飲食店の開業を目指す際は、必要な準備や手順を理解しておくことが大切です。店舗の条件に応じて必要な資格や資金額が異なるため、まずは開業する飲食店の詳細を決める必要があります。
飲食店の開業を考えている人に向けて、開業の流れや必要な資金、資格などについて詳しく紹介します。
こんな人におすすめ
- 飲食店の開業を考えている人
- 飲食店の開業に必要な準備を知りたい人
- 飲食店の開業にかかる資金や必要な資格について知りたい人
飲食店を開業する流れ
飲食店を開業する際の主な流れは、下記の通りです。
- お店を開業する場所を決める
- 自治体の保健所へ事前に相談する
- 保健所へ必要書類を提出し、営業許可を申請する
- 保健所の担当者に施設の検査をしてもらう
- 営業許可書を交付してもらう
- 営業を開始する
開業にかかる期間は、約半年から1年以上が一般的とされています。開業する際は、お店のコンセプトやターゲットにマッチする場所で開業することが大切です。これらを明確にしたうえで、エリアや物件を決めましょう。
適切な開業場所を選んだ後は、業者への見積もりや契約、図面作成などを経て、自治体の保健所に事前相談を行います。保健所では、お店が飲食店営業の基準に合致しているか、構造上の問題がないかなどの確認を受けます。
その後、お店の完成予定日の約10日前までに保健所へ営業許可の申請をし、保健所の担当者による施設検査を受け、合格すると営業許可書が交付されます。営業許可の取得後は、実際に営業開始に向けた最終準備となります。
開業に必要な資金とは?
飲食店の開業には多くの資金が必要です。日本政策金融公庫総合研究所が2023年に実施した新規開業実態調査によると、開業費用の平均値は1,027万円、中央値は550万円となっています。必要な資金は飲食店の業態や規模、立地によって異なるため、計画を立てる際に予算を適切に見積もりましょう。
開業資金の内訳は、以下の4つです。
名称 |
説明 |
---|---|
物件取得費用 | 店舗の賃貸契約に必要な保証金や礼金、前払い家賃などを含む費用 |
店舗投資費用 | 店舗の内装工事や設備購入にかかる費用 |
運転資金 | 開業後、事業が軌道に乗るまでの間に必要な資金 |
生活費 | 開業準備期間から経営が安定するまでの間に必要な個人の生活費 |
開業の際に必要となる資格
飲食店を開業する際に必要な資格について、詳しく見ていきましょう。
食品衛生責任者
飲食店には、1名以上の「食品衛生責任者」を配置することが法律で定められています。食品衛生責任者の役割は、食品の取り扱いに関する基礎知識を持ち、店舗の責任者と協力して、食品の安全を確保することです。
資格取得には、自治体が開催する講習を受講する必要があります。講習の所要時間や費用は自治体によって異なりますが、所要時間は約6時間、費用は1万円程度。1日で終わるため、何度も通う必要はありません(2024年5月時点)。
講習日と開催頻度は自治体によって異なり、月1~数回程度行われています。また、近年では、オンラインで開催する自治体も増えており、忙しい人でも受講しやすくなっています。
なお、調理師や製菓衛生師、栄養士、船舶料理士などの資格を持つ人は、講習を受けなくても申請のみで資格を取得できます。
防火管理者
「防火管理者」は、開業するお店の収容人数が30人以上の場合に必要な資格です。火災を未然に防ぐために、火器の管理や消防計画を担う役割があります。
防火管理者の資格は、店舗面積に応じて「甲種」と「乙種」に分類されます。店舗面積が延べ300平方メートル以上の場合は「甲種」、300平方メートル未満の場合は「乙種」もしくは「甲種」が必要です。
例えば、大型レストランや宴会場を併設した店舗であれば「甲種」、小規模なカフェやバーであれば「乙種」で対応できるでしょう。
どちらの資格も、日本防火・防災協会が講習を開催しています。資格取得にかかる費用は、甲種の新規取得講習(2日間)で8,000円、乙種(1日のみ)は7,000円です(2024年5月時点)。講習内容は、火災の発生メカニズムや初期消火の方法、避難誘導の手順などの学習です。
まとめ:開業後の集客方法も考えておこう
飲食店の開業には、十分な資金計画と資格の取得が必要です。開業の流れを踏まえたうえで、しっかりとした計画を立てましょう。
また、開業後の集客方法を事前に考えておくことも、成功の鍵となります。開業したての時期は何かと忙しく、目の前のお客さんへの対応に手一杯になってしまうでしょう。しかし、お店としては、お客さんに継続して来店してもらう必要があります。そのためにも、効果的な集客方法を考えておくべきなのです。
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文:加藤良大
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト