SNSやWebサイトなどを使った予約システムは、近年、ITの知識がなくても簡単に作れるほか、無料で始められるサービスが増えています。
そんな予約システムの導入を考えている飲食店経営者に向けて、無料で簡単に作る方法や導入のポイントを紹介します。導入のメリット・デメリットも解説するので、検討する際の参考にしてみてください。
こんな人におすすめ
- 飲食店を経営しており、予約の受付・管理を効率化したい人
- 予約システムの導入を検討しており、無料で始められるサービスについて調べている人
- 機能やメリット・デメリット、導入の際のポイントについて知りたい人
予約システムを導入する方法
予約システムの導入方法は、大きく分けて3つ挙げられます。より簡単に導入できる方法から順に紹介します。
「LINEで予約」を活用する
最も導入が簡単なのは、LINE上で簡単に店舗の予約ができるサービス「LINEで予約」を活用する方法です。
ホームページや予約サイトを新たに開設する必要はなく、LINE公式アカウントがあればすぐに利用でき、予約手数料もかかりません(※連携パートナーの契約プランにより異なる可能性があります)。
予約の受付から案内などの全てがLINE上で完結できるため、お客さん側の利便性も向上させることができます。
また、予約管理や分析もLINE公式アカウントで行えるほか、トーク画面に固定されるリッチメニューを活用することで、お客さんにLINEから予約が可能なことを訴求することもできます。
予約システム作成ツールを使って予約サイトを開設する
次に簡単なのは、予約システム作成ツールを利用して、予約専用サイトを開設する方法です。
ツールによっては、テンプレートから必要な項目を選んでカスタマイズするだけで、予約用のサイトを新たに開設できるものもあります。
機能もツールによってさまざまで、中にはカレンダーやSNS、外部サイトなどと連携できるツールも。また、カスタマーサポートなどの問い合わせ先が用意されているサービスも多く、分からないことがあれば電話やメールで質問できるのもメリットの一つです。
自店のホームページに予約フォームを埋め込む
自店のホームページがすでにある場合、ページ内に予約フォームを埋め込むこともできます。
場合によっては、「サイト制作の知識が必要とされる」「制作から運用まで自店で行う必要がある」といったデメリットはありますが、自店のニーズに合わせて必要な機能を自由に搭載でき、デザインをカスタマイズすることも可能です。
予約システム作成ツールの中には、ホームページそのものを作成できるサービスもあるので、予約システム導入と同時に自店のホームページを設けるのも一つの手です。
自店のホームページに予約フォームを導入する方法を3つ紹介します。
【1】予約システム作成ツールでフォームを作成する
予約システム作成ツールで予約フォームを作れば、自店のホームページに埋め込むだけで、簡単に予約システムを構築することができます。
多くの場合、ツール側で貼り付け用のコードが用意されているため、任意の位置に貼り付けるだけで設置可能です。コーディングの基本知識さえあれば、簡単に導入できるでしょう。
【2】WordPressのプラグインを導入する
自店のホームページをブログソフトウェア「WordPress」で作っている場合、WordPressのプラグインを利用すれば、手軽に予約システムを設置できます。
プラグインとは「拡張機能」のことで、Webサイトをカスタマイズするためのプログラムです。WordPressには、予約フォームを埋め込むことができるプラグインが豊富にあるため、自店に合った予約システムを作ることができます。
【3】HTMLやCSSなどを使って自作する
HTMLやCSS、PHPなど、Webページ作成用のプログラミング言語を使えば、デザイン性やオリジナリティーに優れた予約フォームを作ることができます。ただし、コーディング作業が必須となるため、プログラミングの知識や一定の作業時間が必要になります。
導入する際に見るべきポイント
予約システム作成ツールを活用する場合、種類や機能が数多くあり、「何を基準に選べばいいか分からない」と悩む方も多いかもしれません。ツールを選ぶ際のポイントを紹介します。
飲食店への導入実績があるか
まずは、同じ業種での導入実績があるかどうか、確認してみましょう。業態に合ったツールかどうか分かりやすく、導入後のミスマッチを減らすことができます。
さらに、自店に必要な機能がついているか、不要な機能を省略することができるか、といった点もあわせてチェックしてみると、自店に合ったツールを見つけることができるでしょう。
自店に必要な機能が付属しているか
予約システムを導入する目的や用途を確認し、必要な機能について調べることも非常に重要です。以下で紹介する代表的な機能を参考に、自店にどんな機能が必要か、整理してみましょう。
【1】予約管理機能
予約情報の確認、予約のキャンセル、変更の処理などを予約システム上で行えば、予約関連の業務を効率化することができます。
