居酒屋の開業に必要な資金は? 資金調達と開業の手順も解説【専門家監修】

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飲食店の中でも、居酒屋経営は利益率が高く人気があります。しかし、起業経験がない場合、「開業資金はいくら必要なのか」「どのくらい自己資金を用意すれば良いのか」など、お金の面で不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

居酒屋の開業に必要な資金や内訳、調達方法、開業の手順を解説します。開業準備を進める際の、参考にしてみてください。

こんな人におすすめ

  • 居酒屋の開業資金の目安や内訳を知りたい人
  • 居酒屋開業時に用意する自己資金と借入金の割合について知りたい人
  • 居酒屋を開業する手順を知りたい人

萩原洋さん

萩原洋 フードビジネスコンサルタント

有限会社銀河企画において、「特定行政書士」「(一社)第三者承継推進協会認定総合M&Aアドバイザー」「経済産業省推奨知的資産経営認定士」などの資格を活用し、資金調達を中心に中小企業や小規模事業者の経営支援を多数行う。日本政策金融公庫、信用保証協会などを通じた融資、経済産業省や自治体などの補助金・助成金を活用しながら、会社設立、経営改善、事業再生、そしてM&Aによる事業承継までを総合的に支援。自身も会社を運営し、飲食店経営を行った経験から、飲食店の支援を強みとしている。

居酒屋の開業資金はいくら必要?

電卓を見せている人

日本政策金融公庫が行った2022年度新規開業実態調査によると、融資を行ってきた開業1年以内の企業の開業費用の平均は1,000万円程度となっています。

これは業態を問わずに行われた調査のため目安の数値となるものの、250万円未満、または250万円以上500万円未満の資金で開業しているケースも多く、約4割の人が500万円以下で開業していることが分かっています。中でも、250万円未満で開業する人の割合は近年増加傾向にあり、費用を抑えて開業する人が増えています。

ここでは、居酒屋の開業費用の内訳として「初期費用」「運転資金」について詳しく解説します。経営したい居酒屋のイメージに合わせて確認していきましょう。

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初期費用

テナント募集の張り紙

初期費用を大きく分けると、物件を借りるための「物件取得費」と、店舗の内装や厨房設備を整えるための「設備資金」があります。それぞれの内容と金額について、見ていきましょう。

物件取得費

自宅など、自己所有の物件で開業する場合を除き、物件取得費が発生します。賃貸を想定した場合、店舗物件を借りる際に必要になる費用と目安は以下の通りです。

内訳 目安
保証金 賃料の3〜12カ月分
礼金 賃料0〜2カ月分
仲介手数料 賃料1カ月分
前家賃 日割り家賃+賃料1カ月分
保険料 加入する保険や保険会社による

一般的に、物件取得費は家賃の12カ月分が目安と言われています。
例えば、家賃を20万円とした場合、目安として240万円前後を用意しておく必要があるでしょう。

しかし、物件の立地や状態によっては安く済んだり、反対に保険料や保証金などで高くついたりする可能性もあります。例えば、繁華街にある物件は人気があり、保証金や礼金が高額になりやすいでしょう。また、古い木造の建物は火災のリスクによって保険料が高めに設定されているため、注意が必要です。

設備資金

日本政策金融公庫の「創業の手引き+」によると、飲食店の設備資金の内訳と平均金額は、店舗の内装・外装工事費で368万円厨房設備やテーブル・PC・食器などの備品で186万円となっています。ただし、この金額は平均値であり、店のコンセプトや規模によってはさらに必要な場合もあります。

設備資金を抑えるために居抜き物件を希望する人も多いですが、厨房設備や空調、配管、トイレなどの修理をする場合は、割高になることもあるので注意が必要です

運転資金

電卓と通帳とペン

開業後、居酒屋を運営していくためには、以下のような運転資金が必要になります。

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • 原材料費
  • 人件費
  • 広告宣伝費

具体的な金額は、店舗の立地や大きさ、従業員の人数によって変動します。また、売上がなかなか上がらない時期にも営業を続けられるよう、運転資金を事前に見積もり、開業前に準備しておくことが重要です

さらに、最初は利益が出ず、自分の生活費に回す余裕がない場合もあるので、半年分ほどの生活費を用意しておくと安心でしょう

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開業の資金調達の方法は?

日本政策金融公庫の看板

実際に開業した人の多くは、自己資金と日本政策金融公庫をはじめとした金融機関などからの借り入れによって、開業資金を調達しています。なお、開業資金のうち、自己資金が占める割合は平均で24%となっています。

銀行や金融機関によってはさらに借り入れが可能な場合もありますが、借り入れに依存していると資金繰りが厳しくなる場合があるので、自己資金と借入金のバランスを考えて資金を調達する必要があります。

居酒屋を開業する際の手順は?

Todoリスト

居酒屋の経営を軌道に乗せるためには、開業前からの入念な準備が必要です。以下のステップを参考に、開業に向けた準備を進めていきましょう。

  1. 店のコンセプトを決める
  2. 資金計画を作成する
  3. 出店地域と物件を決める
  4. 資格を取得する
  5. 資金を調達する
  6. 店舗の内外装の設計・工事を行う
  7. 設備・備品を購入する
  8. 開業に伴う届出を行う
  9. スタッフの雇用・教育を行う
  10. 集客や販促を行う
  11. 開業する

特に店のコンセプトは、出店地域や内装・外装の雰囲気、メニュー内容、スタッフの採用だけでなく、開業後の売上をも左右します。開業前の初期段階で「どんな店にしたいのか」「ターゲットは誰か」といった点をしっかり考えておくことが大切です。

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まとめ:経営したい居酒屋に応じて開業資金を算出しよう

居酒屋の店員

居酒屋開業にかかる費用は、業態や出店する場所などにより大きく異なります。相場である1,000万円は一つの目安と考えて、自店の状況に応じて必要な資金を算出しましょう。

また、日本政策金融公庫によると、開業してすぐに繁盛する店は少なく、6割の企業が開業から軌道にのるまでに半年以上かかっていることが分かっています。とはいえ、運転資金には限りがあるため、できるだけ早く集客に結びつけ、経営を軌道にのせたいところです。開業後にLINE公式アカウントを開設し、集客に活用するのも一つの手でしょう。

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文:大杉元則

編集:はてな編集部

編集協力:株式会社エクスライト