飲食店の新規顧客の獲得や売上増につながる施策としておすすめなのが、いつもの営業とは違った特別な形でメニューやサービスを提供する「イベント」です。具体的には、季節限定のメニューを用意したり、開店1周年記念などで割引をしたりといったことが考えられます。
イベントはじっくり時間をかけて実施する手の込んだものもありますが、中にはクーポンの発行やSNSと連携したキャンペーンの実施など、コストを最小限に抑えつつ簡単に始められるものもあります。
新規のお客さんから既存の常連客まで喜んでもらえるようなイベントの例と、イベントを成功させるためのコツ、実施する手順を紹介します。
こんな人におすすめ
- 飲食店を経営しており、お客さんを呼び込むためにイベントを実施したい人
- イベントを開きたいが、どういったものが良いか分からない人
- 飲食店でイベントを実施するメリットとは?
- 飲食店でイベントを実施する際の注意点
- 飲食店のイベント実施例
- 飲食店がイベントを実施するときの手順
- イベントを成功させるためのポイントを紹介
- まとめ:LINE公式アカウントを利用すれば、イベント告知も簡単&確実
飲食店でイベントを実施するメリットとは?
飲食店でイベントを実施するメリットについて解説します。
1. 店舗プロモーションの機会になる
イベントを実施することで、お店を知ってもらえる機会をつくれます。店舗でSNSを運用しているのであれば、投稿のネタの一つにもなるでしょう。
例えば、「甘いものが好きな人に向けた期間限定のスイーツビュッフェ」など、ターゲットを明確にしたイベントを実施することで、これまでお店のことを知らなかったお客さんにも「こういうお店があるんだ」と認知してもらえる可能性があります。
2. 新規顧客獲得の集客につながる
先述した通り、イベントを実施することで、新規のお客さんがお店を認知するきっかけをつくることができます。
知らないお店に入るのは、新規のお客さんからすれば勇気がいるもの。例えば、イベントでお得なお試し価格のメニューを提供すれば、お店に来るハードルも低くなるでしょう。イベントの際はお客さんとなるべく交流を持つようにし、次の来店に結び付けましょう。
3. 常連客が増える可能性も
イベントが、足が遠のいていた常連客の来店動機になる可能性があります。
また、定期的にイベントを実施することで新規のお客さんが常連客になり、中長期的な売上安定に貢献することも考えられます。さまざまなイベントを企画し、常連客にとっても「飽きのこないお店」をつくりましょう。
飲食店でイベントを実施する際の注意点
続いて、イベントを実施する際の注意点について見ていきましょう。
1. 告知や宣伝は忘れずに
イベント成功のために必要な絶対条件は、告知や宣伝を行うことです。SNSを活用するなどして積極的に情報発信しましょう。
SNSを活用する場合、新規顧客向けには、「#新宿ランチ」のように、「エリア名+ランチ(ディナー)」や「食、店舗のジャンル(和食、イタリアン、カフェなど)」、観光地であれば「エリア名観光+ジャンル」といった、検索者の意図に合わせたハッシュタグを使って投稿することで発見してもらいやすくなります。常連のお客さんに対しては、直接お知らせできるDMやLINE公式アカウントを活用するのも効果的でしょう。
また、お店の前を通りがかった方にも見てもらえるように、ポスターなどPOPを活用することも有効です。
2. なるべく繁忙期と重ならないようにする
イベント実施時は、通常とは違う業務が追加で発生することになります。クリスマスや忘年会シーズンなどの繁忙期に実施することは避けた方がいいでしょう。
一方、十分な人手があり、イベント用オペレーションに対応できそうであれば、繁忙期に実施することで他店と差別化を図れる可能性があります。
3. 通常時とは異なるオペレーションに対応できるよう準備しておく
イベント期間中は、イベントメニューに注文が集中したり新規顧客が増えたりと、通常の営業とはオペレーションが変わる可能性があります。
さらに、イベントに関する問い合わせの電話が増えることも考えられるので、事前に厨房オペレーションや接客・電話対応に関する研修や練習を実施するなどして、準備をしておくことが大切です。
飲食店のイベント実施例
イベントの実施例についてご紹介します。
1. お得感を打ち出したイベント
「ディナー利用◯名様以上で〇〇円引き」「人気メニューが期間限定で〇〇円オフ」など、集客を伸ばしたい時間帯や訴求したいメニューに合わせて、お得感を前面に出したイベントを実施します。繁忙期や連休に合わせて割引イベントを実施すれば、より集客面での効果が期待できるでしょう。
2. お店の記念日に関連したイベント
お店の記念日に関連したイベントも、積極的に実施していきたいものの一つです。特に周年イベントは、常連客だけでなく、お祭りムードに惹きつけられた新規のお客さんも来店してくれる可能性があるため、しっかり準備したいところです。
3. SNS連動イベント
「SNSでハッシュタグを付けて料理写真をアップしたら割引」「お店のSNSアカウントフォローでドリンクサービス」など、SNSと連動させたイベントはお店のフォロワー獲得に有効です。
アライドアーキテクツ株式会社が実施したアンケート調査によると、ユーザーが企業のSNSアカウントをフォローしたきっかけとして、Instagram・Twitter・LINE・Facebook・YouTubeでいずれも80%以上が「SNS上で開催されたキャンペーンに参加した」(アライドアーキテクツ株式会社調べ)と回答しています。
