飲食店経営の中でも、店舗面積がコンパクトで席数も少ない「小さな飲食店」は、開業コストや人件費を抑えられるため、比較的開業しやすい形態です。ポイントを押さえれば、繁盛店にすることも不可能ではありません。
そんな小さな飲食店ならではのメリットや必要な開業費用について解説します。成功事例とあわせて、押さえるべきポイントも紹介しますので、開業や経営の参考にしてみてください。
こんな人におすすめ
- 飲食店開業にあたり、小さな飲食店の開業を検討している人
- 小さな飲食店を開業するメリットや経営のポイントを知りたい人
- 小さな飲食店経営の売り上げ低迷に悩んでおり、打開策を探している人
- 小規模の飲食店を開業するメリット
- 開業にかかる費用の目安
- 小規模の飲食店を成功させるポイントと成功事例
- 小規模ならではのメリットを活かせる店舗形態
- まとめ:ポイントを押さえて小さな飲食店を成功させよう
小規模の飲食店を開業するメリット
小さな飲食店は、開業費用が抑えられたりお客さんとの距離が近くなったりと、小規模ならではの利点があります。以下で詳しく解説します。
開業費用や人件費などコストを抑えられる
飲食店経営には、物件取得費や設備購入費などの開業費用、家賃や人件費などの運転資金が必要ですが、小さな飲食店であればこうしたコストを抑えることが可能です。
まず、店舗面積が小さければ、物件を借りる際の費用や家賃を比較的安く抑えられます。さらに、厨房設備やエアコン、照明器具、客席といった設備の購入費用も安く済むでしょう。
また、規模によっては、従業員を雇わず自分一人でも始められるので、人件費をゼロにすることも可能です。スタッフが必要な場合でも、繁忙時間帯のみパートやアルバイトを雇用すれば、人件費を抑えられます。
メニューや集客方法などを柔軟に変更できる
小さな飲食店なら、新しいアイデアやメニューを気軽に導入できるのも利点です。お客さんのニーズや個別の要望に応じて、メニューや食材を柔軟に変更できるため、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに、キャンペーンやプロモーションなど、思いついた集客アイデアをすぐに実行できるので、集客力も高められます。また、内装や設備も比較的改修しやすいので、開業後にお店のコンセプトを変更できるのもメリットです。
お客さんとの関係性を築きやすい
小規模の店舗は、お客さんとコミュニケーションが取りやすく、関係性を築きやすいのもメリットです。顔なじみのお客さんはリピート率が高く、口コミによる広告効果も期待できるので、積極的に増やすことで集客の安定化を図れます。
また、お客さんから意見やフィードバックをもらえるのも利点の一つです。もらった意見を店づくりに生かせば、顧客満足度や集客力をさらに高められます。
開業にかかる費用の目安
飲食店を開業する際に必要になるのが、物件取得費や内外装工事費などの初期費用です。加えて、家賃や光熱費、人件費などの運転資金も、半年分ほど準備しておく必要があります。
家賃10万円の物件を借りる場合の目安を以下で紹介します。あくまで一例のため、開業する際は見積もりを依頼するなどして、必要な金額を把握しましょう。
物件取得費
物件取得費は家賃の12カ月分ほどが目安
家賃10万円の物件の場合、120万円〜130万円程度
内外装工事
400万円程度
機械や什器、備品など
190万円程度
運転資金(半年)
300万円程度
小さな飲食店の開業に必要なコストや開業までのステップについては、以下の記事で詳しく解説しています。
小規模の飲食店を成功させるポイントと成功事例
ここからは、小さな飲食店を成功させるためのポイントを紹介します。特に重要なのは以下、3つのポイントです。
それぞれについて、成功事例を交えながら解説していきます。
コンセプトを明確にする
小さな飲食店は薄利多売が難しく、オープン当初は知名度もないため、大型のチェーン店などにはない独自のコンセプトを持つことが大切です。まずは、ターゲットを絞って自店のコンセプトを明確にし、お店の独自性を打ち出しましょう。
コンセプトは、立地選びや店の内装、メニューなど、店づくり全体に影響を及ぼすため、開業を進める前に慎重に検討しておくことが重要です。
例えば、以下の記事で紹介している「晩酌屋おじんじょ」は、“女性が一人で心地よく過ごせる居酒屋”をコンセプトに、モダンな店構えやリーズナブルな価格帯を打ち出し、約8坪で月商800万円を売り上げる人気店となっています。
コストを抑えて利益を確保する
小さな飲食店は売上が少額になりやすく、仕入れコストが高くなりやすいため、日々のランニングコストを抑えて利益を確保することが重要です。
まずは、家賃や人件費、保険料などの固定費を抑えましょう。特に家賃は後から見直すのが難しいため、物件は慎重に検討する必要があります。採算が合わない場合は、小規模ならではの柔軟性を生かし、価格やメニューを見直すのも良いでしょう。
例えば、若者からも支持を受けている昭和レトロな立ち飲み屋「富士屋本店」では、客単価が少なくても利益を確保できるよう、モバイルオーダーを導入することで、人手不足による機会ロスや人件費を抑えることに成功しています。
近隣地域やお客さんと良好な関係を築く
小規模の飲食店は、お客さんとの関係性が深まりやすく、近隣住民も多く利用する傾向があります。近隣の人にリピートしてもらうためには、料理の味だけでなく、接客などでもポジティブな印象を残すことが重要です。
さらに、地元の食材や文化を取り入れた経営を行えば、付加価値になるだけでなく、地域住民との関係構築ができ、集客につながる可能性があります。
以下の記事で紹介している落合俊哉さんは、地元である高尾駅周辺に飲食店5店舗を展開しながら、空き家活用や地域のイベントへの参加も行い、高尾の街を盛り上げています。
小規模ならではのメリットを活かせる店舗形態
小規模ならではの利点を活かせる業態としては、以下の6つが挙げられます。
- 喫茶店
- カフェ
- バー
- 居酒屋
- 専門店
- テイクアウト専門店
昔ながらのレトロ風な喫茶店は、カウンターのみ、またはテーブルが数席の小さな規模で開業しやすく、SNS映えなどを意識すれば、独自性も出しやすいでしょう。カフェについては、内装をDIYにして個性を出したり、古民家や蔵を活用したりすると、初期費用を抑えながら他店との差別化も図れます。
お客さんと積極的にコミュニケーションを取りたい場合は、小規模なバーや居酒屋も良いでしょう。専門店やテイクアウト専門店は、在庫管理や業務プロセスを効率化できるのが利点ですが、トレンドに左右されやすいため注意が必要です。
まとめ:ポイントを押さえて小さな飲食店を成功させよう
小さな飲食店はコストを抑えて開業できる一方で、利益確保に工夫が必要なのが大きな特徴です。紹介した成功事例を参考に、重要なポイントを押さえ、開業や経営を成功させましょう。
飲食店経営では集客ツールの活用が欠かせませんが、小さな飲食店では、お客さんとの関係性が親密だからこそ、ダイレクトにコミュニケーションが取れるツールがおすすめです。LINE公式アカウントのチャット機能を使えば、お客さんと直接やり取りでき、予約の問い合わせなどにも対応できます。メッセージやクーポンもLINE上で直接配信できるため、リピーター獲得に役立つでしょう。
文:相良海琴
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト