飲食店のアイドルタイムを活用しよう。売上アップにつながる集客施策を解説

飲食店の店員がアイドルタイムの活用に悩んでいるイラスト

飲食店では、ランチタイム終了後から夜の営業までの空き時間をアイドルタイムと呼んでいます。このアイドルタイムを有効活用することで、競争力を高め、将来的な売上につなげることができます。

飲食店のアイドルタイムの活用方法を確認して、自分のお店に合う施策を試してみましょう。

こんな人におすすめ

  • アイドルタイムの活用方法にはどんなものがあるか知りたい人
  • 売上アップ、収益アップに役立つ方法を知りたい人
  • 自分のお店に合う方法でアイドルタイムを活用したい人

そもそも「飲食店のアイドルタイム」とはどういう意味?

飲食店の店員が注文されたビールをお客さんに渡している写真

飲食店における「アイドルタイム」とは、「お客さんが来ない、あるいは少ない時間帯で、従業員などの人手も余りがちな時間」のことで、その対義語となる忙しい時間帯を「ピークタイム」と呼びます。飲食店の安定した経営や収益アップのためには、アイドルタイムの対策や活用が重要です。

業種によって、アイドルタイムとなる時間帯は異なります。例えば、居酒屋は夜までがアイドルタイムとされていますが、カフェでは当てはまりません。

また、同じ業種でも、立地によってアイドルタイムの時間帯は異なります。例えば、オフィス街はランチの時間帯や退勤後の時間帯がピークタイムで、その他の時間帯がアイドルタイムと明確な差があります。一方、住宅街は人の流れが流動的になるため、そこまではっきりとした差が出ないというのが一般的です。

【業態別】よくあるアイドルタイムの時間帯

では、業種別によくあるアイドルタイムの時間帯を確認しておきましょう。

レストランのような食事がメインのお店の場合、ランチやディナーの時間帯ではない15~17時あたりがアイドルタイムです。立地がオフィス街なら、多くは13時、少なくとも14時あたりになるとピークタイムより大きく客数が減ると言われています。

カフェの場合、立地にもよりますが、13~15時あたりがアイドルタイムとなります。居酒屋はオープンしてから19時あたりまでがアイドルタイムになるでしょう。ただし、これはあくまで一般的な例なので、立地や季節などによって実際のアイドルタイムは異なる可能性があります。

アイドルタイム対策をしない場合のデメリットとは

飲食店の店員が困っている写真

アイドルタイムは来客が少なく、売上もそれほど上がりません。あまり利益を生まない時間帯のため、手を打たないでいると売上のロスにもつながってしまいます。

ピークタイムでアイドルタイムのロスをカバーするという考えもありますが、アイドルタイムの対策をした方が、経営がより安定しやすくなります。

以下に、アイドルタイムの対策をしない場合の具体的なデメリットをまとめます。

1. 営業コストの方が売上より高くなる

まず、営業コストの方が売上より高くなってしまうことがあります。

売上が少なくても、お店を営業していれば光熱費や人件費がかかります。アイドルタイムに一時的にお店を閉める場合は光熱費や人件費を抑えられますが、家賃はその間も毎日かかっていると言えます。こうしたアイドルタイムにかかる固定費を「アイドルコスト」と呼びます。

アイドルタイムは、一般的に売上よりも営業コストの方が高くなりがちです。つまり、時間単位で見ると、アイドルタイム中は赤字になりやすいというデメリットがあります。

2. スタッフのモチベーションが低くなる

昼時間帯から夜時間帯にかけて通し営業をしている場合、ピークタイムを過ぎてアイドルタイムになると、急に仕事の量が減って手持ち無沙汰になり、スタッフの緊張感がなくなってしまう場合があります。アイドルタイムになったら掃除をするなど、対応についてスタッフに事前に周知しておくようにしましょう。

また、アイドルタイムで暇になったからと言ってスタッフに休憩してもらうような場合も、慎重に判断するようにしましょう。

特にアルバイトスタッフの場合、休憩時間は給与の対象にならないのが一般的です。そのため、アイドルタイムに休憩させると、拘束はされているのに給与には反映されません。その結果、仕事へのモチベーションが低くなることもあります。