まずは、どのような予約方法が可能か確認し、自店に合わせて管理がしやすいタイプのものを選びましょう。予約方法のタイプには次のようなものがあります。
- お店が事前に設定したスケジュールから、お客さんが予約日時を選ぶタイプ
- お客さんが日時を自由に指定できるタイプ
さらに、予約システムによっては、予約フォームにカレンダーを埋め込んだり、特定の会員だけがアクセスできるように設定したりできるものもあります。お客さんのニーズや自店の特徴に合わせて、最適な予約タイプを選びましょう。
【2】顧客管理機能
顧客管理機能があれば、お客さんの氏名や年齢などの情報、予約回数、前回予約したコースなどのデータを管理することができます。
顧客データを活用することで、それぞれのお客さんに合わせたサービスを提供できるだけでなく、予約訴求やリピーター獲得も効率的になるでしょう。
【3】スマートフォンへの対応
現在、日本では90%以上の人がスマートフォンを利用しているといわれています。そのため、予約システムもスマートフォンに対応していることが望ましいでしょう。パソコン、スマートフォン、タブレットなど、どんなデバイスからのアクセスでも最適な表示をしてくれる予約システムがおすすめです。「見づらい」「操作しにくい」といったストレスを防ぐことができ、お客さんとお店の双方にメリットがあります。
【4】決済機能
お客さんが予約する段階で事前決済ができる機能があれば、会計の手間を省くことができるほか、急なキャンセルを防ぐことができ、お客さんとお店の双方にメリットがあります。
【5】外部サービスとの連携機能
予約システムの顧客データを外部サービスと連携させることで、蓄積した顧客のデータをより有効に活用できるようになります。
例えば、集客システムやSNSと連携して顧客分析が可能になれば、分析結果を集客施策に利用することができます。事業が拡大するにつれて顧客分析の重要度は高まるため、将来的に店舗の拡大やさらなる出店を見据えている人は、この機能の有無も確認しておくと良いでしょう。
【6】セキュリティー対策
予約システムで十分なセキュリティー対策が行われているか、必ず確認しておきましょう。
予約システムでは、多くの個人情報を扱います。万が一、お客さんの情報が流出したり、システムダウンで予約できなくなったりした場合、お客さんとお店の双方に大きな損害を及ぼす恐れがあります。特に決済機能を付属する場合は、セキュリティーレベルの高いものを選びましょう。
セキュリティーレベルをチェックするときには、以下の対策がとられているかを確認すると良いでしょう。
- SSL設定(データ通信の暗号化)に対応しているか
- ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証およびISMSクラウドセキュリティ認証を取得しているか
- プライバシーマークを取得しているか
- 情報漏えい対策が行われているか
- 不正アクセス防止対策が行われているか
他にも、データセンターの信頼性やサーバーの監視体制など保守・運用体制が信頼できるものか、ホームページなどを通じてチェックしておきましょう。
無料で始められる簡単予約システム作成ツール12選
ここからは、無料で利用できる予約システム作成ツールを、特徴ごとにまとめて紹介します。必要な機能をチェックして、自店に合うツールを見つけましょう。
1. 予約管理や顧客管理が簡単にできるシステム
ツール名 |
決済機能 |
顧客管理機能 |
セキュリティー対策 |
× | ◯ ・無料プランでも予約数に制限なし ・予約方法のタイプを2種類から選択可 |
・SSL対応 ・固定IPアクセス制限 |
|
× | ◯ ・グルメメディアからのネット予約や電話からの予約を一元管理 |
※要問い合わせ | |
◯ | ◯ ・充実した顧客管理機能 ・予約管理ページは共同編集可能 |
・SSL/TLS対応 ・ISO 27001 (ISMS) を取得 ・プライバシーマークを取得 ・Amazon Web Services(AWS)を採用 ・24時間365日のサーバー監視体制 ・データアクセスの管理・制限 |
2. ホームページの作成やホームページへの埋め込みが可能なシステム
ツール名 |
決済機能 |
顧客管理機能 |
予約管理機能 |
ホームページ関連機能 |
セキュリティー対策 |
◯ | △ ※有料版のみ |
◯ | ・予約ページ作成可 | ※要問い合わせ | |
◯ | ◯ | ◯ | ・予約フォーム作成可 ・ホームページ作成可 |
・SSL対応 ・スパム防止 |
3. 外部サービスとの連携がしやすいシステム
ツール名 |
決済機能 |
顧客管理機能 |
予約管理機能 |
連携機能 |
セキュリティー対策 |
※ビジネス利用の場合、1カ月間の無料版使用期間終了後は、有料プランの契約が必要 | △ ※Paypal決済のみ |
◯ | ◯ | ・Facebook ・WordPress ・Google カレンダー ・Google アナリティクス ・PayPal ・Outlook など |
・SSL/TLS対応 ・24時間365日でサーバーを監視 |
◯ | ◯ | ◯ | ・Google カレンダー ・Google アナリティクス ・LINE |
・SSL対応 ・不正ログインロック |
|
◯ | ◯ | ◯ | ・Google カレンダー ・LINEミニアプリ |
・SSL/暗号化全対応 ・SLA(サービス品質保証) ・ISO 27001 (ISMS) を取得 |
4. 飲食店の予約にも適したシステム
ツール名 |
決済機能 |
顧客管理機能 |
予約管理機能 |
飲食店への導入 |
セキュリティー対策 |
※利用するアプリによって機能が異なる |
◯ | ◯ | ◯ | ◎ ・順番管理サービスやモバイルオーダーなど飲食業に特化したアプリも利用可 |
※要問い合わせ |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ ・飲食店に最適なテンプレートが利用可 |
・24時間365日のサーバ監視 | |
※15日間の無料お試し期間終了後は契約が必要 |
◯ | ※要問い合わせ | △ ※旧予約機能の管理画面から管理可 |
◎ ・飲食店での導入実績多数 ・自店に合ったホームページを作成可 ・スマホからの更新も行える |
・SSL対応 ・二要素認証 |
※無料キャンペーン実施期間以外は有料 |
× | ◯ | ◯ | ◎ ・飲食店向けに特化 ・飲食店での導入実績多数 ・グルメサイトやPOSとの連携可 ・予約確認をLINEを通じて送信可 |
※要問い合わせ |
導入するメリット
ここからは、予約システムを導入することで得られる5つのメリットを紹介します。
予約管理や予約対応を効率化できる
予約システムを導入すれば、予約状況がリアルタイムで更新されるため、これまで紙媒体や表計算ソフトで行っていた業務を自動化し、オペレーションコストを削減することができます。
システムによっては、予約したお客さんへの確認メール自動送信機能などを備えているものもあり、予約対応を自動化することもできます。
24時間受付により機会損失を軽減できる
予約システムを設置していれば、24時間365日いつでも予約を受け付けることができます。営業時間外や電話対応ができない忙しい時間帯でも、お客さんの予約を逃すことがなくなり、機会損失を最小限に抑えられます。
ダブルブッキングなどの人的ミスを防止できる
予約システムでは、お客さん自身が情報を入力するため、電話口での聞き間違いや記入ミスを回避することができます。
また、予約システムによっては、Webからの予約だけでなく、電話受付した予約もシステムで一括管理が可能に。チーム内で予約情報を共有しやすくなり、ダブルブッキングなどの人的ミスを防ぐことができます。
無断キャンセルを減らすことができる
システムによっては「予約確定メール」「リマインドメール」機能があり、活用することで無断キャンセルを防ぐことができます。無断キャンセルをした人のサービス利用を制限できる機能を搭載したシステムであれば、度重なるキャンセル防止にも活用できます。
顧客情報の管理・分析ができる
予約システムでは、お客さんの情報や利用内容、金額、リピート率などのデータを記録することができます。蓄積したデータを分析すれば、マーケティング戦略の立案やサービス向上に活用することができるでしょう。
導入するデメリット
予約システムの導入は数多くのメリットをもたらす反面、デメリットが発生する場合も。ここでは、代表的なものを2つ紹介します。
導入に手間や費用がかかる場合も
予約システムをWebサイトに設置するには、作成や埋め込みなど、ある程度の手間と時間がかかります。また、予約システムによっては、初期費用や月額費がかかる場合もあります。費用はシステムによって異なりますが、数千円〜数万円程度が目安となります。
自店が小規模で予約を受け付けたい人数が少なく、できるだけ低予算に抑えたいという場合は、無料の予約システム作成ツールを選ぶと良いでしょう。
電話予約との併用によって管理が複雑になることも
予約システムの導入後は、電話や店頭での予約と併用するお店も多いでしょう。複数の予約窓口があると管理が煩雑になったり、電話や口頭で受けた予約をシステムに登録し忘れたりして、ダブルブッキングなどのトラブルにつながるリスクもあります。
口頭で受けた予約は速やかに予約システムに登録するなど、予約管理のルールづくりや管理体制の整備をしておきましょう。
まとめ:目的や用途を確認して予約システムを導入しよう
予約システムの導入には、予約管理の効率化や機会損失の軽減など、さまざまなメリットが期待できます。ただし、予約システムを作成するにはいくつか方法があり、システム作成ツールも数多く展開されているため、まずは「自店が予約システムを導入する目的は何か」「どんな機能が必要か」を確認してみましょう。
とりあえずお試しで使ってみたいと思ったら、無料ですぐに開設できるLINE公式アカウントを使った「LINEで予約」がおすすめです。LINE上で簡単に予約システムを作ることができるので、手軽に導入できるでしょう。
文:渋谷唯子
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト