【2024年版】これから伸びる飲食店は? はやる店の特徴とおすすめの業態を紹介【専門家監修】

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近年、飲食店に対する消費者のニーズは多様化し、トレンドも年々変化しています。これから伸びる飲食店は、こうしたニーズや市場環境の変化を的確に察知し、適切な適応戦略を備えたお店といえるでしょう。

飲食店の開業や多店舗経営を目指す方に向けて、これから伸びる飲食店の特徴おすすめの業態を解説します。繁盛店の事例も合わせて紹介するので、参考にしてみてください。

こんな人におすすめ

  • 飲食店開業を検討しており、どんなお店にすべきか考えている人
  • これから伸びる飲食店の特徴や業態について知りたい人
  • 専門家の意見を参考に、飲食店開業を成功させたい人

高木悠さん写真

株式会社常進パートナーズ代表取締役 高木悠

大手外食FCチェーンに入社後、店長、マネージャー、FC担当等を歴任。15年以上にわたり外食・FC業界に関わっており、店舗ビジネスや大手チェーン・FC本部の実態を熟知している。独立後は「店舗ビジネスを営む企業とそこで働く社員の社会的地位の向上」を実現すべく、のれん分け制度構築、FC本部立ち上げ・立て直し、人事評価制度整備など、店舗ビジネスの店舗展開に特化したコンサルティングを行っている。これまで企業支援に携わった企業は、延べ500社以上。著書として『21世紀型「のれん分け」ビジネスの教科書(自由国民社)』『「まずは3店舗」の姿勢ではじめる 小規模フランチャイズ展開の教科書(自由国民社)』がある。
経済産業大臣登録 中小企業診断士。

これからはやる飲食店の特徴

カフェのレジに並ぶお客さんたち

競争の激しい飲食業界の中で売上を伸ばしていくには、競争環境や時代の変化に適応できるようなお店づくりが必要ですが、それだけでなく、さまざまな要素を取り入れることが大切です。これから伸びる飲食店の具体的な特徴を紹介します。

  1. お客さんのニーズやトレンドを押さえている
  2. その店でしか得られない体験価値を提供している
  3. SNSやGoogleマップを集客に活用している
  4. DXに取り組むなど、最新情報を店舗運営に取り入れている
  5. 業態との相性が良いエリアに出店している

1. お客さんのニーズやトレンドを押さえている

飲食店の売上を伸ばすには、顧客満足度を高めて、来店数やリピート率を向上させることが重要です。そのため、お客さんのニーズやトレンドを的確に把握し、満足度の高いメニューやサービスを提供できる飲食店は、今後も売上が伸びると予想できるでしょう。

最近では、飲食店に対してSNS映えするメニュー高級感ある体験を求める人が増えているほか、単身世帯の増加に伴い、「おひとりさまニーズ」も高まっています。お客さんのニーズが多様化している時代だからこそ、ターゲットとコンセプトを明確に定めて、何らかのニーズにマッチする店づくりを行うことが大切です。

以下の記事で紹介している「大衆酒場ネオトーキョー」は、トレンドに敏感なお客さんが集まる三軒茶屋の特性を生かし、コストパフォーマンスが良好ながらレベルの高い創作料理を提供することで人気を博しています。

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2. その店でしか得られない体験価値を提供している

近年の物価高に伴う節約思考の高まりなどから、外食の頻度を減らす人が増えており、「貴重な外食機会だからこそ特別感を味わいたい」というニーズが高まっています。

そのため、その店でしか得られない独自の体験価値を提供している飲食店は、今後も売上が伸びる可能性が高いと言えるでしょう。独自性のあるコンセプトを打ち出し、希少性のあるメニューや特別感のある接客を提供できれば、リピート率が向上し、集客の安定化が期待できます。

レモンサワーブームの火付け役である「晩酌屋おじんじょ」は、独自の「進化系レモンサワー」を打ち出すことでお客さんの心をつかみ、わずか約8坪で月商800万円を売り上げる人気店となっています。

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3. SNSやGoogleマップを集客に活用している

SNSやGoogle マップを活用するなど、オンラインでの情報発信は飲食店がこれから売上を伸ばす上で重要な要素です。最近ではグルメサイトだけでなく、こうしたサービスを使って飲食店を探す人も増えています。うまく運用できれば、認知拡大リピート率向上にもつなげられるでしょう。

例えば、三軒茶屋で4店舗を展開する「マルコ系列」は、見た目のインパクトが強い看板メニューを各店舗に置き、SNSで積極的にアピールすることで新規のお客さんやリピーターを数多く獲得しており、系列の4店舗いずれも坪月商70万円を超える人気店となっています。

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4. DXに取り組むなど、最新情報を店舗運営に取り入れている

飲食店運営に関わる最新情報を把握し、店舗運営に活用しているのも、これから伸びる飲食店の特徴です。

例えば、デジタルツールなどの導入によって業務の効率化を図る「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、いまや飲食店経営を成功させる上で欠かせないものとなっています。DXに取り組むことで、業務の効率化スタッフの負担軽減による人手不足の解消人件費の削減といった効果が期待でき、利益の拡大につながります。また、お店の運営がスムーズになることで顧客体験が向上するなど、お客さんにもメリットがあるのが特徴です。こうした顧客満足度の向上によって、結果的に、リピート率の向上集客の安定化にもつながるでしょう。

また、法律や制度の改正などへの迅速な対応も重要です。最近では「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が2024年4月に施行され、障害のある人に対して、飲食店を含む事業者が合理的配慮を提供することが義務づけられました。今後は、車椅子のお客さんが来店した際に、車椅子のまま客席につけるよう椅子を片付けるといった対応が必須になります。その他、さまざまな対応が必要になりますが、内閣府が配布しているリーフレットを参考にしましょう。

さらに、2024年7月3日からは新紙幣が発行される予定で、旧紙幣対応の券売機やレジを使用している場合は、システムや機器の刷新が必要になります。

こうした最新情報を早い段階で把握しておくと、店舗運営をスムーズにできるだけでなく、「新札が使えない」といったクレームや機会損失なども未然に防げるでしょう。

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5. 業態との相性が良いエリアに出店している

業態やターゲットに合った立地に出店していることも、これから伸びる飲食店の特徴です。出店エリアが都心と郊外では、メインの客層が変わるほか、繁華街やビジネス街、住宅街といった街の特性も客層に影響します

例えば、SNS映えを意識した若者向けのカフェは、繁華街や駅近エリアと相性が良い業態のため、ビジネス街や郊外の住宅街に開業した場合、集客が見込めない可能性もあるでしょう。立地選びの際は、開業したい業態と相性の良いエリアを選ぶか、開業したい場所に合わせて業態を選ぶと、集客の安定化が期待できます。

以下の記事で取材した『かつや』元社長の臼井健一郎さんは、カジュアルなフレンチレストランを開業するにあたり、ターゲットと近隣住民の層が一致する本郷三丁目に出店。その結果、使い勝手の良いお店として地域に根付く人気店となっています。

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今後売上が伸びやすい飲食店の業態

パソコンを見ながら話している飲食店のスタッフたち

ここからは、これから売上が伸びると予想される5つの飲食業態を紹介します。

  1. 特定ジャンルの専門店
  2. DX化により顧客満足度を高めている店
  3. 接客サービスに力を入れている店
  4. 健康志向のメニューがある店
  5. レトロな店

1. 特定ジャンルの専門店

近年、特定の料理や食品に特化した専門店が増加しています。飲食店の飽和により、多種多様な飲食店の中から用途に応じてお店を選ぶ人が増えた結果、メニューの豊富なお店よりも、個性のある専門店の方が選ばれやすくなりつつあります。こうした専門性の高い業態は流行に左右されやすい傾向があるため、何を専門とするかは慎重に検討する必要がありますが、今後も売上を伸ばしていくと考えられるでしょう。