3. お店のサービスの質が下がる

アイドルタイムは、働いているスタッフの数を少なくしたり、他の作業をする時間に当てたりするなど、対応策を考えている店舗もあります。

しかし、お客さんの来店が予想よりも多い場合にうまく対応できず、接客の質が下がってしまうこともあります。

また、本来は他の作業を予定していたため、気持ちのメリハリがつかなくなり、スタッフのモチベーションが低下する可能性もあります。モチベーションの低下はサービスの質の低下にもつながり、スタッフが集中していない様子が目立ってしまうと、クレームに発展する可能性もあります。

アイドルタイムを活用する2つの方法

収益アップのためには、アイドルタイムをどのように活用していくかの対策が必要です。対策方法は、大きく以下の2つに分けられます。

  • 集客して売上に直接結び付ける方法
  • 集客以外の施策に時間を活用して競争力・基礎体力を高める方法

それぞれの方法について、より具体的な施策を順に解説していきます。

アイドルタイムに集客して、売上に直接結び付ける方法

料理の写真

まずは、アイドルタイムも積極的に集客施策を展開し、売上に結びつける方法です。言い換えれば、アイドルタイムを短くする「攻め」の施策です。ここでは、5つの施策を紹介します。

  1. 時間帯限定メニューを提供する
  2. タイムサービス・ハッピーアワーを導入する
  3. 他の「業種」で営業する
  4. 他の「業態」で営業する
  5. ピーク時とは違う客層をターゲットにする
1. 時間帯限定メニューを提供する

時間帯限定メニューを提供するという施策では、アイドルタイムとなる時間帯のほか、客層や立地をもとに作戦を練るのがポイントです。

例えば、住宅地にあるレストランなら主婦向けのお得なランチセットやコース、あるいはデザートとドリンクのセットを提供するサービスなどが考えられます。

アイドルタイムの売上そのものを伸ばすだけでなく、そのお客さんをランチやディナーなどピークタイムの来店につなげるという発想もあります。その場合、時間限定メニューの内容はピークタイムと同じものを組み合わせたり、ピークタイムにも来てみたいと思わせたりするものを検討しましょう。

2. タイムサービス・ハッピーアワーを導入する

タイムサービスやハッピーアワーを導入することも検討しましょう。例えば、以下のような内容です。

  • ラーメン店のトッピングサービス
  • 定食屋の小鉢サービス
  • ドリンク1杯無料
  • ドリンク1杯の価格で飲み放題
  • 居酒屋などでのドリンク半額

お客さんにとって、タイムサービスやハッピーアワーは、ピークタイムからずらして来店するための動機になります。

うまく展開できれば、ピークタイムだけにお客さんが集中するのを緩和する効果も期待できます。ピークタイムでない時間もにぎわっていると、通行人の興味を引き、新たな来店のきっかけになる可能性もあるかもしれません。

ただし、利益を確保するためには、きちんと原価率を考えてサービス内容を決めることが大切です。せっかく来店客数が増えても、赤字になってしまっては本末転倒です。

3. 他の「業種」で営業する

提供する料理のジャンルを変えて営業する方法もあります。つまり、アイドルタイムだけ業種を変えるという方法です。

例えば、朝から営業している居酒屋の場合、お酒の需要は夜の時間帯まで少ないのが一般的です。そこで、ランチタイムは居酒屋メニューではなく定食を提供すると、お客さんの需要にマッチして来店客数も増えるでしょう。

本来の業種に近いメニューに限らず、まったく違うメニューを提供するという方法もあります。

例えば、通常は餃子専門店として営業しているお店が、アイドルタイムだけはクレープを提供するというケース。こうした場合は、お店の雰囲気を普段の餃子専門店からガラッと変える方がよいでしょう。照明やBGMなどの環境、スタッフのユニフォームや接客のスタイルなどに手を加えることで、お店の印象は変えられます。

ほかには、普段はラーメン店として営業しているお店が、夜の時間帯だけラーメン居酒屋にするなど、連続性のあるパターンもあります。トッピングを生かしたおつまみなどを提供して、最後に締めのラーメンを食べてもらうような形態です。

専門店はキッチンをはじめとする設備が提供する料理に最適化してあることもあるので、こうした営業にも適しているでしょう。

4. 他の「業態」で営業する

店内で料理を提供しないスタイルで営業するという方法もあります。例えば、アイドルタイムはテイクアウト専門店やデリバリー専門店として営業するデリバリー業者に登録してバーチャルレストランとして営業する、といったパターンです。

業態ごとにメリットがあります。テイクアウト専門店にする場合は調理スタッフだけでほぼお店を運営することができ、デリバリー専門店やバーチャルレストランなら天候に売上が左右されずに済みます。お客さんの「外に出たくない」という心理状態を考えると、雨天の方が売上は伸びる可能性もあります。

その他、料理を出さずに客席をテレワークスペースとして提供する例も。この方法だと、調理や接客の必要がないため、店側の負担が少なくて済みます。個室のある店舗などにおすすめの施策です。

数ある施策の中でも、飲食店としての負担を少なくして売上アップを狙うには、テイクアウトを導入するのがおすすめです。

なぜなら、お店の回転率や接客を気にすることなく、少ない負担でアイドルタイムの売上アップにつなげられるほか、同業種でテイクアウトを導入する場合はアイドルタイム以外の時間帯に来店してもらうためのアピールにもなり、将来的な売上につなげやすくなるからです。

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5. ピーク時とは違う客層をターゲットにする

時間帯限定メニューや別業態・別業種の内容にも影響されますが、ピークタイムとターゲットを変えて利用を促すのも、アイドルタイムの売上をアップさせる施策の1つです。

例えば、レストランの場合、ピークタイムには訪れないファミリー層をアイドルタイムのターゲットにする方法があります。小さい子どもを持つ親は混んでいるお店を避けることが多いため、お客さんが少ないアイドルタイムの方が利用しやすいからです。

具体的な施策の例としては、子ども向けのメニュー提供、キッズドリンク無料、おもちゃプレゼントといったサービスが王道です。

集客以外の施策に時間を活用して競争力・基礎体力を高める方法

本からいろいろな飲食店のアイデアが飛び出している写真

次は、アイドルタイム中の売上ではなく、お店の基礎体力や競争力を高める施策を行うためにアイドルタイムを活用する方法です。ここでは、5つの施策を紹介します。

  1. 新メニューの開発を行う
  2. 新人やアルバイトの教育を行う
  3. 販促を行う
  4. 次のピークタイムの仕込みや清掃を行う
  5. シフト調整・休憩を行う
1. 新メニューの開発を行う

まず、新メニューや季節メニューの開発に時間を使う方法です。新規性があり話題にもしやすいので、お客さんが来店するきっかけづくりにも役立ちます。

ピークタイムにメニューの試作や試食をすることは難しいですが、アイドルタイムであればさまざまなことを試す時間的な余裕が生まれます。アイドルタイムを有効活用し、スタッフ同士で意見を出し合って新しいメニューを開発してみるのもいいでしょう。

2. 新人やアルバイトの教育を行う

スタッフの教育を行うことも、お店の基礎体力アップに役立ちます。

ホールなら、接客スキルや商品知識を磨いてお客さんへの提案力を向上させることが可能です。調理スタッフなら、料理の質を上げるための技術向上、調理スピードのアップによる生産性向上も期待できるでしょう。

そのほか、揚げ場や焼き場など新しい持ち場を経験させることも、教育の1つです。アイドルタイムは、実践的な技術を身に付けさせるのにも最適です。時間的な余裕があるので、1人ひとりのレベルに合わせた教育も可能になります。

新人スタッフであれば、はじめはアイドルタイムにシフトを入れると教育しやすいでしょう。細かいケアもしやすいため、離職率の改善にも役立ちます。

3. 販促を行う

アイドルタイムの後の時間帯にピークタイムがある場合、ピークタイムに訪れる客層に向けた情報発信の時間にあてることも、競争力のアップにつながります。例えば、居酒屋の場合は、ランチ営業が終わった後のアイドルタイムに、夜時間帯の営業についてお客さんへ情報発信を行います。

具体的には、SNSでの投稿をはじめ、LINE公式アカウントやメルマガ(メールマガジン)でのクーポン発行などがあります。当日に情報発信をすることで、その日の仕入れや天候に合わせた臨機応変な販促が可能です。日々の売上を積み上げるのにも役立ちます。

より長いスパンで見るなら、今後実施する予定のキャンペーンにまつわる作業時間として活用するのもいいでしょう。

キャンペーン内容の立案や打ち合わせの時間にしたり、すでにキャンペーンの内容が決まっているのであれば準備や情報発信を行ったりできるので、中長期的な売上アップのために活用できるでしょう。その際、売上やクーポンの利用率といったデータがあると、中長期的なキャンペーンの事前準備に役立ちます。

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4. 次のピークタイムの仕込みや清掃を行う

飲食店のキッチンを清掃している写真

次のピークタイムに備えて料理の仕込みや店内の清掃をしておくことも、立派なアイドルタイムの有効活用です。

ピークタイムがくる前に料理の仕込みをしておけば、提供時間を短くできる上、できたてに近いフレッシュな料理の提供が可能になります。ピークタイムが1日に2回ある場合、1回目のピークタイムによく出た商品が2回目のピークタイムで品薄にならないための対策もできます。販売状況に応じたきめ細かな対処が可能です。

また、開店前に店内を清掃していても、開店準備で忙しく、細かいところまでは清掃ができなかったというケースもあるでしょう。その場合は、アイドルタイム中に残りの分を清掃することも時間を有効活用する方法の1つです。特に、レストランのようにピークタイムが昼と夜とで2回あり、合間の時間帯がアイドルタイムとなる場合、ランチ営業で生じた汚れを清掃するための作業時間として活用できます。

5. シフト調整・休憩を行う

立地・業態・業種などのさまざまな要素によって、お店の経営事情は異なります。場合によっては、アイドルタイムの人手を大幅にカットしたり、一時的にお店を閉めて休憩時間にあてたりするのも選択肢の1つです。

直接的な売上に結びつかなくとも、他のことに有効活用できるのなら、その時間に稼働する意味はあります。しかし、デメリットの方が大きいなら、休憩やリフレッシュのための時間にして、次のピークタイムに備える方が有益だといえるでしょう。

アイドルタイムの売上をアップさせるコツは「告知」にあり

飲食店で提供された料理をスマートフォンで撮影している写真

どのような施策を行うにしても、アイドルタイムに営業してアイドルタイム中の売上をアップさせたいなら、お客さんへの告知が必要です。

お店の近隣の人向けには、A型看板(立て看板の一種)や店外POPなどを活用してアピールしましょう。店内にもPOPを掲示して、次の来店を促すことが大切です。

また、SNSなどオンラインでの告知も有効です。ただし、実施する前に効率的な手法かどうかを検討することも大切です。不特定多数に向けて発信する場合、新規顧客を獲得する可能性が高まりますが、顧客になってもらうまでのハードルが高いという難点もあるからです。

マーケティングでよく言われる「5:1の法則」では、新規顧客の獲得は既存顧客を常連化する5倍のコストがかかるとされます。

そのため、効率的に集客する場合は、来店経験があるお客さんの頻度を高める方がいいでしょう。例えば、お店側からの情報発信ツールとして利用されているLINE公式アカウントなら、以下のメリットがあります。

  • SNSよりもお客さんにリーチしやすい
  • すでにお店を知っている人が登録している
  • スマホに通知が届くので、お客さんに見てもらいやすい

このように、ただ告知をするだけでなく、より高い効果が期待できる方法を検討すべきでしょう。

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まとめ:アイドルタイムを上手に活用すれば、経営の安定につながる

アイドルタイムは、集客施策を試したり、その他のことに有効活用したりすれば、経営の安定にもつながります。まずは自分のお店に合った施策は何かを見極め、実施してみましょう。

どのスタッフも基礎的な接客や調理ができているなら、まずはテイクアウトを始めてみるというのも、負担が少なくておすすめです。

しかし、テイクアウトを導入する場合は、お客さんに知ってもらうためにもこまめな告知が大切です。

LINE公式アカウントのメッセージ送信機能は、過半数が3~6時間以内、約8割が当日に開封しており、アイドルタイムのさまざまな施策の告知にも最適です。ショップカードやクーポン配信の機能もあるので、来店を促すための強力なツールになります。まずは以下から詳細を確認してみましょう。