飲食店を開業するにあたって、重要だとされる立地選び。集客を考えれば駅の近くや大通り沿いといった立地の良い場所に出店するのが理想かもしれませんが、そういった場所はテナントの賃料が高く、周囲に競合店も多い傾向にあります。
一方、コストを考えて好立地とはいえない場所で開業したものの、「立地が悪く集客できない」と悩む飲食店経営者も多いのではないでしょうか。また、良い立地が空いていないため、開業に踏み切れないケースもあるでしょう。
あらためて、立地の悪い飲食店のメリットやデメリットを確認しつつ、立地が悪くても集客するための方法を紹介します。
こんな人におすすめ
- 飲食店開業にあたり、立地選びに迷っている人
- 立地の悪い場所に飲食店を開業するメリットとデメリットを知りたい人
- 立地の悪い飲食店における集客方法を知りたい人
- 立地の種類と向いている業態
- 立地の悪い飲食店の具体例とデメリット
- 立地の悪い場所に出店するメリット
- 立地の悪い飲食店を繁盛させる6つの集客方法
- まとめ:リピーターづくりにはLINE公式アカウントがおすすめ!
立地の種類と向いている業態
まずは、飲食店を開業する際の出店場所の種類と、その場所での出店が向いている業態について、それぞれ解説します。
1. 駅前・繁華街【おすすめ:回転率の速さが重視されるお店】
公共交通機関が充実している駅前・繁華街は、昼夜問わず人通りや交通量が多い場所です。賃料は高く、競合店も多い傾向にあります。
人通りの多い場所であればあるほど多くの来店客が見込まれるため、回転率の速さが重視されるファストフード店やラーメン店、夜間営業が主となる居酒屋やバーなどの業態が向いているといえるでしょう。
2. 商店街【おすすめ:地元住民や中高年層をターゲットにしたお店】
商店街は、地元住民との距離が近いエリアです。また、店を開くにあたり、商店街活性化のための補助金制度を利用できるケースもあります。
繁華街に比べて競合店は少ない傾向にあり、メインターゲットとなる地元住民の憩いの場となるような工夫が必要な場合もあります。お客さんの求めるサービスが提供できれば、お店の常連になってくれる可能性も高くなるでしょう。業態としては、喫茶店や定食屋などが向いています。
3. ビジネス街【おすすめ:会社員をターゲットにしたお店】
ビジネス街では、お昼休憩のランチや打ち合わせ、仕事終わりの飲み会と、さまざまなシーンで会社員が行き交います。しかし、人通りが多いため駅前や繁華街と同様に賃料が高く、競合店も多い傾向にあります。
限られた時間内でお昼を済ませたいという需要に答えるためには、ラーメン店や定食屋、ファストフード店といった、回転率が高く低単価のメニューがそろっている店が好まれるでしょう。また、仕事仲間との飲み会需要に応える居酒屋、接待に使えるような高級感のあるお店もニーズがあります。
4. 住宅街【おすすめ:主婦やファミリー層をターゲットにしたお店】
住宅街にあるお店を訪れるお客さんは、友人や家族とゆっくり食事をする傾向にあるため、回転率は低めです。
その分、客単価を上げる必要があり、店内の雰囲気や料理の味にこだわるとともに、お店に付加価値を乗せることが大切です。業態はフレンチやイタリアンなどが向いているでしょう。
5. ロードサイド【おすすめ:車を持っているファミリー層をターゲットにしたお店】
ほとんどの来店手段が車かバイクになるロードサイド(交通量が多い道路の沿線)店舗では、駐車スペースが必須です。賃料の高さは、道路の交通量の多さに応じて変わります。
ファミリー層が客層の中心となるため、ファミレスや焼肉店、回転寿司屋など、メニュー数が多く低単価のカジュアルな飲食店が好まれます。
立地の悪い飲食店の具体例とデメリット
お店の視認性が低く、お客さんにとってお店へ行くのが不便だと感じる「立地の悪い」飲食店の例は、以下の通りです。それぞれデメリットがあります。
1. 駅から離れている
地元のお客さん以外にとって、お店が駅から離れていると、アクセスに時間や手間がかかります。10分以上歩いたり、タクシーやバスなどの乗り換えを要したりと、気軽に立ち寄るのが難しくなります。お客さんは不便さを感じ、客足が遠のくきっかけになってしまうでしょう。
2. 駐車場がない・駐車しづらい
車で来店したいお客さんにとって、駐車スペースが少なかったり、そもそも駐車場がなかったり、停めづらかったりする店は、ネガティブな印象を受けてしまいます。コインパーキングを利用すればさらに出費が増えるため、来店を断念するお客さんも出てくるでしょう。
3. 店舗が2階以上・地下フロアにある
店舗が2階にあったり地下にあったりする場合、道路からはお店の情報が把握しづらく、お客さんにとって「何のお店なのか」「どんなメニューがあるのか」が分からないため、来店につながりにくくなります。
お店がある建物の前など、人の目につきやすい場所にメニューの写真や価格帯を掲示したパネルや看板を設置したり、タブレット端末で動画を流したりするなど、お店の雰囲気を伝える工夫が必要です。
4. 見つけにくい路地裏にある
大通りから外れた路地裏は、特に夜は少し物騒な雰囲気もあり、入りにくいという印象を与えます。「お店のコンセプトと裏路地の雰囲気が合っているか」などを考慮する必要があるでしょう。お客さんが入りやすい雰囲気を演出するために、お店の入り口に近い大通りに看板やパネルを設置し、店内の様子を写真で紹介するといったことも必要になります。
5. 人通りや通行量が少ない
商店街から少し離れた場所など、通行量が少なくて人の目につきにくい場所では、お店を認知する機会が少なく、集客が難しいと感じることが多いでしょう。お店のWebサイトやSNSなどを活用し、まずはお店の認知度を高める必要があります。来店のきっかけにつながるように、クーポンの配布や常連客限定のキャンペーンを実施するといった施策にも取り組みましょう。
立地の悪い場所に出店するメリット
続いて、立地の悪い場所に飲食店を開業するメリットについて解説します。
1. 空き物件が多い
立地の良い場所にある物件は飲食店経営者にとっても人気のため、競合が多い傾向にあります。どこの物件が空いているか、または空きそうなのか、日頃のリサーチ力が求められます。契約までスピーディーな対応が求められるでしょう。
しかし、立地の悪い物件では競争率が低い場合が多く、お店のコンセプトに合わせてじっくりと出店を考えることができます。契約の際は「立地が悪い」と感じる要因を見極め、実際に出店することで生じるデメリットをカバーできるか、事前に対策を立てることが大切です。
2. 賃料が安い
駅前や繁華街は人通りが多く、飛び込み客の集客に期待できますが、賃料は高額になる傾向にあります。しかし、立地の悪い場所は賃料が比較的安く、店舗面積も広めなので、窮屈な印象を与えません。浮いた資金は、広告や仕入れに回すことができるので、開業準備をする上では余裕が持てるでしょう。
3. 競合飲食店が少ない傾向にある
多くの飲食店経営者が「立地の良い場所にお店を構えたい」と考えます。そのため、駅前や繁華街では、他の飲食店に埋もれて集客がうまくいかないというケースも目立ちます。
ですが、立地の悪い場所なら競合も少なく、認知されるようになればお客さんに選んでもらえる可能性も高まります。地域のニーズも意識したコンセプトにすることで、唯一無二の店舗になれる可能性があるでしょう。
4. 周辺が静かで落ち着いている
コロナ禍で外食する機会が減り、外食に非日常を求めるケースが多くなりました。立地が悪い場所は周辺が静かな場合が多く、ゆっくりと贅沢な時間を提供できるでしょう。
手入れした庭にテーブル席を設けたり、座り心地の良いソファーを用意したりして、日常から離れてお客さんが過ごしやすい雰囲気を演出することもできるでしょう。
5. 隠れ家的魅力があり、アピールポイントになる
立地が悪いと言われる原因の一つである「人通りが少ない」という部分を逆手に取り、その環境をコンセプトとして打ち出すことで「隠れ家的な魅力」を訴求できます。隠れ家といっても、まずはお店のことを知ってもらわなければお客さんは訪れません。WebサービスやSNSを活用した情報発信がカギを握るでしょう。
立地の悪い飲食店を繁盛させる6つの集客方法
立地の悪い飲食店でできる集客方法について説明します。
1. 話題性やオリジナリティーのあるメニューを開発する
MS&Consultingの調査によると、飲食店を選ぶ時に「メニューを重視する」人が最も多いことが分かります。
どのお店でも出せる一般的なメニューであれば、より立地の良い場所にお客さんを取られてしまうでしょう。立地の悪い場所でも行きたくなるような、オリジナリティーのあるメニューを提供する必要があります。ターゲット層が好むオリジナルメニュー開発に取り組みましょう。
2. グルメサイトへ登録する
グルメサイトに登録すれば、検索からお店にたどり着くお客さんの増加が期待できます。ただし、掲載費用が負担になったり、口コミが0件の場合はお客さんが来店を避けたりする場合があるので、費用対効果について考慮する必要があります。
3. 口コミを増やす工夫をする
TORETAのアンケート調査によると、約60%の方が口コミの情報を参考にしています。来店したお客さんに口コミをお願いするだけではなく、口コミを書いてくれたお客さんにサービスしたり、積極的にお店側から返信したりして、口コミを増やす工夫をしましょう。
4. SNSアカウントを活用して集客する
Instagram、Twitter、TikTokなどのSNSも、重要な集客ツールの一つです。アカウント開設は無料のため、運用できるスタッフがいるのであれば、ぜひお店のSNSアカウントを開設しましょう。お客さんの目に止まりやすくなるようにハッシュタグを活用するとともに、オリジナルの画像や動画を継続的に投稿することが大事です。
お店の最新情報を手軽に配信できるメリットもあるので、お店のWebサイトと併用して運用するのがおすすめです。
5. デリバリーや通販を導入する
駅から離れている、またはお店に駐車場がなくアクセスしにくい、といったお客さんにとっての不便さを補うため、デリバリーや通販を導入するのも一つの手です。橋本商会のコロナ終息後のテイクアウトに関する調査を見ると、約60%の人が引き続きテイクアウトを利用する意向があることが分かります。
6. リピーターづくりを意識する
安定的な店舗運営のためには、立地が悪くても来店してくれるリピーターをつくる必要があります。お客さんとの関係づくりはもちろん、ポイントカードの作成や特典の付与など、「また来たい」と思わせる工夫も必要です。LINE公式アカウントを活用すると、これらの施策が同時に実施できます。
LINE公式アカウントを導入したことで、リピーターの獲得に成功したお店を紹介します。
計30万人の友だち追加を実現|イタリアンレストラン「VANSAN」
イタリアンレストランを営むVANSANは、店舗ごとのLINE公式アカウントを開設。それぞれの店舗のファンとつながることを重要視しています。ターゲットである母親世代に向けたメッセージや、季節イベントを強く意識したメッセージを配信することで、子どもの進級や誕生日などをきっかけに、お店の存在を思い出してもらっています。
お店をより身近に感じてもらうことで30万人のファン獲得に成功し、今ではネット予約の4件に1件がLINE公式アカウント経由だそう。グルメサイトからでは分からなかった予約来店者の情報を把握できるようになり、リピートしたくなる施策立案に役立たせています。
ハガキやDMと比べて売上効果は14倍に|レストラン「みんなの和食ダイニング ごちそう村」
和食を中心に120種類以上のメニューを提供する「みんなの和食ダイニング ごちそう村」は、ハガキ・DM・メルマガに代わる新たな施策としてLINE公式アカウントを導入しました。友だち限定メニューや友だち追加で参加できるイベントなど、お客さんが楽しく友だち追加できるような企画を実施。登録者数が一気に増え、売上も上がっています。
約30万円の費用をかけたときの売上を比較すると、「ハガキ・DMは約75万円」だったのに対し「LINE公式アカウントは約1,000万円」と、約14倍も向上したそうです。
また、LINEからの予約は「お店のファン」であることが前提なので、来店促進に向けたアプローチ方法の模索、来店後の満足度調査などにも有効です。
まとめ:リピーターづくりにはLINE公式アカウントがおすすめ!
立地の悪い飲食店で集客力を上げるためには、頻繁にお店に通ってくれたり、口コミを広めてくれたりするリピーターの存在が欠かせません。そのためには「お客さんとの関係性の強化」「リピートしたくなる工夫」が必要不可欠です。
LINE公式アカウントでは、メッセージのやり取りでお客さんと深い関係を築きやすく、ポイント・特典の付与などの機能も充実しているため、来店を促す施策を手軽に実施できます。
まずは気軽に開設できるLINE公式アカウントを利用して、お店に合ったアカウント運用に取り組んでみましょう。
イラスト/つのがい