでアプローチしやすいでしょう。ここでは、広告に活用できる2つのサービスについて紹介します。

7. LINE公式アカウント

LINE公式アカウントは、お客さんに友だち追加してもらうことで、メッセージやクーポンを配信することができます(有料プランで送信数を増やすことも可能)。ポイントカード機能も備えているため、リピート利用を促す施策にもつなげやすいという特長があります。

8. LINE広告

LINE NEWSやトークリストなど、LINEアプリ内に広告が配信できるサービスで、老若男女、幅広い年齢層にアプローチすることが可能です。LINE公式アカウントと合わせて利用すると、友だち追加や来店をより促進しやすくなります。

グルメ情報サイトへの掲載

グルメサイトをスマートフォンで見ている写真

グルメ情報サイトの利用者層は老若男女幅広いのが特徴で、クーポン情報が主体のサイトとクチコミが主体のサイトに分かれます。飲食店を探して閲覧しているユーザーに見てもらえるので、高い効果が期待できます。

メニューや料理の写真を掲載できたり、クーポンを提示できたり、オプションにより予約受付ができたりと、集客に直結させやすい機能が充実しています。

9. クーポン情報が中心のサイト

クーポン情報中心のサイトとは、ぐるなびやホットペッパーグルメなど、メディアに店舗情報を掲載するタイプです。掲載料は、ぐるなびが0~3万円、ホットペッパーグルメが0円〜となっています(2023年2月現在)。

宴会や懇親会など、イベントでのグループ利用でお店を探すときに使われることが多くあります。サイト側のサポートが手厚く気軽に使えますが、近年はグルメサイトも使用される一方で、SNSでお店を検索するユーザーが増加傾向にあります。

10. クチコミが中心のサイト

クチコミが中心のサイトとしては、食べログやRettyなどが挙げられます。

基本的な情報掲載は無料で、広告の掲出はプランによって選択が可能です。有料プランの場合、月額1~10万円の中から選べます。レビューをもとにハズレのないお店選びをしたい人が多く利用しています。

一人飲みやデート・少人数での飲み会など、プライベートな利用での需要が多いのも特徴です。クチコミとセットで利用者からお店を評価されるので、食事や接客に一定のこだわりがあるお店の掲載が向いています。

飲食店向けオフライン広告

飲食店の看板を見ている男性のイラスト

オフライン広告は、オンライン広告に比べてさまざまな形態があるため、お店の個性や地域性に合わせやすいというメリットがあります。しかし、ネット広告と異なり、ただ広告を出しただけでは、広告によって来店数にどれくらい影響があったのかが可視化できません。

効果測定には、その広告を経由して来店したことが分かるような工夫が必要です。チラシやフリーペーパーに掲載する際、お得に利用できるクーポンを付与するなどの方法があります。

次に、広告の手法ごとに詳しく見ていきます。

11. ポスティング広告

ポスティング広告は、指定したエリアの住宅にチラシを投函してもらえるサービスです。費用の目安は1部2.99円からです

参考記事:ポスティングチラシ(印刷+配布・投函代行)| ネット印刷のラクスル

地域を指定して配布できるため、近隣の住民に広く情報を届けやすくなります。店内飲食だけでなく、デリバリーやテイクアウトの訴求とも相性が良いのも特長です。手間はかかりますが、自分でチラシを作成・印刷して配布すればコストを抑えることもできます。

12. 折り込み広告

折り込み広告は、新聞に折り込んでチラシを届けるサービスです。費用の目安は1部3.9円からです

参考記事:折込チラシ・新聞折込(印刷+配布)を手配するならラクスル

ポスティング広告と同様、地域をしぼって配布できるメリットがありますが、新聞を購読している家庭にしか届けることができません。また、新聞購読者の年齢層は高いため、リーチできるのは高齢世帯が中心とされており、一般的に若者の集客には不向きです。

13. フリーペーパー

フリーペーパーは地域の情報が掲載された広報媒体で、さまざまな種類があります。メディアごとに掲載料や配布場所、発行部数、読者層などが異なります。メディアの特徴や特有の強みは広告の効果に直結するポイントなので、掲載する媒体がお店に合うかどうか事前に確認しましょう。

