居酒屋にセルフオーダーを導入するメリットは?向いている店の特徴や考慮すべきポイント

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近年、タッチパネル注文モバイルオーダーなど、さまざまなセルフオーダーシステムが登場し、飲食店を中心に普及が進んでいます。

特に、追加注文が多い居酒屋では、セルフオーダー化の利点が多く、オーダー業務の効率化や利益の向上などを図ることができます。

経営している居酒屋にもセルフオーダーを導入し、業務改善したいと考えている店主に向けて、導入のメリットやデメリットを解説します。セルフオーダーが向いている居酒屋の特徴や導入時に考慮しておきたいポイントも紹介しますので、検討する際の参考にしてみてください。

こんな人におすすめ

  • 居酒屋を経営しており、セルフオーダーの導入を検討している人
  • セルフオーダーの導入に向いているお店を知りたい人
  • 導入のメリットやデメリットを知りたい人
  • 導入にあたって事前に確認すべきポイントを知りたい人

セルフオーダーとは?

タブレットから注文する男女

セルフオーダーとは、スタッフを介さずに、お客さんがタッチパネルやスマートフォンなどを使って自身で注文するオーダー方法のことです。

従来のオーダー方法と比べると、お客さんがスタッフを呼ばなくても気軽に注文できるだけでなく、オーダーミスの軽減や業務の効率化にもつながり、店舗側も多くのメリットを得ることができます。

セルフオーダーシステムの種類

一般的なセルフオーダーシステムは、以下の3つに分けられます。

  • 販売機を使用した食券制
  • タッチパネル注文
  • モバイルオーダー

牛丼チェーンやラーメン店、食堂などでは、お客さんが「食券」を購入するセルフオーダーシステムが多く採用されています。セルフオーダーと聞くと、近年登場した新しいシステムをイメージすることが多いかもしれませんが、こうした食券制もセルフオーダーの一つです。

また、卓上のタブレット端末からお客さんに注文してもらう「タッチパネル注文」は、居酒屋やファミリーレストランを中心に取り入れられています。

近年では、お客さんのスマートフォンやタブレットからQRコードを読み込んでメニューを注文できる「モバイルオーダー」も増えてきました。居酒屋をはじめ、ファストフード店やコーヒーチェーン店などで導入が進んでいます。

居酒屋に導入するメリット

配膳する女性スタッフ

居酒屋をはじめとする飲食店では、人手不足は喫緊の課題です。さらに、新型コロナウイルス感染症流行前の水準まで戻りつつあるインバウンドへの対応、定期的に変わるメニュー作成などに労力やコストがかかり、頭を悩ませている経営者も多いかもしれません。

こうした課題は、セルフオーダーシステムの導入によって解決できる可能性があります。ここでは、セルフオーダー導入のメリットを解説します。

  1. 業務オペレーションを効率化できる
  2. オーダーミスを軽減できる
  3. 人手不足に対応できる
  4. 人件費を削減できる
  5. インバウンドにも対応できる
  6. メニュー表の作成や印刷が不要になる
  7. スタッフの教育にかかる時間を短縮できる

1. 業務オペレーションを効率化できる

セルフオーダー導入の最大のメリットは、業務オペレーションを効率化できることです。

セルフオーダー化すれば、スタッフがお客さんのテーブルまで行かなくても注文を受け付けられるため、接客オペレーションが簡略化されます。また、オーダーをキッチンに伝える工程も省略できるため、ホールスタッフ・キッチンスタッフ双方の負担を軽減できるでしょう。

その結果、ホールスタッフは料理の配膳・片付け・会計、キッチンスタッフは調理・食器洗いなど、他の業務に集中できるようになり、作業効率の向上にもつながります。

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2. オーダーミスを軽減できる

オーダーミスの軽減も、セルフオーダー導入の重要なメリットです。

スタッフがオーダーを取る従来の方法では、注文を取り違えるなど、ミスが起こりやすい傾向があります。オーダーミスが多いと、料理の提供スピードが低下して顧客満足度が下がるほか、廃棄ロスが増えて利益の低下につながることもあるでしょう。

一方、セルフオーダーではお客さん自身が注文するため、オーダーミスを軽減することができ、クレームの防止にもつながります。

3. 人手不足に対応できる

セルフオーダーシステムを導入すると、ホールスタッフが不足していても、お客さんのオーダーにスムーズに対応することができます。また、オーダーの工程が減ることで少人数でも品質を落とさずに接客を行うことができ、顧客満足度の維持も可能になります。

特に客席が多い店舗では、人手が不足していると、オーダーを取りに行く余裕がなくなり、お客さんを待たせてしまったり、料理の提供が大幅に遅れたりして、営業に支障が出ることもあります。スタッフの採用が難しい場合は、セルフオーダーの導入を検討してもいいでしょう。

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4. 人件費を削減できる

オーダー関連の業務は、ホールオペレーションの中でも負担の大きい作業です。そのため、セルフオーダー化することで、人手不足に対応できるだけでなく、ホールに配置するスタッフの人数を減らすこともできるため、人件費を削減することができます。

さらに、人手不足による機会損失や採用コストの軽減も可能になり、経営の安定化にもつながります。

5. インバウンドにも対応できる

インバウンドに対応しやすくなるのも、セルフオーダーのメリットの一つです。

2022年10月には、新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、日本を訪れる外国人観光客が増えてきています。こうしたインバウンド需要に応えて、機会損失を減らしたいという居酒屋も多いかもしれません。

そこで、外国語に対応したオーダーシステムを導入すれば、スタッフの語学力が高くなくても、問題なくオーダーを取ることができます。外国人観光客を取り込むことで、お店の口コミが外国人にも共有され、売上の向上も図れるでしょう。

6. メニュー表の作成や印刷が不要になる

タッチパネル注文やモバイルオーダーを取り入れることで、紙のメニュー表の作成や印刷が不要になるのもメリットの一つでしょう。

特に、季節に対応したメニュー日替わりのおすすめメニューを作成している居酒屋では、メニュー関連業務の手間を大幅に削減することができます。

また、セルフオーダーシステムによっては、新商品や季節限定商品をピックアップして表示することもできるため、簡単に商品を訴求することができ、売上の向上にもつながります。

7. スタッフの教育にかかる時間を短縮できる

セルフオーダー化すると、新しくお店に入ってきたスタッフにオーダーの取り方をレクチャーする必要がなくなり、教育にかかる時間を短縮することができます。

その結果、教育係の負担が減るだけでなく、新しく入ったスタッフをすぐに戦力にできるため、スタッフの入れ替わりが激しい店舗でも安定した営業が可能になるでしょう。

居酒屋に導入するデメリット

セルフオーダー導入には多くのメリットがある一方、お店によってはデメリットが発生する可能性もあります。導入前にデメリットを確認し、自店にセルフオーダー導入が向いているか、慎重に検討しましょう。

  1. お客さんとコミュニケーションを取れる機会が減る
  2. 機械操作に慣れていないお客さんの満足度が低下する
  3. 機械の不具合により、機会損失が発生する
  4. セルフオーダーが向いていない店舗もある

1. お客さんとコミュニケーションを取れる機会が減る

丁寧な接客を売りにしている居酒屋常連客が多いお店の場合、セルフオーダーを導入して接客の機会が少なくなると、お客さんが離れてしまうリスクがあるでしょう。

自店のコンセプトによっては売上が低下する可能性もあるため、導入の際は慎重に検討を重ねる必要があります。人手不足などで導入が必要な場合は、来店時や料理提供時にコミュニケーションを増やすといった対策を行うと良いでしょう。

2. 機械操作に慣れていないお客さんの満足度が低下する

タブレットやスマートフォンなど、機械操作に慣れていないお客さんがいる場合、顧客体験が悪化するおそれもあります。

特に、年配のお客さんが多い居酒屋では注意が必要です。セルフオーダーの方法がよく分からない、スマホやタブレットに表示される文字やボタンが小さく注文しづらいといった理由で、不満を感じるお客さんもいるでしょう。