お客さんに投稿を促すようなイベントは、投稿者のフォロワーや友人に伝わっていくため、まだ見ぬ顧客にも情報が行き渡ります。積極的に実施しましょう。
4. 特定の食材やメニューを打ち出したイベント
有名産地の食品やお酒といった特別感のある食材、特定のメニューを前面に出したイベントも効果的です。お酒を提供するお店ならば、特定の地域の地酒を集めたイベントも考えられます。メニューは店舗の一押しメニューや自慢の一品、または在庫が余りがちな食材を上手に使ったものがおすすめです。
5. 曜日や時間を限定したイベント
「○曜日限定!ドリンク1杯無料」や「〇時までに入店でドリンク1杯無料」など、曜日や時間を限定したイベントも効果的です。立地などの影響から曜日や時間ごとに集客に差が出る店舗は、集客が鈍る日時にイベントを実施してみましょう。
6. 地域で開催されるイベント
食べ歩きイベントなど、地域のイベントへの参加も店舗を広く知ってもらうチャンスです。イベントで来店したお客さんにイベント後も店舗で使えるクーポン券を配布するなどして、さらなる集客へつなげましょう。
飲食店がイベントを実施するときの手順
飲食店でイベントを実施する際の流れについて解説します。
1. イベントのコンセプトや目的を決める
季節行事に合わせてなんとなくイベントを実施するだけでは、効果は見込めません。
イベントを実施する上で「どのような効果につなげたいのか」「どんなお客さんに来てほしいのか」「イベント内容が、店舗の雰囲気に沿ったものか」「イベントのコンセプトはどうするか」など、目的やコンセプトを明確にする必要があります。熟考の上で、イベントの方向性や内容を決めましょう。
2. 売上や来客数の目標を決める
目標は、なるべく具体的な数字を設定しましょう。来客数、売上、SNSフォロー数、クーポン配布数など、イベントの性質に応じて、さまざまな目標設定が考えられます。イベントを通じてどのような効果を得たいかを考え、適切な目標数値を定めましょう。
また、目標を数値化することで、イベント終了後に「目標をどの程度達成できたのか」「達成できていなければ、その要因はなんだったのか」「今後はどういったイベントを実施すべきか」といった課題の整理と次のアクションにつながります。
3. ターゲットを設定する
新規か常連のお客さんか、若年層かシニアかなど、イベントではターゲットを定めることが必要です。ターゲットがしぼられていれば、より効果的にイベントの実施を宣伝していけます。季節や店舗の状況で、ターゲット層を柔軟に変えていくのも手です。
4. 告知を行う
イベントの目的や内容、予算が決まれば、イベント実施についてお客さんに告知しましょう。店内での告知、通りがかりの人に向けたPOPのほか、SNSやメッセージツールも活用します。
利用する際に気をつけたいのは、Instagram・Twitterは20代・30代が中心、TikTokは10代、全世代で満遍なく利用ユーザーが多いのはLINEというように、それぞれアクティブユーザーの属性が異なるということ。お店のターゲット層に合ったものに注力し、定期的に投稿・分析を続けると効果が出やすいでしょう。
5. イベントの効果を振り返る
イベント実施後は、効果について振り返りましょう。「イベント計画時の目標をどの程度達成できたか」「イベントのために投じたコストに対して、どの程度のリターンがあったのか」「イベント計画〜実施時のオペレーションに修正点はないか」といった視点で振り返り、次回のイベントに生かします。
振り返りのために、お客さんにアンケートを取ることも有効な手段です。お客さんがアンケートに答える理由はさまざまですが、積極的に声がけしたり、回答に特典を付けたりすると、回答率アップが期待できます。
イベントを成功させるためのポイントを紹介
イベントを成功させるために押さえておきたいポイントを確認しましょう。
1. 実施頻度を多くし過ぎない
イベントは、特別感を演出することが大切です。そのため、実施頻度が多過ぎると、お客さんにとって特別感がなくなってしまうこともあります。また、イベント実施には手間や予算もかかるため、お店側にとっても頻度が多過ぎると負担になってきます。
頻度を多くする場合は、イベントの内容を変えるなどして特別感が失われないようにしましょう。
2. お店のコンセプトに合ったイベントにする
イベントは、お店の雰囲気やコンセプトに沿ったものを実施しましょう。例えば、高級路線の店舗であるのにもかかわらず、安易に値段を安くするようなイベントは店舗イメージを損ねる可能性があります。本来ターゲットでないお客さんが来店する可能性があるだけでなく、常連のお客さんに「お店の雰囲気が変わってしまったのでは」と受け止められてしまう可能性もあります。
3. 次回来店につながる仕掛けをつくる
イベントでアプローチできた新規のお客さんに対し、また来店してもらえるような仕組みを用意しておきましょう。イベント中に、次回来店で使えるクーポン券やポイントカードを配布するほか、お店のSNSやLINE公式アカウントの登録を勧めるといった施策が考えられます。
まとめ:LINE公式アカウントを利用すれば、イベント告知も簡単&確実
イベントの実施時には、告知が不可欠です。そこでおすすめなのが、 LINE公式アカウントの利用です。メッセージ配信により、イベント情報をお客さんに直接伝えられます。
また、セグメント配信もできるため、ターゲットに合わせた訴求力の高いメッセージの発信が可能です。ポイントカードやクーポンを配布する機能も備わっているため、新規のお客さんに来店を促すこともできるでしょう。
手軽に開設できるLINE公式アカウントを活用して、イベントを成功させましょう。
イラスト/つのがい