専門店のメリットとして、コンセプトや独自性が分かりやすいため、他店との差別化を図りやすい点が挙げられます。また、特定のメニューにリソースを集約できることから、クオリティーが上がりやすく、顧客満足度の向上やリピーター獲得につながりやすいのも利点です。

また、お店の特色が分かりやすいため、その魅力を伝えやすく、口コミが増えやすいのも専門店の特徴です。例えば、以下の記事で紹介している「肉汁水餃子 餃包」は、水餃子を専門にし、大手中華料理チェーンとの差別化を図るとともに、単価を上げてクオリティーを高めることで、口コミ評価No.1を誇る人気店となっています。

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2. DX化により顧客満足度を高めている店

デジタルツールなどをうまく活用し、顧客満足度を高めている飲食店も、これから伸びると予想できます。モバイルオーダー予約システムシフト管理システム集客ツールなどを活用すれば、業務を効率化し、少ないスタッフでもお店をスムーズに運営できるようになります。結果、料理の提供スピードが向上したり、オーダーミスがなくなったりすることで、顧客体験も向上し、お客さんの満足度も高まるでしょう

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3. 接客サービスに力を入れている店

近年の飲食業界の飽和によって、似たようなメニューやサービスを提供する飲食店が増えています。そのため、独自性のない飲食店は差別化が難しく、優位性を維持することが困難になっています

こうした時代において重要になるのが、高品質な接客サービスです。先ほども紹介したように、DXは差別化の一手ですが、「設備投資にコストがかかる」「お客さんとのコミュニケーションが減る」といったデメリットもあります。

そのため、特に規模の小さい飲食店では、接客サービスに力を入れ、お店固有の体験を提供して他店と差別化を図ることが、今後売上を伸ばしていく鍵となるでしょう。バックヤード業務や集客業務をDXによって効率化し、接客は人が行うなど、運営にメリハリをつけることが大切です。

4. 健康志向のメニューがある店

近年は健康志向の高まりから、大豆ミートや米粉などの代替食品を使った料理や、ヴィーガン対応メニュー添加物不使用のオーガニックメニューなどがトレンドになっています。

こうしたメニューを提供すれば、客層が広がるだけでなく、メニューの選択肢が増えることで、「次はあのメニューを食べてみたい」と、リピートされやすくなるでしょう。また、健康志向というコンセプトは料理の付加価値にもなるため、商品単価を高めに設定できるのも利点です。

5. レトロな店

昨今のレトロブームを受けて注目が集まっているのが、昭和レトロや平成レトロのお店です。レトロな飲食店は、Z世代を中心に「非日常感を体験できる魅力的なスポット」として支持されており、SNS映えする純喫茶風のメロンソーダやミルクセーキなどが人気を集めています。若い世代をターゲットにするなら、レトロをコンセプトに開業するのも一つの手でしょう。

以下の記事で紹介している「立呑 富士屋本店」は、昭和レトロな雰囲気を残しながら、モバイルオーダーや新メニューを導入するなど、新たな取り組みを行うことで、客層を若年層にまで広げることに成功しています。

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まとめ:はやる飲食店の特徴を参考に開業を成功させよう

ガッツポーズをしている飲食店の女性スタッフ

これまで見てきたように、お客さんのニーズやトレンドの変化を的確に捉え、店づくりや集客に活用できる飲食店は、これから伸びる可能性が高いと言えるでしょう。

今後の飲食店経営では、デジタルツールを使った集客がさらに重要になりますが、LINE公式アカウントはリピーター獲得に活用できます。LINE公式アカウントを使えば、メッセージクーポンなどをお客さんに直接配信することで再来店を促進できるため、リピート率向上が期待できます。お店の立ち上げ期では、日々の営業に追われ、集客に時間を割けないケースも多いので、こうしたツールを導入し、早い段階で集客に取り組んでおくと良いでしょう

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文:相良海琴

編集:はてな編集部

編集協力:株式会社エクスライト