導入が必要な場合は、操作性に優れたシステムを選ぶ、使い方の説明をオペレーションに組み込むといった対策が必要です。

3. 機械の不具合により、機会損失が発生する

機械の不具合によってオーダーを取ることができず、営業に支障が出るなど、機会損失が発生するリスクもあります。

例えば、タッチパネル型のセルフオーダーの場合、「タブレット端末にドリンクがかかって故障する」「電波障害やシステム障害によって利用できなくなる」といった可能性もあるでしょう。経年劣化によって、タブレットの取り替えが必要になる場合もあります。

導入する際には、端末が使えない時の代替手段や対策をあらかじめ考えておくことが大切です。

4. セルフオーダーが向いていない店舗もある

セルフオーダーは便利なシステムですが、導入が向いていないお店もあります。

例えば、セルフオーダーを用いなくても問題なくお店が回っている小規模な店舗なら、導入による利点よりもコストが上回ってしまう可能性もあるでしょう。

検討する際には、導入の目的を明確にし、コストも考慮した上で各システムを比較する必要があります。セルフオーダー化が向いているお店については次の章で解説しますので、参考にしてみてください。

セルフオーダー化が向いているお店の特徴

ビールをお客さんに渡す男性スタッフ

セルフオーダー導入の利点を得られるかどうかは、お店の規模や業態によって異なります。自店の特徴と照らし合わせながら、セルフオーダー化が向いているお店の特徴を確認しましょう。

  1. 追加の注文が多い
  2. スタッフが少人数
  3. フロアが複数ある・個室がある
  4. メニューの入れ替えが多い

1. 追加の注文が多い

複数人で入れたりメニューが多かったり、追加注文が多いことが予想されるお店の場合、スタッフがオーダーを取る従来のオーダー方法では、業務量やミスが増えやすくなる傾向があります。また、何度もスタッフを呼ばなければならないので、煩わしさを感じるというお客さんもいるかもしれません。

お店の規模などにもよりますが、こうした居酒屋では、セルフオーダー化することでオーダーに関する課題を解消することができ、導入のメリットを得ることができるでしょう。

2. スタッフが少人数

スタッフの数に余裕がない居酒屋もセルフオーダー化が向いているといえるでしょう。セルフオーダーシステム導入によって人手不足に対応し、顧客満足度や売上の向上を図ることができます。

3. フロアが複数ある・個室がある

フロアが複数に分かれていたり個室があったりするお店では、セルフオーダー化することで、オーダーにかかる時間を短縮することができます。

また、こうしたタイプの店舗は、多くのスタッフが必要になるため、人件費がかさみ、教育コストも増大しやすいでしょう。セルフオーダーを導入してオーダー関連の業務を効率化すれば、少人数でも営業しやすくなり、顧客体験の向上も図れます

4. メニューの入れ替えが多い

メニューの入れ替えが多いお店も、セルフオーダーの導入がおすすめです。セルフオーダーシステムでは、システムにメニューを登録するだけで、掲載しているメニューを更新することができます。売り切れなどもシステム上で表示できるため、スタッフが説明する手間も省けるでしょう。

システム導入前に考慮しておきたいポイント

スマートフォンを持っている居酒屋スタッフ

セルフオーダーシステムの導入にはさまざまなメリットが期待できますが、導入の際には考慮しておくべきポイントもあります。ここでは、特に重要な5つのポイントを紹介します。

  1. お店のコンセプトに合っているか
  2. 自店の客層に合っているか
  3. 導入コストが見合っているか
  4. どの言語に対応しているか
  5. サポートが充実しているか

1. お店のコンセプトに合っているか

まずは、自店のコンセプトにセルフオーダーが適しているか確認しましょう。

前項のデメリットを解説する章でも紹介したように、価格帯が高く丁寧なサービスを心がけているお店隠れ家的なコンセプトでアットホームな空気感を大切にしているお店では、スタッフによる接客がお店の付加価値になっているため、セルフオーダー化によってお店の魅力が半減してしまう可能性もあります。

セルフオーダーの導入によって自店の魅力を損ねてしまわないか顧客満足度や売上を低下させないか、事前に客観的に検討することが大切です。

2. 自店の客層に合っているか

セルフオーダーシステムが自店の客層に合っているか、という観点も重要です。

こちらも、前項のデメリットを解説する章で触れたように、タブレットやスマートフォンの操作に慣れていないお客さんが多い場合、セルフオーダーを導入することで客離れにつながる恐れがあります。また、操作のフォローが必要になり、結果的にスタッフの負担が増える可能性もあるでしょう。

事前に「自店の客層にセルフオーダーシステムを受け入れてもらえそうか」「説明やマニュアルの添付などで対策できそうか」といった点を考慮しておく必要があります。

3. 導入コストが見合っているか

導入コストに見合った効果が期待できそうか、事前に確認しておくことも重要です。

タッチパネル注文の場合、30卓程度の規模でも導入費用が数百万円かかるシステムもあり、各席にコンセントが設置されていない店舗では、別途設置工事が必要になる場合もあります。そのため、初期費用を考慮した上で導入を決めることが大切です。

また、セルフオーダー導入によるコスト削減効果は、お店の規模や業態によって異なります。例えば、人件費の削減が実現しても、機器の扱いに慣れていないお客さんのリピート率が減ってしまうと、売上の低下につながるでしょう。

長期的に見ると、削減できたコストより導入コストの方が大きくなることも珍しくありません。お店の現状や課題を多面的に考え、導入コストに見合った効果を得られるか、冷静に判断しましょう。

4. どの言語に対応しているか

外国語対応のシステムが必要な場合は、どの言語に対応しているか確認しておくことが大切です。

英語を選択できれば、幅広い国のお客さんに対応することができるでしょう。近年では、韓国や中国からの訪日客も増えているため、立地や客層によっては、韓国語や中国語に対応していた方がいい場合もあります。

対応言語を確認した上で最適なセルフオーダーシステムを選び、適切なインバウンド対応を行いましょう。

5. サポートが充実しているか

契約後のサポートについても、事前の確認が必要です。セルフオーダーシステムの多くは、初期費用のほかに月額料金を支払うサブスクリプション形式を採用しており、機械トラブルの問い合わせやカスタマイズの相談ができるサポート体制を整えています。

サポート受付の時間帯アフターフォローの内容はシステムによって異なります。どういったサポートが必要か、導入前にリサーチと確認を行い、費用と照らし合わせて比較を行いましょう。

モバイルオーダーの活用もおすすめ

スマートフォンから注文している人の手元

「セルフオーダーを取り入れたいものの、導入コストが高くて悩んでいる」という場合は、モバイルオーダーの導入も一つの方法です。お客さんのスマートフォンからオーダーを受け付けることができるため、タブレットやコンセントの設置がいらず、初期費用や端末の修理費用などのランニングコストが抑えられます。

居酒屋でモバイルオーダーの導入を検討しているのであれば、LINEミニアプリを使ったモバイルオーダーがおすすめです。お客さんは自分のスマホからQRコードを読み取ることで注文ができるようになるため、専用アプリのダウンロードやログインは必要ありません

その他にも、LINEミニアプリでは、飲食店に特化したパッケージが豊富にあり、順番待ちシステム予約システムなど、業務効率化に役立つ機能も利用可能です。LINE公式アカウントと連携すれば、多くのお客さんに情報発信できるため、リピーターの獲得にもつなげられるでしょう。

まとめ:セルフオーダー導入時には客層や導入費用も考慮しよう

居酒屋にセルフオーダーを取り入れると、業務効率化コスト削減を図ることができ、顧客体験や利益の向上にもつながります。ただし、客層やお店の規模によっては、セルフオーダーが適さない場合や導入費用が見合わないケースもあるので、デメリットや注意点も考慮した上で導入を検討しましょう。

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文:相良海琴

編集:はてな編集部

編集協力:株式会社エクスライト