14. 看板

看板をお店の入り口付近に設置することで、通行人にお店のPRができます。本日のおすすめ、実施中のキャンペーンなどを訴求することもできるでしょう。もちろん、シンプルにメニュー表を掲示するだけでも、お店の雰囲気やメニューの特徴、価格帯が伝わりやすいので効果的です。

黒板やホワイトボードなどの掲出形式は、店の雰囲気にあったものを選ぶと良いでしょう。価格は数千円から数万円です。(※『おなじみ』編集部調べ)

店頭に設置するようなデジタルサイネージもあります。画面を切り替えられるので、たくさんの情報を伝えられるほか、日が暮れてからも目を引きやすいのがメリットです。ただ、自前で表示画像や映像を作成できない場合は、更新コストが高くなります。初期費用も普通の看板より高額で、月々の電気代もかかります。

15. のぼり旗

のぼり旗は目立つため、遠くからでもお店の存在を知らせることができます。ロードサイドの店舗などで多く活用されています。ラーメンやパスタのようなジャンル訴求や価格訴求など、パッと見てすぐ分かる簡単なPRをするのに最適です。費用はデザイン費をのぞくと1本あたり2,000~3,000円が目安です。(※『おなじみ』編集部調べ)

16. 交通広告

交通広告は、駅構内や電車・バス内などに掲示される広告です。利用者の多い路線・駅ほど掲載価格は高くなります。月額は数万円から、掲載場所によっては数十万円やそれ以上の場合もありえます

参考記事:交通広告の費用と料金相場【2023年最新版】|アイミツ

大箱の店や観光客向けの店、トレンドの商品を扱う店が利用するケースもありますが、あまり一般的ではありません。駅の出口付近に店舗があるなど、来店に直結しやすい特別な条件がある場合は検討してみるといいでしょう。

広告効果を高めるためにできること

お店のドアに掲げられた「OPEN」の看板の写真

広告をきっかけに来店してもらうと、一時的に売り上げがアップします。しかし、継続的に売り上げを上げていくためには、お客さんに「また来たい」と感じてもらい、リピート利用につなげていく必要があります。

再来店してもらうための取り組みや注意点をいくつか紹介します。

接客オペレーションの再確認

お店への満足度や好感度を下げないために、接客のオペレーションを見直しておきましょう。

広告でいつもよりお客さんの来店が増えた結果、料理の提供速度が落ちたり、接客の質が低下したりすることがあります。顧客満足度が下がってしまうとお客さんのリピートにつながりません。

また、ネガティブなクチコミが投稿された場合、今後の集客に悪影響が出るおそれもあります。接客(サービス)とは、飲食店経営の基本「QSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)」の1つです。忙しくなっても基本をおろそかにすることのないように注意しましょう。

広告効果の測定と振り返り

広告効果を高めるためには、結果を把握して課題を改善していくことが必須です。広告が実際にどれだけの来店数につながったのか、費用対効果を計算してみましょう。

広告の費用対効果は、予約数やクーポンの利用数を計測し、かかったコストと比較することで把握できます。また、金額だけでなく意図したターゲットが来店しているか確認し、広告内容のブラッシュアップや利用する広告を変更するなど、今後の施策に役立てましょう。

リピートを促す施策の準備

リピートを促す「攻め」の施策も行いましょう。方法として、会員登録による特典付与や再来店を促すクーポン配布などがあります。一度来てくれたお客さんに2回目の利用を促進することで、広告がなくても来店してくれる常連客を増やすことを目指しましょう。

まとめ:まずは利用者数の多いLINE公式アカウントで集客を始めよう

お店のQRコードをスマートフォンで読み取っている写真

広告は飲食店の集客において重要な施策です。ただ、さまざまな手法があるので、費用対効果をしっかり検証していくことが重要です。

また、集客を広告だけに頼るとお客さんが定着せず、どんどん客足が減っていく可能性があります。ただ闇雲に広告を出稿するだけでなく、お客さんのリピートにつなげる意識も重要だと言えます。

まずはスモールスタートとして、すでに利用しているお客さんが多いLINE公式アカウントから導入してみてはいかがでしょうか。記事中でも解説したように、広告を配信して来店を促すことができるほか、見込み客への情報発信や一見客をリピーターに変えるクーポン配信やポイントカード発行といった施策を行うことができます。

まずは以下からチェックしてみてください。

イラスト/つのがい